ゲームショウの目玉にもなった「eスポーツ」、日本での現状

東京ゲームショウ2017、ストリートファイターVでの対戦シーン(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

9月21日から4日間にかけて国内最大級のゲームイベント「東京ゲームショウ2017」が開催された。様々なゲーム関連企業約600社が出展したゲームショウだが、今年の目玉は「eスポーツ」だった。eスポーツ向けタイトルやゲーミングデバイスを提供する企業が多く参加していたことはもちろん、特設ステージにて「e-Sports X」という大会企画も開催された。

東京ゲームショウ2017 会場MAP
東京ゲームショウ2017 会場MAP

画像:http://expo.nikkeibp.co.jp/tgs/2017/public/map/index.html#map9_11

マップの通り、かなり大きなステージ2つに各500席ずつの観戦席が用意され、FPSや格闘ゲーム、スポーツ・アクションの他、スマホゲームを含め8タイトルで競技が行われた。筆者は一般日2日目の「ストリートファイターV」と「CSO2(カウンターストライクオンライン2)」を観戦しに行ったが、多くの立ち見が出るほどの盛況ぶりだった。

特に盛り上がりを魅せたのはストリートファイターVの有名プレイヤー「ときど(Tokido)」選手が登場した時である。東大卒でありながらプロゲーマーという異色の経歴を持つ彼が登場するとひときわ歓声が起こり、勝利すればさらに大きな拍手が沸き起こった。あのワンシーンを見るだけでも、今までeスポーツを見たことが無かった方々もeスポーツは「スポーツ」なんだと感じられたことだろう。

さて、今年はゲームショウの目玉として扱われたこともあり数多くのメディアで国内eスポーツが盛り上がってきたと記事を掲載しているのでここではそんなeスポーツが日本でどのような現状にあるのかを出来る限り詳細に見ていくことにする。

eスポーツが日本で流行るのか流行らないのかの議論をする際にはテーマとして大きく2つの問題が挙げられることが多い。1つ目は賞金に関する法律的な問題、2つ目はeスポーツ向きなゲームタイトル(ゲーム性)の問題だ。

まず賞金に関する法律的な問題について、筆者は法律家ではないため別途専門家の意見を聞いて詳しく掘り下げたいが、景表法や刑法賭博罪等の法律によって高額な賞金を付けた大会を開くことが難しいのが現状だ。こちらの問題に関しては下記記事が詳しい。

世界で盛り上がるe-Sportsの高額賞金制大会が日本で開きづらい訳

http://jp.ign.com/cedec-2017/16931/news/e-sports

海外では数億円単位の賞金が用意されているのに、国内では数十万円、多くても100万円や200万円といった金額でその差はあまりにも大きい。これが良く指摘される1つ目の点だ。しかし、この点については最近動きが活発化してきておりeスポーツの団体が統合し新設するとの発表がされ、日本オリンピック委員会(JOC)への加盟を目指している。これらの活動により公式にプロライセンスが認定されると景表法に関しての規制が適用されなくなる。

日本eスポーツ協会 理事の中村伊知哉 氏による発表記事

https://news.yahoo.co.jp/byline/nakamura-ichiya/20170923-00076085/

こうした動きにより、賞金の問題は徐々に解決されていくとだろうし、高額賞金が出せない状況が仮に続いたとしても、eスポーツの収入源は賞金のみに頼っているわけではないことを付け加えておきたい。

eスポーツには他のスポーツと同じく、プロのゲーマーが居て個人戦のゲームには個人のプロゲーマー、チーム戦のゲームにはプロのゲーミングチームがある。多くのプロゲーマーは固定給+歩合制としているが、当然賞金のみから固定給を出すのはリスクが高すぎる。そこで、他のスポーツと同様にスポンサーが付いているし、ネット配信からの収入もある。むしろこちらの収入がメインで賞金はボーナスのような感覚だ。

スポーツで高額な賞金が出るというと、サッカーのUEFAチャンピオンズリーグなどが上げられるが、レアル・マドリーやバルセロナといったビッグクラブを見てもリーグ優勝やカップ戦の優勝賞金よりも、放映権の分配金、入場料、スポンサー収入が安定した収益として成り立っている。Jリーグに至っては最近放映権の分配金が増額されたものの、収益の大部分をスポンサー収入と入場料、他グッズ販売などで構成されている。

プロゴルファーもよく賞金ランキングが注目されるが、トッププレイヤーになればなるほど賞金よりもスポンサー収入の方が大きくなるし、ほとんどのメジャースポーツがそのような収益構造になっているから、賞金の問題はよく話題に上がるがもし仮に解決されなくともこのような構造を考えると致命的ではないかもしれない。ただ、解決されることによって盛り上がることは間違いないし、それに付随する問題も解決されていくのでJOC加盟には大いに期待したい。

次にゲーム性の問題だ。eスポーツが他国に比べてイマイチ日本で盛り上がって来なかった理由として、世界で人気のあるeスポーツ向きなタイトルがなかなか普及してこなかったことがあげられる。試しにeスポーツで盛り上がっている代表的なゲームジャンルとタイトルをご覧頂きたい。

・MOBA(Multiplayer online battle arena)

League of LegendsDota 2

・FPS,TPS(シューティング)

