ヤギも木に登る

サーカスのヤギ(写真:ロイター/アフロ)

モロッコのヤギは木の上で果実や葉を食べる

まずクリックして、今日紹介するセビリアのスペイン高等科学研究院を中心とする研究グループが5月2日号のFrontiers in Ecology and Environment に発表した「Tree-climing goats disperse seeds during rumination(木に登るヤギは反芻中に種を吐き出す)」という論文にアクセスしてほしい。。オープンアクセスなので誰でも見ることができる。

論文を開いて少しスクロールすると、皆さんは驚くべき光景を目にする。なんと7匹のヤギが高い木のてっぺんに立っているではないか。この写真を見れば「何事が起こっているのか?」読み進むはずだ。

少なくとも私はヤギが木に登るなど考えたこともなかったし、また見たこともなかった。しかし、緑の少ないモロッコの平原では、なんとほとんどのヤギが木に登って葉や木の実を食べるのが当たり前のようで、食事の74%は木の上で葉や果実を漁っているようだ。

ニホンカモシカが岩場をスイスイと歩くのを見れば、確かに木に登れてもおかしくない。また、メキシコやスペインでも低い木にヤギが登っているのは目撃されるようだ。しかし、8-10mもある高い木に登るのはアフリカだけのことらしい。

食べた果実の種は吐き出している

ひとつ物知りになったが、この論文で「木登りヤギ」の写真は読者の気を引くためだけに使われ、結局「ヤギが登っているアルガンノキのような大きな硬い種をヤギはどう処理しているのか?」がこの研究の主題になる。

観察から、硬い種は便と一緒に排出されるのではなく、反芻中に口から吐き出される可能性を思いつく。

そこで、スペインで家畜として買われているヤギに様々な大きさの種を持つ果実を食べさせ、アルガンノキのような大きな種は30-45%が口から吐き出されること、また吐き出された種の7割がまだ生きていることを示している。

これらの結果から、放牧型のヤギをもっと積極的に活用すれば、アルガンノキのような有用植物の種を広い範囲に撒くことができるとまで言っている。

アルガンノキの種の油は抗酸化作用が高いと貴重品になっている。ひょっとしたら「木登りヤギ」を種を取るための家畜として使うことすらできそうだ。

とはいえ結局木に登るヤギで目を引きつけた後は、一転他のヤギの実験で話を進めており、最後は騙されたような木になる論文だ。

羊頭狗肉(この羊はヤギと読んでほしい)の典型論文だが、ヤギが高い木に登ることと、反芻中に種だけ吐き出すことを知って、ちょっと物知りにはなったのでよしとしよう。