至宝ソン・フンミンを欠く韓国代表。ベスト時の代表メンバーでヨーロッパでプレーする選手は誰?

現在スペインのバレンシアで成長中のイ・ガンイン(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

2大アタッカー不在の韓国代表

 日産スタジアムで久しぶりの「日韓戦」が行なわれる。ヨーロッパ組も含めた両国代表による試合としては、日本が3-0で完勝した2011年8月10日に札幌ドームで行なわれた親善試合以来、実に10年ぶりの顔合わせになる。

 ちなみにそれ以降に行なわれた日韓戦は、東アジアサッカー連盟が主催するE-1サッカー選手権の4試合。主に両国の国内リーグでプレーする選手をベースに編成された、B代表的なチームで対戦したものだった。

 そういう意味では、コロナ禍のなかで急遽開催が決定した異例の親善試合ではあるが、いろいろな面で注目を浴びることは間違いないだろう。

 気になる韓国代表メンバーだが、今回は新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により何人かのヨーロッパ組が招集できず、日本同様、ベストメンバーとはならなかった。しかも、当初招集メンバーに入っていたトッテナム(イングランド)のソン・フンミンと、ライプツィヒ(ドイツ)のファン・ヒチャンの参加も見送られた。

 通常、2018年ロシアW杯後に就任したポルトガル人パウロ・ベント監督率いる韓国代表は、主にヨーロッパでプレーするアタック陣と、国内を含めたアジア地域でプレーするディフェンス陣でチームを構成している。

 しかし、今回のメンバーのなかでヨーロッパでプレーするのは、フライブルク(ドイツ)のチョン・ウヨンと、バレンシア(スペイン)のイ・ガンインという、若い2人だけとなった。

 そもそも、昨年10月と11月にヨーロッパ組だけでA代表を編成した日本と比べると、たしかに韓国代表でヨーロッパ組が占める割合は高くない。しかしながら、プレミアリーグ屈指のアタッカーと評されるFWソン・フンミンを筆頭に、ベストメンバーが揃った時は、日本が警戒すべき選手が少なくないのも事実である。

 そこで、現在ヨーロッパでプレーする韓国代表選手にスポットを当て、彼らの実力と現状を整理してみたい。

歴代最高クラスのソン・フンミン

 言わずもがな、まずは近年の韓国サッカー界を牽引しているソン・フンミンこそが、現代表の大黒柱だ。

 現在28歳のソン・フンミンは、10代でドイツに渡り、ブンデスリーガのハンブルガーSV、レバークーゼンを経て、2015年にトッテナム・ホットスパーに加入。今後を見据えても、歴代アジア人選手のなかでは最高のワールドクラスと言っても過言ではない。

 過去4シーズン連続でプレミアリーグ二桁得点をマークし、6年目を迎える今シーズンもすでにリーグ戦で13ゴール9アシスト。同じく16ゴールを量産するハリー・ケインとのアタックコンビは現在プレミア最強の破壊力を誇り、トッテナムに欠かせない重要戦力となっている。

 とくに昨年はバーンリー戦(2019年12月7日)でマークした自陣エリア付近からの長距離ドリブルシュートが、最も優れたゴールを決めた選手に贈られる「FIFAプスカシュアワード2020」を受賞。世界中の話題をさらったばかりだ。

 残念ながら、3月14日のアーセナル戦で負傷したために参加を辞退することになってしまったが、仮に予定どおり来日していたら、試合の注目度がより高まったはずだ。

 続く注目株は、現在25歳のFWファン・ヒチャン。こちらも10代でヨーロッパに渡ったタレントである。

 オーストリアのレッドブル・ザルツブルクに加入してキャリアを重ね、今シーズンからドイツ・ブンデスリーガのライプツィヒに移籍。その間、ローンで先輩ソン・フンミンがプレーしたハンブルガーSVでもプレーしたほか、ザルツブルク時代にはアーリン・ホーランド(ドルトムント)や南野拓実と共演したことで、日本のサッカーファンにもお馴染みの選手だ。

