夏場の水分補給は冷たい飲み物に注意を

(写真:アフロ)

 連日の猛暑で体調を崩している人も多いのではないでしょうか。脱水や熱中症予防のため、水分補給用に水筒を持ち歩いている人をよく見かけますので、外出先の水分補給にちょっと役に立つお話を紹介したいと思います。

 

■脱水予防には常温で

 運動や作業の後などにはキンキンに冷えた飲み物が飲みたくなるところですが、脱水予防や水分補給を目的にしている場合には逆効果になることもあるので要注意です。

 最近は断熱効果の優れた金属製の水筒がでており、いつでも氷が浮かんだ冷たい飲み物を楽めるのですが、冷たすぎる場合には胃腸に負担がかかってしまうため望ましくありません。

 消化管などの内臓は体温の37℃前後で十分な機能を発揮できるようにできているため、0℃近いような冷たい飲み物が多量に入ってくると、胃が冷やされ、消化管の運動が妨げられてしまいます。通常、水分だけ摂取した場合には速やかに十二指腸、小腸に流れて体の中に水分が取り込まれる(基本的には胃からの水分吸収はありません)のですが、冷たい水では小腸から吸収されるまでの時間が長くなってしまうおそれがあります。また、冷たい飲み物ばかり摂っていると、胃や腸への負担が続き、胃腸を壊してしまい下痢などの不調をきたすことがあり、脱水を助長させかねません。

 脱水予防や熱中症対策を考えれば水筒には常温かやや冷たいぐらいの飲み物がおすすめです。

■汗のかきかたで必要な飲み物が違う?

 脱水予防には水やお茶が良いのか、それともスポーツドリンクや経口補水塩が良いなど色々な意見を目にしますが、誰にでもコレと当てはまるものがないのが難しいところです。体からミネラル分が抜けすぎてしまっている脱水(低張性脱水)では経口補水塩、水が足りない脱水(高張性脱水)であれば飲みやすい飲み物を、水分とミネラル分が同じように足りない脱水(等張性脱水)では、適度に塩分を含む飲み物を与えることが基本になります。

 ところが、どの脱水の症状にあてはまるのか、医療関係者でなければ判断は難しいのではないかと思います。熱中症が心配だから子どもに経口補水塩を持たせたいという相談を受けたことがありますが、ナトリウム濃度が高い飲み物ですので、下痢をともなうなど水分吸収が難しい場面など、状況に合わせた使い方が求められます。

 炎天下での作業や運動時などでよくある、ダラダラと流れ続けるような汗には、ナトリウムなどのミネラルが多く、じわじわと出てすぐに蒸発してしまうような汗にはミネラルがあまり含まれないことが分かっています。汗のかきかたがミネラルの多い飲み物を用意した方が良いのかの一応の目安になるかと思います。

 余談ですが、湿度が高いと汗が蒸発されにくく、体を効率的に冷やせなくなり、もっと体を冷やそうと汗が更にでる状況をつくりやすくなります。湿度が高い方が体のミネラルは失われやすいと考えられます。

■アルコール、カフェイン飲料はNG?

 猛暑ではビールの需要が増す傾向がありますが、ビールなどのアルコール飲料は水分補給には不向きです。体には水分量を一定にするための仕組みがいくつもあるのですが、アルコールにはその一つである、バソプレッシンという尿の量を調節するホルモンの分泌を阻害する働きがあります。アルコール飲料を飲むと普段よりもおしっこをしたくなるのはこのためです。水分をたくさん摂っているはずなのに脱水状態になることもあるので、要注意です。

 カフェイン入り飲料も同じように尿量が増えるのですが、アルコールの場合と作用が異なり、健康に問題がでるほどの尿量増加作用はないとされています。水分補給に向いているとはいえそうにないですが、あまり心配する必要はないでしょう。

■今回のまとめ

・水分補給を目的に水筒を持つのなら常温かそれに近い温度の飲み物を入れると良い

・冷たい飲み物を飲む場合には量は少なめに、一気に飲まない

・急激に多量の汗をかく場合には塩分補給も大事

・アルコールは脱水のもと

・カフェインはそんなに気にしなくても大丈夫

 水分補給はもちろん大切ですが、脱水や熱中症予防には、なるべく快適な環境で過ごすことが大切です。体調が悪いときには早めに休息をとったり、子どもであれば学校や部活を休ませるのも大事な選択肢だと思います。

 体をいたわり夏を乗り切りましょう。