Yahoo!ニュース

鈴木優磨が止まらない。3試合連続ゴールで2020年を締めくくる

中田徹サッカーライター
ベールスホット戦で決勝ゴールを奪った鈴木優磨 【写真提供:STVV】

■STVVの復調は鈴木のゴールラッシュとともに

 STVVは12月30日のベールスホット戦を1対0で勝ち3連勝。降格圏の17位から脱出し、順位を14位に上げて2020年を締めくくった。

 好調STVVを引っ張るのが鈴木優磨だ。12月19日のズルテ・ワレヘム戦(2対0でSTVVの勝利)では右ウイングバック、コーフリエの折り返しを、鈴木はゴール正面からダイレクトシュートで決め、チームに貴重な先制ゴールをもたらしてから、チームの連勝と鈴木のゴールラッシュが始まった。

 続く26日のスタンダール戦(2対1)では、開始早々の5分、鈴木らしいチェイシングで相手ボールを奪って敵のDF網を破って前進してから、2トップを組むナゾンにゴールをアシスト。16分にはコーナーキックをファーサイドからヘッドで合わせてゴールを決め、チームの全得点に絡む活躍を見せた。

 ベールスホット戦の41分には、ショートコーナーからのクロスを、またしてもファーサイドに潜り込んで、頭で合わせて3試合連続ゴールを達成。これで今季の通算ゴールを8に伸ばした。得点王ランキングで鈴木は8位タイに付けている。

■「鈴木はかつてのレベルを取り戻した」(ファン・デル・エルスト氏)

 それまでの鈴木は現地のメディアやファンから不調を指摘されていた。1対2で敗れ、最下位にチームが沈んだ12月12日のシャルルロワ戦後、地元紙『ヘット・ベラング・ファン・リンブルフ』は鈴木をこう評した。

鈴木:5 強靭なゼブラたち(『ゼブラ』はシャルルロワの愛称。ここでは主にDF陣)とのデュエルに負けっぱなし。フォームを崩している

 続くズルテ・ワレヘム戦からの、鈴木に対する寸評を並べると以下の通りとなる。

対ズルテ・ワレヘム

鈴木:6 まだ本調子とは言えないが、先制ゴールを見事に決めた

対スタンダール

鈴木:8 今季のベストマッチ。ナゾンの先制弾をお膳立てし、自らも2対0とするゴールを決めた

対ベールスホット

鈴木:7 開始早々の2分に早くもスペースが生まれるが、シュートは外れた。困難な試合になったが、今季の8ゴール目をヘッドで決める。2度目のヘディングシュートは惜しくも決まらなかった

 STVVに移籍から最初の半年、鈴木はボリと好コンビを組んだ。そして今、ナゾンという新たなパートナーを見つけ、お互いに活かし合っている。スタンダール戦の翌日、かつてのベルギー代表の名選手、フレンキー・ファン・デル・エルスト氏はサッカートーク番組『エキストラ・タイム』でSTVVの復調を紹介。その中で「鈴木とナゾンで組むSTVVの2トップは素晴らしい。鈴木はかつてのレベルに戻ってきた」と語った。

■鈴木、ナゾン、コリーディオの強力トリオ

 だが、“鈴木とナゾンの2トップ”という表現には注意が必要だ。タクティカル・ラインナップでは確かに鈴木とナゾンが2トップを組んでおり、コリーディオがトップ下と記されている。しかし、実際にはSTVVの前線は、【左:ナゾン】【中央:鈴木】【右:コリーディオ】という並びになっている。それでも“2トップ”と表現されるのは、コリーディオが右サイドで中盤のように広範囲でプレーしているから。一時期、鈴木もこのポジションでプレーし、右サイドから頻繁にクロスを入れていた。

 直近のベールスホット戦を振り返ると、16分のカウンターでナゾンがカットインから相手ゴール前まで迫ったとき、あえて鈴木はゴールから遠ざかる動きをして、右サイドに上がってくるコリーディオのためにスペースを作った。コリーディオのシュートは決まらなかったが、鈴木のフリーランニングによって、STVVは『詰み』の形を作っていた。このように鈴木とナゾンが相手を寄せて、コリーディオをフリーにするのは、最近のパターンだ。

 また、コリーディオとナゾンが左右のハーフスペースに上がり、鈴木がトップ下に落ちるシーンも多い。前線で相手のCBと競り合うより、うまくラインの間にポジションを取ってボールをさばいている。

 守備面でも、鈴木のオフ・ザ・ボールの動きが効いている。前半は相手の2枚のセントラルMFを常に視野に入れながら、敵のCBのパスコースを切り続け、ベールスホットは中央でポイントを作れなかった。

 相手を追ってサイドに釣り出されたときの鈴木は、ナゾンやコリーディオに向かって「俺の裏を見てくれ」と合図しながら動くことも多い。後半途中からベールスホットがシステムを変更してから、鈴木はベールスホットのMFサヌシの見張りに専念でき、コースを切るだけでなく、対人でも力を発揮した。

 鈴木は2トップの一角、トップ下、インサイドハーフと試合中に姿を変えながら、ナゾン、コリーディオとのトリオを形成している。この“変形2トップ1シャドー”は、相手にとって、ちょっと捕まえづらいのではないだろうか。

 最近のゴールラッシュと好守に生き生きしたプレーを見ていると、2021年は鈴木は覚醒の年になるかもしれない。

サッカーライター

1966年生まれ。サッカー好きが高じて、駐在先のオランダでサッカーライターに転じる。一ヶ月、3000km以上の距離を車で駆け抜け取材し、サッカー・スポーツ媒体に寄稿している。

中田徹の最近の記事