早くも劣化が始まりつつある森保ジャパンのサッカーの根本的問題とは?【ボリビア戦出場選手採点&寸評】

(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

いま指揮官に求められる柔軟な対応力

 コロンビア戦から中3日、森保ジャパンが同じ南米のボリビアと対戦し、後半76分の中島翔哉のゴールにより1-0で勝利を収めた。

 ただ、試合そのものは極めて低調だった。確かに昨年11月のベネズエラ戦も低調だったが、あのときは選手を乗せたバスが大渋滞に巻き込まれ、ウォーミングアップもままならない状況でキックオフを迎えたというエクスキューズがあった。

 それを差し引いて比較してみた場合、おそらく森保ジャパンが戦った過去13試合の中では最低レベル。そう言わざるを得ないのが、このボリビア戦だった。

 もちろん、アジアカップ決勝戦からの連敗を「2」で止めたこと自体は、今後のチーム作りのための環境を整えるという意味では大きいのかもしれない。しかし、やはり今回の2連戦で注視すべきは試合内容にある。

 6月のコパ・アメリカに向け、新戦力の発掘とチーム戦術の浸透を図ることが、森保監督に課された現在のミッションであるはずだ。

 試合が低調になってしまった直接的要因は、主に2つある。ひとつは、森保監督のチーム編成方法。もうひとつは、森保ジャパンのサッカーが早くも劣化し始めている点だ。

 森保監督は、昨年10月、11月の親善試合でも、初戦と2戦目でそれぞれ別のチームを編成し、招集した選手ほぼ全員をピッチに立たせるという手法でチーム強化を図ってきた。いわゆる主力組のAチーム、サブ組のBチームに分けるパターンだ。

 今回の2連戦で言えば、コロンビア戦がAチーム、ボリビア戦がBチームになる。

 特にこのボリビア戦では、西、畠中、安西、橋本、小林、宇佐美、香川、鎌田と、森保ジャパン初招集の選手が一気に8人もスタメンに名を連ねた。かねてから森保監督のサッカーを知る選手は、GKシュミット・ダニエル、三浦、乾の3人のみというチーム編成だ。

 たとえボリビアが若手主体のメンバーだったとしても、さすがにこのスタメンでハイパフォーマンスは望めない。おそらく森保監督も、試合前からこうなることをある程度は覚悟していたと思われるが、それにしても、フレッシュという域を超えるこのメンバーで、戦力の底上げを図ろうとすること自体に無理がある。

 緊張しながらも、自分の良さを発揮しようと必死だった選手と、過去の代表における実績から、結果を残してAチーム入りを果たしたいと考えた選手とのギャップは大きい。香川、乾のプレーからフラストレーションが感じられた原因はそこにある。

 それによって評価を下げてしまうなら、もはや経験豊富な彼らをスタメン起用する意味はない。コロンビア戦のようにAチームの試合で途中出場したほうが遥かに実力を発揮しやすいだろうし、全体の戦力の底上げにもつながるはずだ。もちろん、初招集組についても同じことが言える。

 理想は「ハーフ、ハーフ」。戦力の底上げを目指すなら、主力数人を軸に新戦力数人をミックスしたチームを2つ作ったほうが、途中交代も含めてより多くの組み合わせをテストできたはず。コパ・アメリカ前に2試合が予定されていることを考えれば、今回の2連戦はそれくらいの余裕があって然るべきだった。

 そして、メンバー編成の問題に拍車をかけているのが、出場選手が変わるとサッカーの中身も大きく変わってしまうという現在の森保ジャパンの状況だ。どちらかと言えば、こちらの方がボリビア戦の低調ぶりの根本的原因と言える。チームに確固たるプレーモデルがあれば、選手が変わってもこれほど戦術が崩れることはないからだ。

 振り返れば、昨年の5つの親善試合では、おぼろげながら森保監督の目指すサッカーが見え始めていた。たとえば、マイボール時に4-2-3-1から3-4-2-1へと可変するサッカー。ハーフスペースを有効に使ってボールを保持しながら攻撃し、守備においては全体をコンパクトにしてボールの即時回収を目指したサッカーだ。

 しかしアジアカップでその面影が薄くなり、選手任せの西野式スタイルにその針がふれ始めると、今回の2連戦では昨年の5試合で見せた森保スタイルがほぼ消滅。チーム戦術の骨格が揺らぎ始めた結果、出場選手によってプレーモデルも大きく変わってしまうというアドリブ性の高いサッカーに移行した印象だ。

 ほとんどのプレーは選手次第。主にボールホルダーのビジョンだけで次の一手が決まってしまうというサッカーになってしまったのが、現在の森保ジャパンだ。ダイレクトプレーが激減し、森保監督がよく口にする「連動性」も失われてしまった格好である。

 それは、後半途中から登場して試合の流れを変えた中島、南野、堂安の3人にも言える。昨年の親善試合と比べると、明らかにお互いが連動する頻度は減少傾向にある。さらに言えば、個人としてのパフォーマンス自体も低下しつつある。

