産後シッターとの付き合い方・家事、新生児ケアを依頼するということ

心身がぼろぼろの産後は、シッターに助けられた(写真:アフロ)

筆者は産後すぐから、シッターのサービスを利用した。祖父母は高齢で遠方、夫は海外に単身赴任中で、まだママ友もいなかった。保育園にも入っていない。いまなら知っている情報や知恵も、いっさいなし。心身がたがたのアラフォー初めてママが、新生児のお世話と家事をすべて背負うのは過酷だった。体調を崩したり産後うつになったりの心配もあり、サービスに頼る以外なかった。子どもの世話や自宅での家事を頼むことに、戸惑いを感じる親や祖父母もいるだろう。どのように利用したか、紹介する。

●申し込みは勇気がいる?

シッターや家事サービスは「料金が高い?」「他人に頼むってどうなの」と、利用をためらう声も聞く。筆者の場合、幸いにも産後は、自治体や会社の助成、割引券などがあった。お金の使い方は価値観による。仕事がらみの会食に行かなくなった分とも思える。

我が家は車もなく、ぜいたくな趣味もないが、単純に「お金で解決」というわけにはいかなかった。他人を家庭に受け入れるのは気を使うし、もめることもあった。1回きりだった人も多い。

「産後しばらくは体を休めないと…」というのは、ある作家さんの本を読んで知っていた。産後シッターのパンフレットが、通っていた病院の産婦人科においてあり、妊娠中に予約してみた。基本は1日4時間、新生児のお世話と家事を頼める。通常は必要な入会金が免除され、産後4カ月までは通常のシッターや家事より割安の設定。物を壊したときや、けがなどがあった場合の保険にも入っているそう。

●毎回、初めての人が来る

妊娠後期、業者の女性が自宅に来た。「夫が単身赴任中。材料は用意するのでお料理もお願いしたい」と話し、掃除の内容や味付けの好みを聞かれた。そうした情報からシッターを探すとのこと。

出産したら電話し、退院した翌日にスタート。「家事の内容をいちいち説明しなくていいように、なるべく同じ人に決めます」との話だったが、だいたい違う人が来た。看護師や保育士などの専門職ではなく、「子育て経験のある女性」「ベテラン主婦」がメインだという。

夜間は私がひとりで娘の世話をしていた。産後は体もがたがた。シッターさんが来たら、ベビーの沐浴(もくよく)や家事をお願いした。産後の数週間は、なるべく横になっていたほうがいいというのは本当だと実感。夜中に台所に立つときや、冷たい洗濯物を干さなければならないとき、ふるえてしまった。

●高齢&ワンオペ母、沐浴を頼みたい

夫婦でトライするなら沐浴も楽しいかもしれないが、ひとりだと手順もわからないし、心身の限界を超えてふらふらしているので緊張する。シッターさんにお願いすると、ほっとした。中には「ママが自分でやれば?」という人もいたし、友人にも「沐浴は、ベビーとふれあえるすばらしい時間だよ」と言われた。だけど1日も代わってくれる人がいないのはプレッシャーだった。

そうした物理的な部分だけでなく、シッターさんによっていろいろなやり方を教えてもらえて、勉強になるのだ。新生児はとっても小さいから、サラダボウルとタオルをテーブルに出して海綿で洗うとか、台所のシンクにベビーバスをすっぽり入れるといいとか。お風呂場にベビーバスをおいてかがむと、腰が痛いので。

シッターさんの言動に驚いたこともある。いきなり、「だんなさんはアメリカに行っているんですか」「ママは仕事に復帰しなくてもいいんでしょ」と言われた。夫が赴任していたのはアメリカじゃないし…。どんな仕事をしているか、いつ復帰するかなんて、新生児を抱えて無防備な状況で説明できない。そういうときも、プライベートな空間でベビーの命を託す相手なので、ことを荒立てないようにと、気を使った。

●家事感覚の違いに戸惑い

それに家事は、家庭によって「こうするのが常識」と思う基準が違う。たいていは手際よく、用意した材料と調味料で、授乳中の体にいい煮物やシチューなどを作ってくれた。ときどき、フシギなお料理もあった。

