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「1週間程度は強い揺れに注意」 日常防災をあらためて確認しよう

中澤幸介危機管理とBCPの専門メディア リスク対策.com編集長
国土地理院:地震時地盤災害推計システムの推計結果より

宮城県や福島県で最大震度6強を観測した地震の発生を受け、気象庁は臨時記者会見で、揺れが強かった地域では今後1週間程度、震度6強程度の地震に注意が必要と呼び掛けた。

大地震の後、1週間程度は、同程度の地震に注意することは毎回言われている。特に、地震発生後2~3日程度は、規模の大きな地震が発生するケースが多くある。しかし、注意すべきは最初の揺れで大きな被害が出ていなくても、次の地震で被害を受ける可能性はあるということ。特に、今後の地震によって、液状化が進んだり、新たに土砂災害が発生する危険はある。

国土地理院は、地震後に、斜面災害発生の可能性がある箇所約2400平方キロメートルと、液状化発生の可能性がある箇所約2100平方キロメートルの地図を公開した。

国土地理院:地震時地盤災害推計システムの推計結果より https://www.gsi.go.jp/common/000230550.pdf 
国土地理院:地震時地盤災害推計システムの推計結果より https://www.gsi.go.jp/common/000230550.pdf 

こうした場所では、少しの揺れでも大きな被害になる危険があるし、それ以外の場所でも油断はできない。東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)は広い範囲で海底の断層がずれたが岩手県沖の日本海溝沿いでは、震災時に海底の断層がずれなかった「滑り残り域」があるとされている。岩手県沖と同様に、震源の南側に隣接する千葉県東方沖の日本海溝沿いでも割れ残った地域があると考えられている。これらが今回の地震に関連して動くというような発表はされていないし、不安を煽るつもりはないが、これを機に、各家庭、地域、職場で防災体制を今一度見直してほしい。急な買い占めこそ許されないが、家具の固定、水食料・携帯トイレの備蓄、生活物資の確保、非常用持ち出し用品の整理など、1つ1つの対策を見直してみることが大切だ。

東日本大震災から約1カ月後にあたる4月7日の23時30分頃、最大震度6強の余震が発生した。取材で仙台市内のホテルの10階に泊まっていた私はそこで被災した。東日本大震災もあり「家具類の転倒防止は万全」だとホテルに言われ、安全という根拠なく安心をしていた。確かにテレビも机にはしっかり固定されていたが、その机ごと壁に大きく何度もうちつけられ、テレビはスクリーンが割れ、使い物にならなくなった。

2011年4月8日朝、筆者撮影
2011年4月8日朝、筆者撮影

「安全」を疑い、まず家の中、家の周り、通勤路、通学路などの危険箇所、対策などを見直してほしい。

【日常防災の見直し例】

・家具類はしっかり固定されているか(大きな揺れでも動いたり移動しないようにしっかり固定)

・家具類の配置は工夫されているか(仮に倒れても下敷きになるような配置になっていないか)

・食器棚などの扉対策はされているか(大きな揺れでも扉が開かないようにしっかり閉める)

・水や食料、携帯トイレの備蓄は十分か(1週間程度の水や食料、携帯トイレ※急な買い占めはしないように)

・生活用水は確保できているか(子供やお年寄りがいる場合、お風呂の水を溜めておくことで浴槽への落下などがあるため要注意)

・石油やガソリンは補充されているか(多くの備蓄はできないが車の燃料を満タンにしておくなど)

・非常用持ち出し袋は用意されているか(避難所に行く際持っていくものを整理)

・避難所は把握できているか

・寝る前の対策はできているか(懐中電灯やスリッパなどを枕元におく)

・スマートフォンなどは充電されているか

・家族との連絡方法は確認できているか

・ブロック塀で倒れそうな場所はないか

・地震の際、瓦や看板などが落ちてきそうな場所はないか

・山や崖の斜面で崩れそうな場所はないか

危機管理とBCPの専門メディア リスク対策.com編集長

平成19年に危機管理とBCPの専門誌リスク対策.comを創刊。数多くのBCPの事例を取材。内閣府プロジェクト平成25年度事業継続マネジメントを通じた企業防災力の向上に関する調査・検討業務アドバイザー、平成26年度~28年度地区防災計画アドバイザー、平成29年熊本地震への対応に係る検証アドバイザー。著書に「被災しても成長できる危機管理攻めの5アプローチ」「LIFE~命を守る教科書」等がある。

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