あさイチで放送された夏野菜のウワサ検証の疑問点

(写真:アフロ)

 ある情報番組内で、夏野菜にうわさを徹底検証するという内容が放送されているのを目にしました。中には面白いものもありましたが、栄養学的に首をひねるような内容のものがありましたので、特に気になった2点について言及したいと思います。

 バラエティ番組であっても、データの引用や実験という言葉を使用した構成では視聴者が科学的な検証に基づいた内容だと信じてしまう可能性があるからです。

■夏野菜は体温を下げる?

 一般に、身体をあたためる作用のある食べ物、冷やす食べ物があるとされますが、身体をあたためる・冷やすという状態の定義があいまいであり、感覚的にはともかく、栄養学という学問でははっきりとしたことはいえません。

 例えば、唐辛子などは発汗作用のある食べ物ですが、食べてしばらくすると身体があたたまりますが、適度に汗をかくことで、湿度が低い環境では蒸発により体表温度を下げる効果が期待できます。唐辛子は温めるたべものなのか、冷やす食べ物なのか、考え方によって意見も分かれそうです。

 また、食事をすると消化管が運動し栄養を吸収するために臓器は熱を発しますが、これを食事誘導性熱産生といい、身体を冷やすとされる食べ物であっても、食後に体温は上昇します。(多量の冷たい野菜や氷ばかり食べていれば冷えることもありえますが)

 

 それよりも気になったことが、野菜を食べたあとの体温測定です。まず、食べた直後に体温が下がったということですが、例えばアイスを食べた直後にその部分に近いところを計測すればその部分の温度は下がっていて当たり前です。

 前後での体温変化を計測したいのであれば、食べ物の温度や行動の影響を受けにくい部分で(直腸や耳孔など)で計測するべきです。口で体温をはかるのは論外でしょう。

 次に問題があると感じたのはこの表です。

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 番組内で使用されたものを書き写したものですが、冬野菜は根菜が多く、芋類であるじゃがいもまで含まれており、野菜の選定に意図的なものを感じます。

 自由に野菜を選んで良いのであれば、次のように冬野菜は夏野菜に比べて水分が多いという表をつくることができます。

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 元々多くの野菜は水分量が多く、野菜同士を比較するのにあまり意味はありません。熱中症予防のために、種類にこだわらず、しっかり野菜を食べましょう、というメッセージで良いのではないでしょうか?

■きゅうりの酵素はビタミンCを壊す?

 きゅうりの持っているアスコルビナーゼという酵素がビタミンCを壊してしまうため、きゅうりを食べてもビタミンCは摂れない、というようなネットのウワサも検証していました。

 ウワサの検証では△という評価でしたが、栄養学的にはバツというのが私の見解です。

 アスコルビナーゼは正式にはアスコルビン酸オキシダーゼと呼ばれるもので、還元型ビタミンCを酸化型ビタミンCに変える酵素です。番組でも説明はありましたが、体内では還元型のビタミンCに戻り、ビタミンCとして働くことが可能です。食品成分表でも、酸化型還元型の合計を成分値として記載しています。

 では、酸化型ビタミンCは何も問題がないのかというと、そうではなくて、還元型に比べ不安定で、特に熱に弱いという特徴があります。

 きゅうりなど生の野菜は収穫しても生きていますので、酵素は細胞の中に含まれていますが、切ったり潰したりすると細胞の中から酵素が飛び出し、酸化や分解という化学反応が進みます。

 サラダのような輪切りや千切りにしたあと水にさらす場合には、酵素もある程度流れますし、切断面以外の細胞は潰れていないですので、ビタミンC全部が酸化されるわけではありません。

 本当に気にしなければならないようなものは、すりおろしたきゅうりを加熱調理をするようなケースや、長時間放置するようなケースでしょう。

 ネットのうわさを検証するのであれば、生野菜のアスコルビナーゼを気にするのはナンセンスと笑い飛ばしてほしかったところです。