YouTube Gaming「スポンサー」機能の提供を開始 月額課金の新しい形

(写真:アフロ)

昨日、YouTubeのゲーム実況専門サービスであるYouTube Gamingにて「スポンサー」機能の提供が開始された。ゲーム実況者がスポンサー機能を有効にしていれば、視聴者が月額$4.99(日本では月額490円)を支払うことでスポンサードでき、その見返りとして様々な特典が貰えるというものだ。

YouTube Gaming上のスポンサーボタン(筆者撮影)
YouTube Gaming上のスポンサーボタン(筆者撮影)

スポンサーとなったユーザーへの特典として、

・スポンサーバッジの表示

ライブ配信へチャットを書き込んだ際に名前の横に配信者が設定したバッジが表示される。つまり、スポンサーでない視聴者と見分けがつくようになる。

・スポンサー専用のカスタム絵文字

ゲーム実況者側が絵文字を作り登録していれば、チャットでその絵文字が使えるようになる。YouTubeがLINEスタンプなどを作っていることが多いが、それがYouTubeのライブ配信時にも使えるようなイメージ。

・スポンサー限定のチャット

ゲーム実況者側が設定していれば、ライブ配信時にスポンサーだけがチャットをできる配信も可能。ただし、ライブ配信自体をスポンサー限定で配信することはできない模様。私としてはこの機能を使う配信者はあまり居ないと思うし、後述のTwitchでも使用例をほぼ見ない。

以上の3つが提供される。なお、いくつかのメディアで"配信者から直接デジタル商品を購入できる"という表現が見受けられたが、これは公式ヘルプ*1に記載の"スポンサーシップを利用すると、視聴者が毎月の定期支払でデジタル商品を購入できるようになります。"を勘違いされておられると思うが、何かしら写真や音声なんかを売るような機能は現状ないことを付け加えておく。

さて、現在主要な機能が上記の3つのみ、しかもチャットで少し目立つだけ。もしかしたら、普段インターネット上で個人のライブ配信をご覧にならない方からは全く魅力がわからないと言われてしまうかもしれない。しかしながら、この機能はスポンサー機能の開始と同時に終了する有料チャンネル機能より遥かに上手くいくと考えている。以前の有料チャンネルは料金を支払ったユーザーのみアクセスできるというもので、ほとんど使われることなく終わってしまった。

有料チャンネルが利用されなかった理由は一概には言えないが、大きな問題として有料限定コンテンツを作るというのはYouTubeで人気を獲得していく上で正反対のアクションとなってしまうことがあげられる。YouTubeでより多くの視聴者を獲得するにはまだ自分を知らないユーザーに「あなたへのおすすめ」や検索ワードでの上位表示、SNSでのリコメンドなどを通じて見てもらうことが必要だが、有料コンテンツになると既存のコアなファン層しか見てもらえない。もちろんその有料コンテンツが口コミで広がっていくこともあるし、動画以外ではそのような広がり方で成功しているパターンもあるが、YouTuberは露出してなんぼの世界なので上手くワークしなかったのかもしれない*2。

これに対して今回提供が開始されたスポンサー機能は絵文字とバッジを作る以外には普段の活動と変わることなく、より多くの視聴者を獲得するための活動に付随した機能となっている点が異なる。絵文字とバッジの作成は強制ではなく任意のようなので、それらが無くとも純粋に応援したいという気持ちで有料スポンサーになってくれる視聴者を募ることもできなくはない。このようにスポンサー機能を有効にすることによってゲーム実況者側に負担が過度にかからない点が新しく、有料チャンネルとは違って良い。

次に、スポンサー登録をするユーザーの動機についてだが、多くの場合

1.純粋に応援したい

2.ライブ配信者に名前を覚えてもらいたかったり、コメントを読んでもらいたい

3.ライブ配信者の絵文字を使いたい

といった理由から登録すると考えられる。

実はライブストリーミングサービスの「Twitch」にもスポンサー登録機能があり、こちらを見ている限り1と2が多く感じられ、絵文字はせっかくだから使い時があれば使うというような雰囲気だろうか。筆者もブラジル人のPUBG配信者を最近スポンサー登録したのだが、動機としては「もっと配信を増やして欲しい。生活の足しになれば。」という気持ち(実際に登録した時は他の人がめちゃくちゃ登録してたので何となく自然にしたと思うが)。ただ、日本の場合、絵文字のクオリティーも高い配信者も多く出てきそうなので絵文字が使いたくてスポンサー登録するというパターンも出てくるかもしれない。