 Call of Dutyシリーズ(リンクは最新作のWW2)、COUNTER STRIKEシリーズ(主にCS:GO)、OverWatch

・TCG(トレーディングカードゲーム)

 Hearth StoneShadowverse(国産)

・格闘ゲーム

 ストリートファイターV大乱闘スマッシュブラザーズ

この中でどれだけ知っているタイトルがあるだろうか。恐らく、学生時代にゲームを楽しんでいたり、現在スマートフォンでゲームをプレイする方でも格闘ゲームの2タイトルとShadow Verse以外はほとんど知らず、特にMOBAというジャンルについては聞いたこともないということがほとんどだろう。これらのタイトルを見てわかる通り、世界的にeスポーツで人気のあるタイトルの認知度が国内では低い。

上記の中でもeスポーツとして最も競技人口が多いのがMOBAというジャンルで、賞金が数億円も付いている大会が開催されるDota2やLeague of Legends(以下、LoL)がこれに当たる。LoLに関しては2016年時点でMAU(月間アクティブユーザー)が1億人*1、2015年に開かれた大会では3,600万もの視聴者を集めるほどの人気ぶりなのだが、国内ではアクティブなユーザー数は約10万程度と見られており*2、まだまだこれからといった段階だ。

MOBAというジャンルは大まかに説明すると、3vs3や5vs5で対戦するチーム戦で、相手陣内のタワーを破壊したら勝利というルールだ。ゲーム開始からモンスター(多くのゲームではミニオンと言う)を倒しつつ経験値とアイテム購入のためのゴールドを集め、徐々に自分が操るキャラクターを強化し、仲間と連携して勝利を目指すというもの。試合ごとにレベル1からのスタートで、毎試合違うドラマが生まれるのが面白い。また、他のゲームに比べて(キャラクターごとの相性はもちろんあるが)ほとんど運要素が無いため、実力の結果が反映されやすい。

このようなゲームシステムなのだが、国内ではジャンル自体の認知度が低いため国内の企業もMOBAタイトルをほとんど開発してこなかったという経緯もあって、MOBAというジャンルは国内で人気を獲得することが難しかった。そのため、eスポーツで最も人気のあるジャンルが認知されていない日本ではeスポーツが盛り上がりに欠けてしまっていたことは仕方ないかもしれない。

しかし、最近では徐々に国産のスマートフォンMOBAタイトルが開発されたり、今年の3月にはLoLの日本サーバーの正式サービスが開始されたり(オープンβは2016年3月から)、プロリーグも活発に活動しているので数年後には日本でもMOBAが流行っていることは大いに考えられるだろう。

その他、MOBA以外のジャンルに関してFPSは一定数のコアゲーマーは国内でも十分に存在するし、プロゲーミングチームも増えてきており、それらチームのスポンサーも年々数を増してきている。格闘ゲームは認知度だけで言えば上記のジャンルでは一番高く、昔ゲームセンターに通っていたがゲームの動画やeスポーツの大会は見たことがなかったという潜在的な層も取り込めればより一層盛り上がることは間違いない。TCGはオンライン、オフラインに限らず日本では遊戯王が爆発的に流行ったことからもわかる通り、元々のポテンシャルを考えると大流行する可能性も秘めていると思う。

ただ、こうした環境的な問題の他にHearth StoneやLoLといった世界的に人気なタイトルでは日本人ウケがあまりしないデザイン(主にキャラクター)であると指摘されることが多いのも今後解決が必要になるかもしれない。例えば、LINEのスタンプとFacebookのスタンプを比べるとやはりキャラクターのデザインが全然違く、Facebookの方は日本人には馴染みの薄いデザインだ。これと同じくカードゲームでもHearth Stoneのキャラクター(海外製)とShadow Verseのキャラクター(国産)を見ると多くの方はキャラクターだけで見れば後者の方が馴染みやすいと思う。

Hearth Stone
Hearth Stone

画像:Hearth Stone Press KitよりMeet the Lich King 1

Shadowverse
Shadowverse

画像:ShadowverseプレスキットよりArisa

既に世界で大人気のタイトルが日本向けにこれからデザインを寄せていったり、新キャラクターを日本ウケ狙いのデザインで作っていくことは可能性としてゼロではないが、他国のユーザーを考えると難しいだろうから、今後はHearth StoneとShadow Verseのように、国産タイトルのeスポーツ参入も重要なポイントになってくるだろう。

おまけ(ゲーマー読者向け筆者上記ジャンルゲームのプレイ具合)

Vainglory: EA鯖 tier 9g MAX、レーンでヴォックス or イドリス が主。現在放置中のためゲージ自然減少中。

LoL    :まだレベル15でルシアン、マスター・イー、アッシュしか使ったことない初心者。

CoD    :基本全作(AW以降)購入&プレイ。WW2 PC版βテスト絶賛練習中。キルレ1.0突破目標、キルストリークが出せたら幸せ。

シャドバ :ランクB+あたりで力尽きました

スマブラ :ゲームキューブで引退。

玄人ゲーマー向け

中国や韓国でeスポーツ、PCゲームが流行った背景などは既にネット上に記事がたくさんあるので興味のある方は色々と調べてみると楽しいかと思います。細かく書くと長くなり過ぎてしまうので割愛しましたが、ジャンルやゲームごとに状況も違うし課題も違うと思うのでそれはまた別途書ける時に書きたいと思います。