液体ミルクの気になるところを二つのメーカーに聞いてみました

(写真:アフロ)

 日本で初めて承認された乳児用の液体ミルク※となる「アイクレオ 赤ちゃんミルク」が3月11日に販売開始となりました。同じく承認された「明治ほほえみ らくらくミルク」も4月下旬の発売予定※2です。

 赤ちゃんの栄養は母乳が最適、という基本スタンスは変わるものではありませんが、液体ミルクという選択の幅が増えることは、様々な状況が想定される育児ではとてもありがたいことだと思います。液体ミルクを上手に活用できれば、外出時の調乳が楽になる、夜間の授乳がスムーズになる、災害時でも安全に栄養を与えられるなどの効果が期待されています。

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各国の状況をみると、液体ミルクに対する潜在的なニーズは高そうだと感じます

 新しい選択肢である液体ミルクを上手に活用するために知っておきたいこと、知って欲しいことをテーマに、販売元である、江崎グリコ株式会社、株式会社明治の広報の方に取材をさせていただきました。管理栄養士という立場と、自分がミルクを与えていたことを思い出しながら、質問項目を考えました。

「アイクレオ 赤ちゃんミルク」と「明治ほほえみ らくらくミルク」仕様の比較 

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■質問と回答

質問1:常温で飲む事を想定した食品ですが、温めたいという要望もあると思います。お勧めの温め方はありますか。

グリコ「専用のストローを使用し、ほ乳瓶へ移してから湯煎して下さい。電子レンジは、加熱が不均衡な為、一部に熱い部分ができ、乳児の口に火傷を負わす可能性や栄養成分の変化の可能性が予想されるため推奨しません。パックのまま温めた場合、紙容器断面から水分が浸透して容器が柔らかくなり、中身の衛生性を損なう可能性があります。また、容器に付着した水分が入るおそれがあるため、必ず容器に移し替えてから温めてください。」

明治「液体ミルクを哺乳ビンに移し替えフタをしてから、湯煎またはミルクウォーマーであたためるようにしてください。缶のままの直火、湯煎・ミルクウォーマーでのあたためは避けてください。電子レンジでの温めは行わないで下さい。缶の注ぎ口が汚れている場合は、赤ちゃん用の清浄綿や濡れコットンでよくふいて下さい。」

 温めるケースは少ないと思いますが、ほ乳瓶に移してから温めるようにしましょう。

質問2:北国の冬では常温では赤ちゃんには冷たすぎる場面もありそうです。災害時や外出時など温めるときに注意すべき点を教えて下さい。

明治「使い捨てカイロをあてる、大人の服の中にしばらく入れて、冷たく感じなくなるまであたためるなどの方法が考えられます。その後、ほ乳瓶に移して下さい。」

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 熱伝導率が高く衝撃に強い缶を使用しているため、災害時などに温めやすそうですね。

質問3:災害時や外出時に飲み慣れていない常温の液体ミルクを与えた場合にちゃんと飲んでくれるか不安な親御さんもいると思います。液体ミルクは少し値段が高めなこと、開封したら保存できないこともあり、できれば粉ミルクで練習したい人もいるかもしれません。調乳した粉ミルクを常温に冷まして試すのはありでしょうか?

グリコ「問題ありません。正しい方法で調乳した粉ミルクを常温にしたものであれば安全に利用できます。」

 決められた温度で溶かしたミルクであれば常温で冷ましても固まるなどの不都合はないそうです。

質問4:液体ミルクの容量ですが、グリコのアイクレオは125ml、明治のほほえみは240mlと異なりますが、容量を決めた背景にはどのようなものでしょうか?

グリコ「赤ちゃんがはじめに使用するほ乳瓶の容量が120mlですので、それに合わせてつくりました。飲む量が増えてきたら、本数を増やしてあげてください」

 新生児から利用しやすいですし、外出時に使い切りやすい印象です。

明治「市販されているほ乳瓶の多くは240~250mlですので、それに合わせました。また、災害時の利用を想定し、授乳間隔があくと1回のほ乳量が増えることを考え、十分な栄養を確保できる分量になるように考えました。」

 まず、災害時の栄養として使いやすいことを目指していることが伺えます。

質問5:「アイクレオ 赤ちゃんミルク」についての質問です。赤ちゃんに必要な栄養が確保できる栄養設計になっているそうですが、粉ミルクと比較すると栄養成分に若干の違いが見られます。何か理由はありますか?

グリコ「液体で保管をすると、ビタミン類は減少することが考えられますので、それを想定して粉ミルクよりも多く配合しています。鉄が粉ミルクより少ないのは、あまり多いと他の成分の変質を促進するおそれがあるからです。」

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 白さに拘った殺菌方法とのことですが、試飲したところ、粉ミルクを溶かした時のような若干のざらざら感もなく、なめらかな飲み心地でした。もしかしたら粉ミルクよりもこちらの方を好む赤ちゃんもいるかもしれません。

質問6:「明治ほほえみ らくらくミルク」は同ブランドの粉ミルクと栄養の基本設計が同等と紹介されていますが、アラキドン酸やDHAなどの多価不飽和脂肪酸を配合しているのですか。

明治「はい、母乳の成分に近づけるため同じように配合しています」

質問7:今後使い捨てタイプのほ乳瓶や、容器に取り付けるタイプのほ乳瓶を計画していると聞きましたが、どのようなものになりそうですか。

グリコ「現在のところ、公表できる情報はありませんが、検討課題の一つになっています。」

明治「今のところ未定ですが、開発を検討している段階です。」

 利用者の声で実現可能性も高まりそうですね。

■取材を終え

 安全性や美味しさ、栄養価などがしっかりと担保されており、安心して使用できる人工栄養であることが分かりました。また、同じ液体ミルクでも、それぞれの特徴があるので、自分にあったものを選ぶことができるというのも嬉しいですね。液体ミルクという新しい選択肢ですが、その中にも多様性があるというのはとても良いことだと思います。

 これは個人の感想ですが、外出時の利用を積極的に考えている人には、「アイクレオ 赤ちゃんミルク」、災害時や緊急時の備蓄には「明治ほほえみ らくらくミルク」が設計的に向いているように思います。栄養成分や分量にも違いがあるので、それぞれ試してみて、赤ちゃんが好むものを選ぶのも良いかも知れません。

※1 これまでも災害時の赤ちゃんの衛生的な栄養補給や外出時の授乳など、液体ミルクの製造販売を望む声がありましたが、2016年に被災地への支援物資として外国から提供された液体ミルクが使用されずにいたことが、ニュースになったこともあり、日本での開発・承認に向けた流れが一気に加速し、2018年8月8日、液体ミルク(乳児用調整液状乳)の基準が定められ、日本でもようやく製造・販売ができるようになりました。

 さらに、現在改定作業が進められている厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」でも、この改正を受け、乳児用液体ミルクの位置付けや災害時の活用についても明記される予定です。

※2 ▼3/28(木)15:00公開予定

「明治ほほえみ らくらくミルク」サイト

https://www.meiji.co.jp/baby/hohoemi/rakurakumilk/