IPO直前のTwitter、最近の変更劇の目的とは

Twitter IPO
Twitter IPO

TwitterのIPOが間近に迫ってきた。米国時間の11月7日に、この140文字以内でコミュニケーションを取るというサービスの株は全部で110億ドルの価値となり取引が開始される。

2006年に誕生したTwitterはシンプルなサービスながら、リアルタイム性とフォローという一方通行性の概念をソーシャルネットワークに導入し、これまで成長してきた。僕がTwitterに関して一番すごいと思っているのは変更の少なさだ。7年間ここまで変更を加えずにシンプルさを保って成長してきたネットサービスはあまり見当たらない。

しかし、IPO申請をしてからTwitterにしては珍しく多くの重要な変更を加えてきた。そこで本稿ではここ最近行われた重要なアップデートの目的を僕なりに分析した結果をお伝えする。

最近加えられたTwitterの変更・新機能

・写真やビデオのデフォルト表示

・フォロワーからのDM受取(相互フォローなし)

・デスクトップ版でDMを上部のメニューバーに表示

・会話を縦線で繋いでタイムラインに表示

・リプライ、リツイート、お気に入りなどのアクションをデフォルト表示

上記の5つの変更がここ最近変更された点だ。これらの変更を見ると実にFacebookに近づいているように感じる。写真やビデオのデフォルト表示もそうだし、リプライ、リツイートなどをデフォルトで表示したのも同じくFacebookに似ている。

写真やビデオの件に関しては広告主向けの機能強化という側面はあるが、どれもユーザー同士のコミュニケーションを活発化させるための変更だ。なぜここへ来てこんなにも変更を加えたのかといえば、それは現在のTwitterのアクティブユーザー数の少なさが原因だろう。

月に1回はTwitterを使う月間アクティブユーザーは現在Twitterの登録者約10億人のうち、約1/4にあたる2.3億人である。これに対してFacebookは11.9億人であり、Instagramですら1.5億人である。

TwitterとFacebookの違いは実名か匿名(実名でもできるけど)はよく指摘されるが、フォローかフレンドという点がアクティブ率に大きく影響していると思う。SNSに投稿するインセンティブというのは基本的に誰かが見ていて反応してもらうためだ。

フォロワーやフレンドがゼロの状態でSNSに投稿し続ける人はほぼ居ないし、しているとしても、それは基本的に日記とか忘備録用にしている。だから、ツイートするにせよFacebookにポストするにせよ、それに対して何らかのリアクションがあるか無いかがアクティブ率を左右する。

この点で、TwitterはFacebookよりも劣っている。Facebookは普通の人なら友達は最低数十人にはなるから、基本的に2,3回投稿すれば友達が50~100人程度のユーザーでも1つや2つのいいね!は付く。それに対してTwitterはそもそも友達からフォローされないこともあるし、されたとしても10回ツイートしてリアクションが全くないことなんて普通にある。

Twitter上ではニュースアカウントや著名人と友達をフォローしていると全てのツイートが同じ扱いになり時系列に表示される。多くの人をフォローしていれば当然友達のツイートを見逃すことは増える。仮に見たとしても「リツイート」や「お気に入り」を毎回するのは面倒だ。

だがFacebookではこの点は日々改善を行っている。企業のFacebookページからの情報やフォローしている著名人が増えても、ニュースフィードにはユーザーに最適化された投稿が時系列を無視して流れてくる。例えば、いつも「いいね!」をしている友達の投稿は頻繁に表示されて、あまりコミュニケーションを取っていない友達の投稿はあまり表示されなくなる。

こうなると「Facebook上であまりコミュニケーションを取っていない人のはどんどん表示されなくなって、反応が無くなるんじゃ?」と思われるかもしれないが、ここはFacebookの上手いところで重要な投稿は表示してくれる。プロフィールが既婚になったり、職場が変更されたりするとかなり高い確率で普段表示されない人でも表示されるようなアルゴリズムになっているのだ。

だから、Facebookは上手く誰でも投稿したらある程度のいいね!が付くような設計になっていて、反応があるからまた投稿するというのが上手く機能している。これを考えるとTwitterとFacebookを兼用していたユーザーがFacebookだけにする理由も何となくわかるだろう。

このような状況だから、TwitterはFacebookのようにツイートに対してのリアクションを強化する施策を打っているのだ。会話を縦線で繋ぎ目立つようにしたのは会話を活発にするためであり、画像やビデオのプレビューをデフォルト表示したのはリツイートやお気に入りを増やすためだ。リプライなどの機能をデフォルトで表示したのも同じ理由だと言える。ニュースアカウントや著名人のツイートで溢れ返ってるタイムラインでも写真がでっかく表示されていれば嫌でも目に入るから、多少は普通のユーザーでもリアクションが増えるだろう。

リアクションの1つにフォロワーが増えるということもあって、これも重要なことだけど、ごく普通の一般人が何ともないツイートをしていてフォロワーがどんどん増えるなんてことは滅多にない。だからTwitterはフォロワーが少なくてもフォロワーからのリアクションを増やすことでユーザーをアクティブにしようとしているのだ。

この他にもTwitterはFacebookみたいな機能を実験していて、@magicrecsをフォローするとユーザーに合わせておすすめのユーザーやコンテンツをDMで送ってくれるサービスなんかも試している。

これらの変更が上手く作用するかどうかはまだわからないが、個人的にはいい変更だったように思える。明日のIPO以降、投資家がどのように判断するかに注目だ。