ここで1と3については理解できるが、

2.ライブ配信者に名前を覚えてもらいたかったり、コメントを読んでもらいたい

という動機が共感できないという方もいらっしゃるかもしれない。YouTubeやニコニコなどを全く見ない方は、ゲーム実況が好きな人はゲーム実況者が好きだし、アイドルが好きな人はアイドルが好き、ゲーム実況者のライブ配信で自分のコメントが読まれ反応してくれたら嬉しい、という気持ちは、アイドルのライブで自分に手を振ってもらえたら嬉しい という風に考えておいて頂ければと思う。

スポンサー登録をすると、数分間チャット欄にスポンサー登録したユーザーの名前が上部に掲載されるし、ほとんどの配信者はスポンサー登録をしてくれた際には名前を呼んでお礼を言う。この上部表示とコメントが読まれるというのは「Super Chat」*3という投げ銭機能でも同様なのだが、普段のコメントもバッジが付くことによって目立つようになるので人気配信者のチャット欄では特にコメントを読んでもらいたい視聴者には嬉しい機能だろう。また、Super Chatは単発で今月が100万円貰えても来月は0円かもしれないという機能だが、スポンサーはある程度安定した収益が見込めるためゲーム実況者からするとこちらの方が活動に集中できそうだ。

まだまだ正式提供が開始されたばかりではあるが、私としては今後スポンサー登録は定着し、ゲーム実況がさらに発展する手助けとなると思っている。今後も注目してチェックしていきたい。

補足情報

・YouTube Gamingでの提供であり、通常のYouTubeからはスポンサー登録が今はできない。

・YouTube Gamingは国内ではiOSアプリが提供されておらず、iPhone利用者は海外のApp Storeのアカウントを開設してDLするか、ブラウザからアクセスすることが必要。

・YouTube GamingはYouTube内でゲームの動画をアップしたり、ライブ配信をすると自動的にGamingにも配信されるのでゲーム実況者側で新しくチャンネルなどを開設する必要はない。管理画面からスポンサー機能を有効にするとGamingの自身のチャンネル、動画、ライブ配信にスポンサー登録ボタンが配置される。

・値段は現在一律490円で、変更はできない模様。Twitchには$4.99~$24.99までの3種類の金額がある。

・登録できる絵文字の数はスポンサー数によって変動していく。詳しくは*1の公式ヘルプを参照。

・現在はGamingのみだが、通常のYouTubeでもテスト中とのこと。

※9月30日追記:開始から1週間ほど様子見してみましたが、数百人はスポンサーが集まっている方もチラホラ見かけます。一点だけ予想外だったのは多くのスポンサーを集めた方の配信だと、チャット欄がスポンサーだらけで徐々にスポンサーではない人がマイノリティになりコメントがしにくくなるという点です。私が見ているチャンネルでしか雰囲気は確かめられていないですが、中にはスポンサーを付けた後にスポンサーのみがほとんどコメントを書き込み、非スポンサーはロムになり、コメントの数自体は減っているように感じました。この辺はニコ生でも昔からありましたが、段々と身内ノリなコメントが多くなり過疎になってしまう原因になりかねないので、スポンサーのバランスとスポンサーではない方でもコメントしやすい雰囲気作りには気を使わないといけないのかなと思います。

  • 1:公式ヘルプ
  • 2:数年後、もうこれ以上視聴者の獲得は見込めないけど、収益性を上げたいという段階に達したYouTuberが多くなってきた場合には利用するYouTuberが増えると思うので有料チャンネルが再開されるかもしれないですね。実際にニコニコ上ではトップ層が数年前からYouTubeに比べるとお気に入り数、再生数が伸びなくなってしまったが、有料チャンネルに関してはまだ会員数が増えていることも多い。ただやはり、普段のコンテンツを作りながら有料コンテンツも作るというのは大変で苦労されてますね。だんだんと有料コンテンツの更新頻度が落ちてしまうこともしばしば。
  • 3:Super Chatについて2日前に記事を書きました。PUBGの衝撃 YouTuberの新しい収益源「投げ銭」が国内で流行の兆し

  まさかその1日後にスポンサー機能が発表されるとは予想外。