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「小1の壁」登下校のケアと子どもの防犯・近所づきあいは程よく

なかのかおりジャーナリスト(福祉・医療・労働)、早稲田大研究所招聘研究員
小学校に入ると、登下校のケアが必要だ(写真:アフロ)

小学校に入学すると、登下校の問題が出てきます。距離があれば、送り迎えの必要や心配があります。学校が近くても、子どもが出歩く初めての経験で、ケアが必要です。子どもが知っておきたい簡単な防犯の知識を紹介し、近所の子と登下校する際の距離感を考えます。

●初めは小さな下校トラブルも

親が送り迎えをしていた保育園・幼稚園と違い、小学校に通うようになると、登下校のトラブルや心配が出てきます。昨年、娘が入学した際は、2週間は方面ごとに集団下校していました。連絡帳には毎日、「学童保育です」などと帰り先を書いて出します。下校初日、学童に行くはずの娘が、自宅方面のグループに入れられ、途中まで帰りかけて先生が気づいて戻ったそうです。

他にも初日に「ヒヤリ」とする件があったと聞きました。一番距離のあるマンションに帰る子の保護者が、途中まで迎えに行っても帰って来ない。みんなで連絡を取り合い、やっと見つけたら間違えて学童に行っていたとか。

こういう行き違いや不審者のニュースもありますから、登下校時にうっすらとでも大人の目は必要です。当番を決めなくても、誰かしらの親が送り迎えがてら歩くのはいいことだなと思いました。

●子ども向けに防犯教育を

昨年は子どもを狙った事件の報道が相次ぎました。安全や防犯の知識をどうやって子どもに伝えるか気になり、NPO法人「体験型安全教育支援機構」の代表理事・清永奈穂さんらが先生になって開いている、1年生向け安全教室を取材しました。

NPOは怪しい人を見分けるポイントを「はちみつじまん」と教えています。

は→しつこく話しかけてくる

ち→近づいて来る

み→見てくる

つ→ついてくる

じま→じっと待っている

ん→ん?と注意

怪しい人に近づかれたら、離れる、目をそらす、防犯ブザーを鳴らす、近くのおうちに助けてくださいと言うなど、対処法も説明していました。前を見てしっかり歩くのも大事だそうです。

●腕つかまれたら振る・20メートル走れ

この教室の中で、子どもたちは、不審者に「あっち行こう」と言われても、大きな声で「行きません」「嫌です」と言ってみたり、「助けて!」と叫んだり、実践していました。ランドセルにつけておく防犯ブザーがちゃんと鳴るか、電池が切れていないかも確認。

不審者に腕をつかまれたときは、引っ張るのではなく、横にぶんぶんと振って抜くのがいいそうです。

また「犯罪者は、20メートル走って逃げなければあきらめない」という調査があるそうです。子どもたちはランドセルをしょったまま走って逃げながら、大きい声を出す、防犯ベルを鳴らす、ランドセルをつかまれたら置いて逃げきるなどの練習をしていました。

こうした教室はあちこちで開かれているので、親子で参加するのもお勧めです。

●民間学童も万能ではない

最近、増えている民間企業による学童保育は、送迎サービスが助かりますが、トラブルもあります。

娘が1年生時の登校2日目、民間学童保育から来るはずの迎えが来なくて、娘は全く心構えなく1人で歩くことになりました。1年生時は公立学童に入れましたが、2年生以降に公立学童に入れなかった場合を想定し、一部は民間の学童に行っていたのです。

当時、責任者にこの件を伝えたら、クレーマー扱いされてしまいました。そこはすぐにやめてしまいましたが、ほかの民間学童でも、送迎の時間がはっきりしない、置いていかれるなど、トラブルはあるそうです。

●「一緒に登下校」は良さそうだけど

子どもの登下校って、安全面だけでなく、いろいろな問題があります。入学前、「4月は、顔合わせもかねて集団登校がある」と聞き、学校の先生に確認しました。少し前までマンションごとにあったそうですが、班長の家庭が遅れた子を待っていなければならないなど負担が大きく、なくなったそうです。

登下校は近所づきあいが入ってくるので、悩ましいですね。同じマンションの子や仲良しの子と登校すれば安心のようで、対人関係に問題を抱える家庭や、常識が違う親もいます。

「学校が遠い」「通学路が心配」など、集団行動が必要な場合もありますが、「同じ住まいで何かあると、気まずくなる」という点も心に留めるといいかもしれません。

●たまに一緒ぐらいがちょうどいい

実際に、近所の友達から「ある子と一緒に登下校していたけれど、仲たがいして一切、付き合わなくなった」という話も聞きました。

周囲は、きょうだいで登校する家庭が多くて、約束して一緒に行く関係はなく、一人っ子の我が家は寂しく感じました。親が途中まで見送ったり、通勤のパパ・ママと一緒に出かけたりという家庭もあります。

下校は、娘の場合は学童保育の延長利用がほとんどで、迎えが必要でした。自宅に家族や祖父母がいれば、学童の集団下校で帰る子もいました。登下校については、「仲の良い子と、たまに一緒になる」ぐらいの距離がちょうどよかったです。

ジャーナリスト(福祉・医療・労働)、早稲田大研究所招聘研究員

早大参加のデザイン研究所招聘研究員/新聞社に20年余り勤め、主に生活・医療・労働の取材を担当/ノンフィクション「ダンスだいすき!から生まれた奇跡 アンナ先生とラブジャンクスの挑戦」ラグーナ出版/新刊「ルポ 子どもの居場所と学びの変化『コロナ休校ショック2020』で見えた私たちに必要なこと」/報告書「3.11から10年の福島に学ぶレジリエンス」「社会貢献活動における新しいメディアの役割」/家庭訪問子育て支援・ホームスタートの10年『いっしょにいるよ』/論文「障害者の持続可能な就労に関する研究 ドイツ・日本の現場から」早大社会科学研究科/講談社現代ビジネス・ハフポスト等寄稿

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