2019年、20年と「M-1グランプリ」で決勝に進出し、20年の「キングオブコント」では準優勝したお笑いコンビ「ニューヨーク」。若手の頃から「バッファロー吾郎」「千鳥」ら先輩芸人が評価する実力派として知られてきましたが、ツッコミの屋敷裕政さん(35)、ボケの嶋佐和也さん(35)の背中を押し続ける先輩の言葉を語りました。

新型コロナ禍での再確認

屋敷:ありがたいことに、今年に入って休みは1月に一日あっただけ。あとは毎日お仕事をいただいています。

ただ、6月に新型コロナの濃厚接触者になって、期せずして2週間自宅待機になった時期をのぞいたらということですけどね。

もちろん仕事で迷惑をかけてしまった人には申し訳ないんですけど、ずっと休みなく働いてきた中でのことだったので、意義のある時間でもありました。今一度、仕事へのありがたみというか、毎日仕事ができていることは当たり前のことではないという事実を再認識する時間にもなりました。

あと、自分がやっているお笑いだとか、エンターテインメントと呼ばれるものがストレス発散だとか、人の気持ちをプラスにすることも客観的に確認できました。

ファンの方から「自粛期間中、なかなか外に出られない中で力をいただきました」というような言葉はいただいていたんですけど、今回、自分がその状況になった。

その中で、いろいろな芸人さんのオンラインチケットを買ってライブを見たりもしてたんですけど、やっぱりね、シンプルに面白いんですよね。同業の僕ですら、モヤモヤが解消される感覚もあったし、自分がやっている仕事の意義を見つめ直す機会にもなったなと。

嶋佐:(屋敷が)休むということはあったんですけど、僕らの仕事はコロナ禍の中でも手を替え品を替えスタッフさんが尽力していただきまして。その結果、減ったり、終わったりすることなくできているので、改めて本当にありがたいことだと思っています。

そして、今も少し話が出ましたけど、オンラインチケットという概念も出てきて、これは地方で見てくださる方やなかなか劇場に足を運びにくい方にはすごく有効な形だなと。

屋敷:あと、吉本興業の動きも、いざとなったらものすごく早いことが分かりました。19年頃から単独ライブをデータで販売するようなことはできないだろうかと、今のオンライン配信みたいなことを提案していたんですけど、その時は「それはなかなか難しくて…」と言っていたのに、コロナ禍になったらものすごい早さで整備しましたからね(笑)。「こんなに早く動けるんや…」ということも勉強になりました。

嶋佐:例えば、ルミネtheよしもと単独ライブをやって、満席になったとしても400人くらいの方にしか見てもらえない。しかも、しんどい思いをして作ったものが一回だけで終わる。

もちろん、そのライブ感がいいという部分もあるんですけど、もったいなさを感じていた部分もあったんです。

先輩からの言葉

屋敷:ライブは同じ空間を共有しているという魅力がありますしね。僕らも、実際にお客さんの反応が目の前で分かるので、大変だけど、楽しい部分もありますし。

先日「タカアンドトシ」さんのラジオに出してもらった時に、ずっとテレビに出続けているお二人からすごくありがたいお話をうかがったんです。

「テレビで手ごたえがあろうがなかろうが、番組の数字が良かったらまた呼ばれる」

「テレビで手ごたえを感じにくいというのはすごく分かるし、オレたちもずっとそんな感覚はある」

「もちろん、引き続きテレビも一生懸命やるけれども、手ごたえという部分では漫才が一番。だから、やっぱり漫才をきちんとやろうという話になった」

ざっくり言うと、このようなお話だったんですけど、自分たちがテレビに出してもらうようになってうかがうと、すごく深く刺さる言葉でしたね。

「タカアンドトシ」さんでも手ごたえを感じにくい。その結果、漫才をしっかりという結論になった。さらに、そんな中でテレビ一本で勝負すると決めている人たちの凄みも感じましたし、いろいろな角度から胸に刺さりました。

嶋佐:そして、僕は「ラヴィット!」にレギュラー出演させていただく中で、司会の川島明さんの凄みをこれでもかと感じています。

毎朝、生放送であの“さばきっぷり”は異常っすよ。こっちがどんなボケをしても、全部拾って、全部いい感じにしてくれる。単純に、スゲェなと毎回思いますね。

サラッとすごいことをおっしゃるんですよね。僕が何かの流れでたまたま、いかりや長介さんの「ダメだこりゃ!」みたいな感じで「大失敗!」みたいなことを言ったんですよ。じゃ、そこですかさず「『ダメだこりゃ!』のジェネリックか!」とつっこんでいただきまして。

瞬時に、そのクオリティーの言葉を生放送で出し続ける。これを安定供給することはただただすごいことだなと。

屋敷:川島さんで言うと、特殊能力の持ち主かとすら思いますね。だいぶ感覚的な話になりますけど、ああいうセンスバリバリの人に面白くないと思われたくないから、こっちも、一軍中の一軍のワードしか言えなくなるんです。

でも、川島さんの場合は三軍でも四軍でも笑ってくれるし、必ず面白くしてくれるので、ものすごくいい意味で緊張感が緩まるというか、何でもスッといけるというか。何を言ってもいいという圧倒的な安心感が川島さんの周りにはあるんですよね。もはや、その空気が特殊能力と思えるレベルなんです。

嶋佐:本当に、マジ、そうっすね。

屋敷:やっていて、素敵な方々とお仕事をこれからもやっていけたらうれしいですし、そのためにはテレビ、ライブ、YouTube、これらをバランスよく全部頑張っておかないといけないんだろうなと。それが頑張れている状態が、僕らにとっても一番楽しいですし。

もちろん、今回の単独ライブも頑張らないといけないし、端的に言うと、今までで一番知名度が出てきたところでの単独ですから、より一層、意味も増すだろうなと。

嶋佐:オンラインチケットもあるし、その意味でも、可能性が広がってますしね。

屋敷:もちろん自分らも含めてですけど、本当にね、コロナ禍で改めて芸人のしぶとさも痛感しました(笑)。どれだけピンチになってもゴキブリ並みの生命力で何かをやって、そこから光明を見出す。芸人という種族は、なかなか絶滅しないんだなと思います。

(撮影・中西正男)

■ニューヨーク

1986年5月14日生まれで山梨県出身の嶋佐和也と86年3月1日生まれで三重県出身の屋敷裕政が2010年コンビ結成。ともにNSC東京校15期生。同期は「おかずクラブ」、横澤夏子ら。独創的な設定のコントなどで注目される。「M-1グランプリ」で19年、20年と決勝に進出。「キングオブコント」でも20年に準優勝。YouTube「ニューヨーク Official Channel」内でラジオ番組「ニューヨークのニューラジオ」(日曜午後10時)など様々な内容を配信中。単独ライブ「Natural」を東京と大阪で開催する。東京公演は8月25日から27日までルミネtheよしもとで、大阪公演は9月17日になんばグランド花月で行われる。