少なくとも10年以上、朝食にヨーグルトを食べ続けてきているが、なぜ今食べているヨーグルトを選んだかについては明確な理由があるわけではない。たまたま選んだ製品を食べ続けているだけだ。

しかし、なんとなく体にいいと思って食べているし、食べた乳酸菌はちゃんと腸内に定着していると信じていた。

ところが、今日紹介するカナダアルバータ大学からの論文は、少なくともAH1206と名付けられたビフィズス菌は食べても必ずしも腸内に定着するわけではないことを明らかにした。10月12日号の「Cell Host & Microbe」に掲載された論文で、タイトルは、「Stable engraftment of bifidobacterium longum AH1206 in the human gut depends on individualized features of the resident microbiome(bificobacterium longum AH1206菌の腸内での安定的な定着は個人の常在菌の特性に依存している)」だ。

食べたビフィズス菌の行方について私たちの素朴な疑問に答えようとした研究で、AH1206ビフィズス菌株を7週間のセット(1週ベースライン、2週ビフィズス菌orプラセーボ(偽薬)投与、4週無投与経過)投与プロトコルで調べ、AH1206菌が腸内に定着するかまず調べている。

結果は、約30%の人では定着し、服用をやめても菌は維持されるが、残りの人では投与を続けても全く定着しないことを明らかにしている。

研究では定着に必要な条件も検討している。

これまで食べた菌の定着を決めるのは、腸内にすでに存在する細菌叢の多様性や絶対量が重要だとされていたが、この研究ではこれらは定着条件ではないことを示している。さらにAH1206菌が定着したとしても、既存の細菌叢を大きく変化させるものではないことも明らかになった。すなわち、多くの人では服用しても菌は素通りで、また定着しても菌叢全体に対しては大きな影響はないという結果だ。

さらに詳しく定着に必要な条件も検索されている。

同じ種類のビフィズス菌がもともと少ない人では、定着しやすい。また、すでに同じ種類のビフィズス菌を十分持っている人でも、細菌叢全体で発現している遺伝子が、AH1206菌の発現している遺伝子を欠乏している場合、定着できる可能性が高い。

わかりやすく言うと、すでに存在している細菌叢にAH1206菌の発現している分子が欠けている場合は新たな菌を受け入れるが、同じ特徴を持つ細菌が既に存在する場合は定着できないという結論だ。

皆が知りたいと思っていた問題を取り上げた研究で、結論も十分納得できる。

この論文を読むと、役にたつ菌だとしても、飲めばいいという話でないことがわかる。食べたビフィズス菌や乳酸菌の効果を云々する前に、まず定着するかどうか調べることが大事だ。

メーカーも、食べた菌の行方について2ヶ月程度追跡したデータを示してほしいものだ。