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オランダ代表ロナルド・クーマン監督、ベラルーシ戦後の熱い記者会見

中田徹サッカーライター
昨秋のフランス戦と同じメンバーでベラルーシ戦に臨んだオランダ(写真:ロイター/アフロ)

3月21日、オランダがベラルーシを4−0で下し、2020年ユーロ(サッカーの欧州選手権)出場に向けて幸先のいいスタートを切った。しかし、ロナルド・クーマン監督の口からは厳しい言葉ばかり続いた。

■ 控え選手たちの振る舞いからうかがえるオランダのチームスピリッツ

 オランダのメンバー表には、昨年11月、フランスを2−0で下した時と変わらぬ名前が11人並んだ。

「フランス戦はここ数年のオランダにとってベストゲームだった」と語るロナルド・クーマン監督は「代表チームの性質上、メンバーが揃って活動する時間が取れない。だから、フランス戦のメンバーで固めて、ベラルーシ戦に挑んだ」と説明した。フランス戦は4ヶ月も前のこと。DFドゥムフリース(PSV)、FWデパイ(リヨン)など、最近は所属クラブで調子を落としている選手がいたが、ベラルーシ戦でその心配は無用だった。デパイは2ゴール2アシストとチームの全ゴールに絡み、ドゥムフリースはタイミングのよい攻め上がりからチームの2ゴール目に絡んだ。

 試合後、クーマン監督がデパイを絶賛したのはもちろんのこと。さらに、控えメンバーのチームスピリッツも讃えた。

「メンバーを固定したことで、ベンチに座る選手たちにとって難しい状況を生んでしまったかもしれないが、ゴールが決まるごとに喜び、試合が終わった後は肩をたたいて勝利を祝福し、最後はしっかりサポーターに挨拶して回る姿は素晴らしかった」

 だが、ピッチ上でみせたオランダのパフォーマンスに関しては、かなり辛辣だった。

■ クーマン監督「プレーの規律がもっと必要」

「前半の大部分が良くなかった。緩慢で、遊び心の過ぎたプレーが多く、ヒールキックばかり。(守備では)中央で相手にスペースを与えた。もっと規律に則ったプレーをしないといけなかった。少しばかり遊び心があっても良いし、実際にヒールキックからゴールも生まれた(デパイのヒールキックからワイナルドゥムのゴールが決まった2−0のシーンを指す)。だけど、今日の前半は、自分たちで試合を苦しいものにしてしまった」

 指揮官が具体的に挙げたのはGKシレセンが、敵を背負ったMFフレンキー・デ・ヨングにフィードを出し、ミスパスとなった14分のシーンだった。シレセンと一対一になりかけたステセビッチに、Fデ・ヨングが追いついてボールを奪い返してなんとかオランダはピンチを脱した。それ以外にも、中盤でのボールロスト、相手ストライカーへの対応の甘さなど、「あれ!?」と思う場面が前半のオランダにはいくつかあった。

 クーマン監督の言葉がどんどん熱を帯びていった。

「ヤスパー(シレセン)のパス出し。あんなことはだめ。このチームは(フランス戦で示したように)とてもいいサッカーが出来るけど、もう少し規律が必要なんだ。それが個々の選手の成長、チームの成長につながっていく。今日のような試合内容だと、いずれ勝ち点を失ったり、相手にゴールを許したりしてしまう」

 グループC最大のライバル、ドイツとのクラッシュを3日後に控え、クーマン監督の熱いメッセージが伝わってきた。

【注】

2018年11月16日ロッテルダム オランダ対フランス(2−0)

GK シレセン

DF ドゥムフリース、デ・リフト、ファン・ダイク、ブリント

MF デ・ローン、Fデ・ヨング、ワイナルドゥム(89分ビレーナ)

FW ベルフワイン(86分プロメス)、デパイ、バベル(90分アケー)

2019年3月21日ロッテルダム オランダ対ベラルーシ(4−0)

GK シレセン

DF ドゥムフリース(68分テテ=69分負傷退場)、デ・リフト、ファン・ダイク、ブリント

MF デ・ローン(HTプロパー)、Fデ・ヨング、ワイナルドゥム

FW ベルフワイン、デパイ、バベル(59分プロメス)

サッカーライター

1966年生まれ。サッカー好きが高じて、駐在先のオランダでサッカーライターに転じる。一ヶ月、3000km以上の距離を車で駆け抜け取材し、サッカー・スポーツ媒体に寄稿している。

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