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明石家さんまが手がけるドラマ『Jimmy~アホみたいなホンマの話~』本日Netflixで全世界配信。

成馬零一ライター、ドラマ評論家
「Jimmy〜アホみたいなホンマの話〜」(C)2018YDクリエイション
(C)2018YDクリエイション
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本日、7月20日(金)からNetflixにて連続ドラマ『Jimmy〜アホみたいなホンマの話〜』が全世界独占配信となる。

 

 企画・プロデュースは明石家さんま。

 タイトルにあるジミーとはお笑いタレントで画家のジミー大西のこと。

 

 彼の半生を描く一方で明石家さんまと共に駆け上がっていく80年代以降のお笑い芸能史が

 垣間見えるのが本作の面白さだ。

 物語序盤は、アホだが根は優しいジミー大西(中尾明慶)が行く先々で失敗する姿が描かれる。

 勉強もできず、唯一才能があった野球も辞めることとなったジミー大西は、吉本の芸人になるが、テレビで生放送された初舞台で大失敗をやらかしてしまう。

 

(C)2018YDクリエイション
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 そんな何をやってもダメなジミー大西に目をかけるのが明石家さんま(玉山鉄二)だ。

 言うなれば本作は二人のバディものみたいな感じだ。

 こういったお笑い芸人やコメディアンを主人公にしたドラマには、Netflixならば又吉直樹の『火花』がある。NHKでも連続テレビ小説『わろてんか』や『植木等とのぼせもん』などがある。『火花』はフィクションだが、他の作品はいわゆる実録モノであり昭和の偉人を主人公にした懐古調のドラマは現在の流行りではある。

 ただ、それらの作品と本作の違いは明石家さんま本人が企画・プロデュースを担当しており、明石家さんまもジミー大西もまだ存命だということだろう。

 

 だから、ついカッコよく美化されがちな実録モノとは違う、照れから生まれる距離感があり、それがドラマに奥ゆかしい味わいを与えている。

 一番それが現れているのが本編が始まる前に入る明石家さんまとジミー大西のトーク場面だろう。本編に入る前に本人たちのコメントが入るなんてスタイルはドラマでは滅多にないことなので、最初は面食らったが、1話の最後まで見てから再び二人のトークが始まり、明石家さんまが、ここまでカッコよくなかったけど、と前置きをした後で当時のことを面白おかしく説明し、「ほぼ実話だ」と話しだす。1話ラストの解説を聞いてドラマの中に俄然入りやすくなった。

(C)2018YDクリエイション
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「サブタイトルにアホみたいなほんまの話」とあるが、本作はまさにそういう話で、ジミー大西の周りで起こる面白おかしいエピソードを次から次に見せていきながら、そこにボケとツッコミをまぶしていくという形になっている。 

 

 それにしても、本作を見ていると明石家さんまがジミー大西を溺愛(としか言いようがない)している理由がとてもよくわかる。

 ネタバレになるため、詳しい内容には触れないが、ジミー大西に対してみせるさんまの目線には、今のお笑いからは失われつつある何かがこめられているように見えた。

 しんみりするところもあるが、笑って見れる楽しいドラマである。

(C)2018YDクリエイション
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『Jimmy~アホみたいなホンマの話~』

企画・プロデュース 明石家さんま

中尾明慶  玉山鉄二

尾上寛之 六角慎司 宇野祥平 中村靖日 八十田勇一

・木南晴夏・中村育二・濱田マリ

生瀬勝久 手塚理美 温水洋一 池脇千鶴 / 佐藤浩市 /

山崎銀之丞 徳永えり 楊原京子 金井勇太

ジミー大西 明石家さんま

監督:光野道夫

脚本・脚本監修:大岩賞介 脚本:山浦雅大 麻倉圭司

主題歌:MISIA(アリオラジャパン)「最後の夜汽車」 作詞・作曲:甲斐よしひろ

 制作プロダクション:共同テレビジョン

制作:吉本興業 製作:YDクリエイション  In Association With Netflix

(C)2018YDクリエイション

ライター、ドラマ評論家

1976年生まれ、ライター、ドラマ評論家。テレビドラマ評論を中心に、漫画、アニメ、映画、アイドルなどについて幅広く執筆。単著に「TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!」(宝島社新書)、「キャラクタードラマの誕生 テレビドラマを更新する6人の脚本家」(河出書房新社)がある。サイゾーウーマン、リアルサウンド、LoGIRLなどのWEBサイトでドラマ評を連載中。

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