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注目のニューカマー「金の国」を支える2人の先輩芸人

中西正男芸能記者
「金の国」の渡部恭平(左)と桃沢健輔

 愛され度満点の渡部恭平さん(26)とネタへの情熱が凄まじい桃沢健輔さん(27)のコンビ「金の国」。2017年にコンビを結成し互いのキャラクターを生かしたコントで勝負してきましたが、2月15日に所属のワタナベエンターテインメントが開催する「お笑いABEMA CUP~ワタナベNo.1決定戦」に出場します。「四千頭身」「土佐兄弟」「Aマッソ」ら注目度抜群のメンバーと対戦しますが、コンビを支えるのは2人の先輩からもらった指針だと言います。

先輩からの言葉

 渡部:結成4年目にして、一番大きな勝負の場に出ることになりました。正直、出られるとなって驚きもあるんですけど、出る以上は自分たちの良さを思いっきり出したいなと思っています。

 僕らはワタナベの養成所で出会いまして、同じクラスの桃沢くんに僕が声をかけたのをきっかけにコンビを組みました。

 桃沢:当時、キャラクターの部分もあってか、渡部と組みたいという同期がかなりいたんです。その渡部から「組まない?」と言われたので「あ、これは組んでた方がいいのかな」と思ったのが最初でした(笑)。

 渡部:ただ、2年目までは特に結果を残すこともできず、正直、このまま組んでいて大丈夫なのかなという思いもあったんですけど、ちょうどその頃に事務所の先輩の「ハナコ」さんの単独ライブのお手伝いをさせてもらったんです。

 その打ち上げで、たまたまメンバーの菊田(竜大)さんと席が隣になりまして。そこで、相談というほど改まった感じではないんですけど、少し、仕事の話になりまして。

 「最近、どんな感じなの?」と菊田さんに聞かれまして、僕が「事務所ライブには出られてはいるんですけど、結果を残すまでには至らないという感じでして」と答えたんです。

 そこで菊田さんがサラッとおっしゃったんです。

 「相方を信じてれば大丈夫だよ」

 恐らく、菊田さんも覚えてらっしゃらないくらい、本当に何気ない会話だったんです。なんと言いますか「さぁ、今から答えを言うぞ!」的な“キメにかかった言葉”でもなく、本当に会話の中でサラッと言ってくださった。ただ、その言葉がすごく心に残りまして。

 というのも、こんなことを自分で言うのもアレなんですけど、お笑いの世界に入るということは、そもそも“お笑いが得意”だと思っているからこそ、入ってくるんです。

 でも、プロ志望の中に入ってやりだすと「アレ?自分はできないんじゃないか」と思うことも多々出てきたんです。

 ただ、やっぱりプライドもあるし、ネタを作っているのは基本的に相方なんですけど、何か言わないと自分が保てないというか、そういう意地みたいなものもあって、ちょうどその狭間で揺れていたところだったんです。

 それを見透かして菊田さんがおっしゃったのかどうかは分かりませんけど、その時の僕にはすごく響く言葉で、そこから相方に委ねるというか、信頼する気持ちがさらに強くなって、そのあたりから、少しずつ、結果が出るようになってきたんです。

 桃沢:と説明してますけど、今でもいろいろ言ってくるんですよ(笑)。ただ、言ってくる内容が変わりました。建設的な内容というか。確かに、養成所の頃に言われていた内容とは、ガラッと変わりましたね。

 渡部:やっぱりそうでしょ!?そこは変わりました!

 桃沢:あと、先輩から受けた影響でいうと、養成所を卒業してすぐにサンシャイン池崎さんの単独ライブに呼んでいただいて、一緒にネタをさせてもらったんです。

 同じ舞台に立つので、当然、間近で池崎さんのパフォーマンスを見せてもらうわけですけど、こんなことを僕が言うのもナニなんですけど、本当にバカなネタを全力でされる。

 単独ライブは2日で3公演あったんですけど、最初の公演からフルスロットルで叫びすぎて、声もガラガラになってました。その姿を見せていただいて、スッと心に入ったんです。「やっぱり、こういうことなんだよな」と。

 バカなことを全力でやる。絶対に手を抜かない。養成所を出てすぐのお仕事で、それを目の当たりにさせてもらったのは大きかったです。純粋にカッコ良かったですし。

互いへのリスペクト

 渡部:あとは、やっぱり、僕らが大きな結果を残す。そこなんですよね。まずは15日の「ー決定戦」を頑張る。そして、コントがとても好きなので、なんとか「キングオブコント」で世に出られたらなと。今年こそは、何とかそこでもしがみついていきたいなという思いが強くあります。

 桃沢:そうですよね。僕も、全く同じ思いです。

 渡部:あと、これは前々から思ってたことなんですけど、相方はネタに対する姿勢が本当にすごいなと。我が相方ながら、そこは心底思うんです。

 例えば、ライブがあって、そこでネタをしますよね。ライブ後、そこにいたあらゆる人に、今日のネタの出来栄えや課題を聞いていくんです。

 ま、たまに先輩に「すみません、ネタで悩んでまして」と相談するのはあったとしても、毎回、後輩にも「ダメ出しをしてくれないか」と話しかけていく。これは、周りでもやってる人を見たことがないですし、僕にはできませんし、すごいなと…。

 桃沢:ひいてる(笑)?

 渡部:ひいてない、ひいてない!純粋に、すごいなと思ってるだけで(笑)。

 桃沢:いや、これも、結局は“自信のなさ”なんです。自分が書いたネタではあるんですけど、それが100%正しいというわけではないとも思っているので、少しでもヒントが欲しい。100個聞いてそのうち1個でもヒントになればいいのかなと。

 渡部:確かに、1個でもヒントになればいいとは思うけど、後輩にまで根掘り葉掘り聞いていくのは、なかなかできることじゃないなと。

 桃沢:やっぱり、ひいてる(笑)?

 逆に、僕が渡部をすごいと思ってるのは、お店選びの目ですね。

 2020年は新型コロナ禍で、あまり体感する場がなかったんですけど、ライブ後の打ち上げとかで予約するお店がとんでもなくコスパの高い、良いお店ばっかりなんです。本当に、打率10割。これこそ、なかなかできることじゃないなと。

 渡部:特に、店選びに強いこだわりがあるとかではないんですけど、一つは、人としゃべるのが好きなんです。なので、飲食店の話もナチュラルに聞くし、予約する時に、事細かにお店の方ともいろいろ話すし、そういう部分が良い形で出ているならうれしいですけどね。

 ただ、残念ながら、この能力が「キングオブコント」には直結しないのが悔やまれるところではありますけど(笑)。

(撮影・中西正男)

■金の国(きんのくに)

1994年8月14日生まれで神奈川県出身の渡部恭平と、93年3月25日生まれで新潟県出身の桃沢健輔が2017年にコンビ結成。ワタナベエンターテインメント所属。2月15日に開催される「お笑いABEMA CUP~ワタナベNo.1決定戦」に出場する。他の出場者は「四千頭身」「土佐兄弟」「Aマッソ」ら。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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