 メンバー招集と起用方法については、それこそ監督の専権事項。森保監督の考え方が変わらない限り、それが変わることはないだろう。しかし、昨年の親善試合でできていたことができなくなっている現在の状況については、指揮官も大いに反省すべきだろう。

 問題を放置すれば、森保スタイルの劣化は今後さらに進むはずだ。早期発見と早期治療こそが、病を治療するときの大原則。指揮官が日ごろから選手に求める「臨機応変」、「対応力」といったフレーズは、皮肉にも、いま指揮官自身に求められている。

※以下、出場選手の採点と寸評(採点は10点満点で、平均点は6.0点)

【GK】シュミット・ダニエル(GK)=5.5点

積極的にビルドアップに参加したものの、特長を発揮するには至らず。一方、ほとんどピンチがなかったため、守備面においては特筆すべきプレーはなかった。

【右SB】西大伍=5.5点

地味ながら戦況を見極めた落ち着いたプレーを見せて持ち味を発揮した。ただ、酒井や室屋とのタイプの違いは武器ではあるが、今後このチームで生き残れるかは微妙なところ。

【右CB】三浦弦太=5.0点

この試合では最終ラインのリーダーとして期待されたが、ビルドアップ時のプレーがセフティすぎた。ドリブルで持ち上がるなど、数的優位を生かしたプレー選択が求められる。

【左CB】畠中槙之輔=5.5点

代表デビュー戦ながら無難にプレー。58分の乾への縦パスが決定機の起点になるなど、積極的に起点となった。ただし、まだ個の能力を磨かなければスタメンを脅かせない。

【左SB】安西幸輝(73分途中交代)=5.5点

精力的に上下運動をしてアグレッシブさは見せたものの、乾のポジショニングに合わせて効果的に連動する動きと、クロスボールといったプレーの精度に課題を残した。

【右ボランチ】小林祐希(68分途中交代)=5.0点

途中出場のコロンビア戦では中盤のテンポを上げてタイプの違いを見せたが、この試合では気負いすぎたのか無駄なランニングでポジションを空け、ボランチの役割を果たせず。

【左ボランチ】橋本拳人=5.5点

相手の攻撃の芽を摘み取るプレーなど、デビュー戦ながら特長を出せたという点では、小林との補完関係も含めて及第点。ただ、攻撃に関しては周囲との絡みも含めて課題は多い。

【右ウイング】宇佐美貴史(61分途中交代)=5.0点

全体的に低調なパフォーマンスに終始し、決定的な仕事をできないままベンチに下がった。ハリルジャパン時代から周囲との連動という点で課題はあったが、現在も症状は同じ。

【左ウイング】乾貴士(61分途中交代)=5.5点

精力的に動き回ってボールによく絡み、多くのチャンスを作った。ただ、前半2度の好機でミスするなどフィニッシュの精度が低かった。フラストレーションがプレーに出た格好。

【トップ下】香川真司(68分途中交代)=5.5点

得意のトップ下でプレー。下がってボールを受けてから展開するという効果的なプレーはできていたが、鎌田とのコンビネーションが少なすぎた。不満を抱えたまま途中交代した。

【CF】鎌田大地(83分途中交代)=5.5点

不慣れな1トップでプレーしたためか、自分の特長を出せずに苦しんだ。堂安、中島、南野が投入された後のほうがプレーしやすそうだった。後半58分の決定機は決めたかった。

【MF】堂安律(61分途中出場)=5.5点

中島の決勝ゴールのシーンではカウンターの起点となった。ただ、それ以外のプレーで特筆すべき点は少なく、ここ数試合は自らストレスを溜めてしまうパフォーマンスが続く。

【MF】中島翔哉(61分途中出場)=6.5点

76分のゴールは中島ならではのテクニカルな一撃。出場してからゲームの流れを変え、何度もドリブルで相手を脅かした。ただし、ドリブル後のロストや守備面で課題は残った。

【MF】柴崎岳(68分途中出場)=6.0点

試合がオープンな展開となった中で途中出場し、視野の広さ、パス精度など、今回のボランチ4人の中で突出していることは証明した。この試合のパフォーマンスは及第点。

【MF】南野拓実(68分途中出場)=5.5点

決勝点のシーンでは、堂安からのパスをスムースに中島につなげてお膳立て。ただ、コロンビア戦同様、気持ちが焦ってシュートが決まらず、プレーに余裕が感じられなかった。

【DF】佐々木翔(73分途中出場)=5.5点

中島が入ったことで、守備面を強化する意味も含めて安西に代わって出場。大外をオーバーラップしてクロスを上げたが、その精度が問題。特に86分のクロスは合わせたかった。

【FW】鈴木武蔵(83分途中出場)=採点なし

プレー時間が短く採点不能。試合終了間際に鎌田に代わって途中出場。