 前線の複数ポジションをこなすうえ、スピード、スタミナ、フィジカル、得点感覚を兼備。新天地ではここまでリーグ戦で無得点とまだフィットしたとは言えないが、南野と似たタイプの万能型アタッカーが現代表の中核であることに疑いの余地はない。ただ、クラブの新型コロナウイルス対策の影響で、25日の日韓戦は参加を辞退する運びとなった。

大注目の若手はイ・ガンイン

 今回招集された選手のなかで注目の若手を挙げるとすれば、スペインのバレンシアでプレーするMFイ・ガンインになる。

 現在20歳のイ・ガンインは、10歳でバレンシアの下部組織に入団したスペイン育ち。2019年のU−20W杯では韓国U−20代表の一員として2ゴール4アシストをマークし、準優勝の原動力となっただけでなく、大会MVPも受賞した神童だ。

 2018年にトップデビューしたバレンシアでも年々進化を遂げて出場時間をのばしており、とくに今シーズンはスタメン出場が急増。持ち前のパスセンスとキック精度に磨きがかかり、好不調の波が少なくなった印象だ。身長173cmと決して恵まれた体格とは言えないが、デュエルの強さも向上し、実戦的なアタッカーに成長した。

 年齢的には五輪代表の主力でもあるが、バレンシアで実績を積み始めてからはA代表の常連となっており、今回も日韓戦のメンバー入りを果たしている。

 そしてもうひとり、今回のメンバーに招集されたヨーロッパ組が、初選出となったMFチョン・ウヨンだ。

 現在21歳のチョン・ウヨンは、2017年に10代でブンデスリーガの名門バイエルンと契約し、主にセカンドチームでプレー。翌年にはチャンピオンズリーグでトップデビューを果たした、将来を嘱望される若きタレントだ。

 2019年にフライブルクに完全移籍を果たすと、ローンでの武者修行を経て、今シーズンからトップチームに定着。年明けからはスタメン出場も増え、ここまで20試合3ゴールをマークするなど急成長を遂げている。

 スピードとフィジカルに優れ、前線の複数ポジションをこなす柔軟性も兼ね備えたチョン・ウヨンが日本戦で代表デビューを果たすかどうか要注目だ。

韓国代表その他の欧州組

 一方、今回は所属クラブの事情により、招集できなかったヨーロッパ組の代表選手もいる。最近の常連のなかでは、FWファン・ウィジョ(28歳/ボルドー=フランス)、MFイ・ジェソン(28歳/ホルシュタイン・キール=ドイツ2部)、MFファン・インボム(24歳/ルビン・カザン=ロシア)、MFクォン・チャンフン(26歳/フライブルク)らが、それにあたる。

 とりわけ、元ガンバ大阪で昨シーズンからボルドーでプレーするファン・ウィジョは、今シーズンも主軸FWとしてスタメンに定着。労を惜しまない守備でチームに貢献しながら、ここまでリーグアンで9ゴールを記録している。

 代表チームでも、不動の1トップとして君臨。今回はクラブの新型コロナウイルス対策によって招集は叶わなかったが、フランスで進化を遂げたファン・ウィジョが今後も代表の中核を担うことは間違いないだろう。

 その他、最近のパウロ・ベント監督のリストから外れているヨーロッパ組としては、MFペク・スンホ(24歳/ダルムシュタット=ドイツ2部)、MFキム・ジョンミン(21歳/ヴィトーリア・ギマランイスB=ポルトガル)、FWイ・スンウ(23歳/ポルティモネンセ=ポルトガル)、FWチ・ドンウォン(29歳/アイントラハト・ブラウンシュヴァイク=ドイツ2部)、FWソク・ヒョンジュン(29歳/トロワ=フランス2部)といった面々が挙げられる。

 日本ほどではないにしろ、近年はヨーロッパでプレーする韓国人選手も増加中だ。もちろん全員が代表選手になるわけではないが、今後もヨーロッパ組の活躍ぶりが韓国代表の強さを測るものさしになるだろう。

 ちなみに、過去の日韓戦の対戦成績は、日本の13勝23分40敗。果たして、今回10年ぶりに実現した親善試合ではどのような結果が待っているのか。韓国代表のヨーロッパ組2人のプレーぶりを含め、注目の一戦となる。

(集英社 Web Sportiva 3月19日掲載・加筆訂正)