厚めの乾燥わかめを、みそ汁を作るときに煮てもらいたかったが、「食べるときにおわんに入れるものですよ」と押し切られて固いままだったり。まだ料理がつらかったので、野菜やお肉を使い切ってほしくても、「分量的におかしいです」と残されたり。

●プライバシーの配慮は…

お仕事でお願いしているはずが、素に戻ってしまう人もいた。友人が寂しいだろうと来てくれたとき。シッターさんは野菜や果物を切りながら、「耳をダンボ」にして私たちのプライベートな話に聴き入っていた。その結果、果物はうんと細かく刻まれ、お願いしていた洗濯干しを忘れて終わりの時間がきてしまい、私がふるえながら干した。

お祝いに届いた花束をちらっと見て、「きれいですね」ではなく「花粉症は大丈夫なんですか?」と言われた日も。その人は新生児のそばで、ばっさばっさとコートを着て帰った。明らかに、「なるべく仕事したくない」モードの人もいた。「守秘義務」「プロの仕事」はどうなっているのか?なんて突っ込む余裕はなかった。

●シッターさんのおかげで命拾い

それでも、「だれかにお願いできないと困る」ことを頼めてありがたかった。まだ寒い季節で、新生児がいて自分もふらふらでは、隣のお店にも行けない。産後に必要な書類をつくるため、シッターさんにコンビニでコピーをお願いした日もあった。何より、作ってもらった栄養あるごはんのおかげで、倒れなくて済んだと思う。

娘が小さかったころ、筆者はある年配女性に「シッターをしてくれるなんて素晴らしい人なのだから、不満を言うのはおかしい」と言われた。もちろん、この記事は批判が目的ではない。人間同士のやりとりには様々な行き違いがあり、産後という極限状態で難しさがある。そうした率直な感想も、参考にしていただければと思う。

夫が帰国し、私が仕事に復帰してからは、もっとサポートが必要だった。保育園の送り迎え、子どもや自分が病気のとき、山盛りの家事…。娘が病気になると、生活がまわらずへとへと。動きが活発になるにつれ、シッティング中にけがをしたり、なついていた人が急にやめたり、悩みもあった。

●「得意な人に依頼する」のススメ

試行錯誤した結果、筆者は会社を退職して独立するという選択をした。娘の病気は減ったが、取材が入っているときなど、自営業だからこそ断れない状況がある。インフルエンザが流行る時期は、やはり恐怖だった。

娘が小学校に入り、アラフィフの筆者が持ち物の支度や連絡の手続きに慣れなくて大変だったものの、学童保育には本当に助けられている。けれど、気が付けば洗濯物は山積み。床やテーブルにこまごました娘のものが増え続け、冷蔵庫の在庫管理に学童のお弁当作りにと、常にもやもやを感じている。加齢により、体もきつくなった。

同様の親は多いのではないだろうか。時には家事や育児のプロにお願いするために、企業や自治体の助成を充実させてほしい。身近にある制度を知らない場合もあるので、チェックを。

●働き手の給料に反映される仕組みを

筆者が産後に利用していたいくつかの運営会社は、かなり手数料を取っていて、「利用者が払う額は大きいのに、シッターに払われる時給は少ない」という難点があった。不満が出てやめてしまう人も少なくなかった。最近は、シッターの面接や研修をして、保険にも入っている会社のマッチングサイトなどが発達し、いいと思う人を選べるようになっている。そのような仕組みだと、働く人もダイレクトに評価されるのでプロ意識が高い。

シッター本人が時給を決められたり、きちんとギャラが支払われたりする仕組みを選ぶと、安定して利用できると思う。「お金を払えば、いつでも何でもやってくれる人が来る」わけではなく、結局は人と人とのリアルな関係が大事だ。

子どもがなついているシッターさんや説明のいらないスタッフに継続してもらうには、時間を守る、連絡をこまめにするなど、お互いに気配りが必要。プロに頼むということは、マネジメントにも努力がいる。その点を意識し、いいサポーターに出会えますように。