「その瞬間『M-1』で優勝すると決めました」。野田クリスタルに火をつけた楽屋での一言

「マヂカルラブリー」の野田クリスタルさん

 「M-1グランプリ2020」「R-1ぐらんぷり2020」を制した「マヂカルラブリー」の野田クリスタルさん(34)。「R-1」では自作テレビゲームを使ったネタで優勝しましたが、その手腕が注目され、4月29日にはNintendo Switch用ソフト「スーパー野田ゲーPARTY」が発売されるまでになりました。お笑い界にとどまらず、縦横無尽に駆け巡る野田さんですが、その原点は楽屋で投げかけられた一言だったと言います。

「変な状況」

 2020年は「R-1」と「M-1」で優勝して、環境は確実に変わりました。

 「昨日、何をしていた?」と問われても、パッと出てこないというか。これは純粋に忙しくて。ありがたいことなんですけど、お仕事の依頼をたくさんいただいて、それがどんどんスケジュールに詰め込まれていく。

 これを僕は“マネージャーズハイ”と呼んでるんですけど、スケジュールが少しでも空いてたらギッチギチに詰めていって、パズルみたいにどこかが空いてたら気持ち悪くてそこにまた仕事を入れにかかるという。

 もちろん、そんな今の状況は去年があったからこそ生まれたものです。

 ゲームが出せるのもそうですし、2006年からホームページに書いていた日記をまとめた書籍「野田の日記」も出ましたし、自分でも「変な状況」だなと思います(笑)。

 自分が妄想したことを具現化してくださる方がいらっしゃる。昔から妄想している中身はほとんど変わらないんですけど、それが形になっているということは、いかに周りの状況が変わっているかということだなと。

 こんなことは当たり前のことではないですし、純粋にありがたいことでもあるんですけど、それだけ2020年はいろいろな流れが一気に形になった年だったと感じています。

 前々からゲームを自分で作ることはやってきて、それが「R-1」優勝をきっかけに広く知ってもらえるようになった。

 そこに、何の偶然か、小学校でプログラミングが必修になったことでプログラミング関連のお仕事をいただくようになり、よりゲーム関連のイメージがついた。新型コロナ禍でゲームをやる人が増えて「あつまれ どうぶつの森」が大ヒット。Nintendo Switchを持つ人がより増えてそこでゲームまで作れるようになった。そうこうしているうちに「M-1」も優勝していた(笑)。いろいろな流れが次々にやってきた年になりました。

楽屋での一言

 「M-1」優勝は純粋に大きなことだったんですけど、そこに至る起点というか、原点は自分の中でハッキリとあるんです。

 今から10年くらい前。これは、誰とは言えないんですけど、ある人が楽屋で「『マヂカルラブリー』が『M-1』で優勝して、誰がうれしいんだよ」と言ったことがありまして。

 オレもそこにいたんです。その人も、オレがそこにいることは当然、認識しているんです。その人とオレ以外にも何人か芸人がいて、少し文脈を説明すると、ちょうど「M-1」が終わった頃の時期で、オレが「『M-1』で優勝したかった」みたいなことを話してたんです。

 その声に応えるようにというか、オレにというよりも、楽屋にいる全員に向かって大きな声でさっきの言葉を言ったんです。

 その瞬間「M-1」で優勝すると決めました。

 そこから賞レースでのネタ選びも変えましたし、細かい話で言うと、絶対にスベらないネタを選ぶようになりました。確実に勝つために。

 そうやって10年ほど前から「M-1」優勝への道は自分の中では繋がっていて、2020年にそれが回収できた。

 優勝してからも、その人とその時の話はしてないですね。この話をその人としちゃうと、消化しちゃいそうで。

 話せる恨み節は消化してもいいもので、人に話せないものというのは消化したくない原動力なので、これから先も話すことはないですね。

 人から「Aにした方がいいよ」と言われて「A」を選んだことはないんです。でも「お前、これできないだろ」と言われたら、カーッとなってやるんです。じゃ、やってやろうと。

 そもそも、オレ自身が「野田はこれはできないだろう」と言われがち、決めつけられがちな人間なんです。だから、それをことごとくやっていく。それが上に上がっていくことにもなるのかなと今は考えています。

分からせる

 格闘ゲームでよく使われる言葉があって、相手に“分からせる”という表現をするんです。

 格闘ゲームって、実力差があっても、何かの拍子で勝ったり負けたりするものなんです。だから、格闘ゲームでは「勝ってやる」とはあまり言わない。相手に「この人には勝てない」「この人はすごい」ということを「分からせる」と言うんです。

 僕らもウケたり、スベったりの繰り返しでもあります。最近だけでも、スベったことなんていくらでもあります。

 でも、やっている中で強いということを“分からせる”。

 これはなかなか難しい作業でもありますけど、2020年はその答え合わせがいくつかはできた気がしています。

 皆さんがどう思っていたかはわからないけど「ほらね」と“分からせる”。そこをしっかりと打ち出していきたいですね。

 これを“とがってる”って言うんですかね(笑)。でも、もっと分からせたいと思っていますし、その感覚があるうちは上を目指せているのかなとも思っているんです。

(撮影・中西正男)

■野田クリスタル(のだ・くりすたる)

1986年11月28日生まれ。神奈川県出身。本名・野田光。吉本興業所属。高校時代からお笑いコンビを組み、TBS「学校へ行こう!」などで注目される。2007年に村上と「マヂカルラブリー」を結成する。コンビとして「M-1グランプリ2017」「キングオブコント2018」で決勝に進出。独学でゲームプログラミングを習得し「野田ゲー」と呼ばれる自作ゲームを開発。「R-1ぐらんぷり2020」でもゲームネタで大会を制する。コンビとして「M-1グランプリ2020」優勝。クラウドファンディングで制作したNintendo Switch用ソフト「スーパー野田ゲーPARTY」が4月29日に発売される。また、2006年からホームページ上に書きためてきた日記をまとめた「野田の日記」も発売中。

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。noteで「全てはラジオのために」(note.com/masaonakanishi)も執筆中。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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