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「あのですねぇ、これ絶対に言わないでくださいよ」。井上小公造こと「女と男」市川が生き残ってきた理由

中西正男芸能記者
井上小公造として「ウチのガヤがすいません!」などに出演する「女と男」の市川義一

 「あのですねぇ」と甲高い声に独特のイントネーション。日本テレビ「ウチのガヤがすいません!」などに芸能リポーターの井上公造氏をモチーフにした井上小公造として登場し、インパクトを残しているのが男女コンビ「女と男」の市川義一さん(40)です。ファイナンシャルプランナー、家電製品アドバイザー、温泉ソムリエなど43個の資格を取得してきた“資格芸人”でもありますが「夢を見てもいいけど、夢を見るな」という自身の芸人哲学をストレートに語りました。

井上小公造

 最初に公造さんのモノマネをさせてもらったのは10年前くらいですね。「笑いの金メダル」(ABCテレビ)で、相方の和田ちゃんが僕の顔が公造さんに似てるというボケをしまして。

 それを渡辺徹さんが見てくださって、公造さんに「公造さんに似てる芸人さんがいてますよ」と伝えてくださったんです。そこから、公造さんが「一回、会わせてください」と吉本興業に連絡してくださって、食事をさせてもらったのが最初の接点だったんです。

 そこから少しずつ芸人の中でも「似てるなぁ」という声が広がっていきまして。そんな中「よしもとサンサンTV」(サンテレビ)で前説をさせてもらった時に、司会の「サバンナ」さんからいきなり公造さんのモノマネを振ってもらいまして。そこで見切り発車ながら「あのですねぇ」とやってみたら、これが意外にイケまして(笑)。そこがネタの原点でした。

 ありがたいことに、そこから「芸人報道」(日本テレビ)とか「スッキリ」(日本テレビ)、「笑っていいとも!」(フジテレビ)にも出してもらう流れが生まれまして。それが8年ほど前でした。

 その流れが落ち着いて、大阪では小公造ネタもやっていたものの、東京でやらせてもらうことはなかったんです。

 それが、3年ほど前に「ウチのガヤ―」で呼んでいただいて、ありがたいことに「小公造をやってもらえますか」となったんです。

 それ以来、月に2~3回ですけど東京でのお仕事をいただけるようになってきまして。先日も「炎の体育会TV」に呼んでもらいまして。

 といっても、僕がアスリートと対決したりするわけでは全くなく(笑)、「ウチのガヤ―」でご一緒させてもらっているヒロミさんと、加藤浩次さんがクレー射撃で対戦するということで、ヒロミさんの応援で出していただいたんです。クレー射撃とは一切関係ないプチスクープを言って帰るという役割で。

 また、この前はLDHの皆さんがされている番組に呼んでいただいて、そこでメンバーの方のスクープを言って帰るという。そういう形で、ちょこちょこ出してもらうようなお仕事が増えてきています。

 「ウチのガヤ―」に出してもらうようになって、仕事全体の量も増えました。この3年くらいで10だったのが15くらいに増えたイメージです。地味かもしれませんけど(笑)、これは本当に大きな差です。

あきらめが肝心

 あと、資格を取得してきた流れが、仕事に結びついてきたとも感じています。

 資格を取るきっかけになったのは、これも10年ほど前でした。和田ちゃんの注目度がどんどん上がっていって、和田ちゃん単体のテレビ出演が一気に増えたんです。

 和田ちゃんはほぼ毎日仕事があるけど、僕は週に1~2日しかない。良いのか悪いのか、とにかく時間はある。どうしようかと。そこで、たまたま僕が大学で経済学部やったことと、元芸人のファイナンシャルプランナーの方との出会いがあって、現役の芸人でファイナンシャルプランナーというのは面白いんじゃないかとなったのがスタートでした。

 そこから始まって、現時点で43個資格を取りました。これは今もどんどん増えていて、年に何個かは新しいものを取得するようにしています。

 芸人から「なんやねん、その資格。どこで使うねん!」とイジッてもらうような資格も中にはあります(笑)。ただ、家電製品アドバイザーは今やっているYouTubeチャンネルにつながってますし、2016年に取得したラグビーのÇ級レフェリーライセンスがあったから去年のラグビーワールドカップでお仕事もいただきましたし。

 すぐには仕事につながらなくても、後々、何かにつながる。その感覚はここにきて、すごく強く感じていることでもあります。

 お笑いは本当に難しくて、やったとしても結果が出るかどうかは分かりません。でも、資格は頑張ったらかなりの確率で結果が出る。積み重ねの力というか、こういうやり方もある。先がどうなるかは分からないけれど、日々そうやって取り組んでおくことは、とにかくムダではないのかなと思ってやり続けています。

 変な言い方に聞こえるかもしれませんけど、良い意味で“あきらめが肝心”というのは自分で感じています。野球で言うと四番バッターじゃなく代走を狙うというか。代走のスペシャリストを目指す。こんなん言うたら、代走の方に失礼なのかもしれませんけど、求められるプロを目指す。感覚としてはそういうイメージに近いかもしれません。

「この世界にいたい」

 この感覚は、和田ちゃんと組む前から思ってました。もともとは「ひじき」という男性コンビを組んでたんですけど、当時の「笑い飯」さんとか「千鳥」さんと一緒の舞台に立った時に、ただただ「すごいな…」と思いまして。

 この人たちにどうしたら勝てるんやろと。それを考えた時に、同じ土俵に立ったらアカンと思ったんです。和田ちゃんと組んだのも、別に変に和田ちゃんを利用したとかじゃないですけど(笑)、男女コンビという別軸に身を置かないとダメだと思ったんです。

 そして、その全ての根っこにあるのが「この世界にいたい」という思いです。真ん中ではなくても、端っこにでもいたら、この世界にいてることになる。そして、この世界の楽しいことができる。

 自分で言うのもナニですけど、お笑いより向いてる仕事はあると思うんです。サラリーマンもやってましたし、何かを売るという商売も向いてると思います。そんな甘いものじゃないですけど、嫁にも「他の仕事の方が向いてるんじゃない」と言われてます(笑)。

 でも、やっぱりお笑いが好きなんです。本当に楽しい。だからこそ、そこで食べていくために、好きなことの中で向いてることを探す。

 “夢を見てもいいけど、夢を見るな”。この思いは自分の中にありますね。

 「M-1グランプリ」でチャンピオンになるのは本当にすごいことだし、素晴らしいことだし、僕らはなれなかった。もうコンビを組んで15年以上経つので、今からどんなに頑張ってもなることはできない。

 でも、この世界にいるために別の努力をして、端っこでもいいからずっといてる。そういうやり方もあるんじゃないかなと。

 「トミーズ」の雅さんに言っていただいたことがありまして。

 「お前、すごいな。売れてないのにやれてるもんなぁ(笑)。この世界は売れることも難しいけど、長続きさせるのがもっと難しい。お前は気づいたらずっとおるもんな」

 薄く長く。なんとかやらせてもらっています。

 僕自身のスクープを小公造的に言うとしたら?そうですねぇ…。

 あのですね、「女と男」市川さんなんですけど、これ、絶対言わないでくださいよ。実は、一番好きな食べ物…、瓦せんべいらしいんですよ!

 …これはこれまで言ったことないんですけど(笑)、昔からホンマに好きなんです。僕、味が薄いものが好きなんです。だから、朝も白湯を飲みますし、食パンも何もつけずに食べますし。瓦せんべいのほんのり甘い味が好きなんです。

 あ、でも、それこそ、自分の生き様としても、瓦せんべいが合致するのかもしれませんね。パンチがあるとか目立つわけじゃないけど、気づいたらずっとありますし。薄いけど、しっかり硬い。

 僕が「こういう存在になりたい」と思ってることと、瓦せんべい、むちゃくちゃリンクしてますね…。今、気づきました(笑)。なんだか、逆に、ありがとうございます。

(撮影・中西正男)

■市川義一(いちかわ・よしかず)

1980年9月26日生まれ。大阪府出身。龍谷大学卒業。コンビ解散を経て、2003年に和田美枝と「男と女」を結成。08年に笑福亭仁鶴のアドバイスで「女と男」に改名。井上公造氏のモノマネキャラ“井上小公造”としても知られる。ファイナンシャルプランナー、家電製品アドバイザー、生命保険代理店資格、温泉ソムリエ、ダグラス・マッカーサー検定、ラグビーC級レフェリーなど43個の資格を取得。ABCテレビ「おはよう朝日土曜日です」、関西テレビ「よ~いドン!」などに出演中。「レイザーラモン」RGとの人気イベント「RGが90分あるあるを歌い続け井上小公造が90分芸能人ニュースを言い続ける会…これ絶対に言わないでくださいよ!?」を12月22日に大阪・なんばグランド花月で開催。ゲストは井上公造氏、サンケイスポーツの森岡真一郎記者。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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