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「M-1」ファイナリスト「ニューヨーク」に一歩を踏み出させる笑福亭鶴瓶の生き様

中西正男芸能記者
版画展を開催するツッコミの屋敷裕政(右)とボケ担当の嶋佐和也

 昨年の「M-1グランプリ」で決勝に進出し、注目度が増したお笑いコンビ「ニューヨーク」。結成直後から「バッファロー吾郎」「千鳥」ら先輩芸人が高く評価する実力派として知られてきましたが、ツッコミの屋敷裕政さん(34)が個展「ヤシキ版画展2020」を開催するなどコンビ結成から丸10年が経過し、新たな一歩を踏み出してもいます。その歩みを後押しするのは、YouTubeをきっかけに大先輩が二人に見せた生き様でした。

小学校以来の版画

 屋敷:4月の初めあたりに今後の単独ライブの打ち合わせを相方や作家さんらとしていたんですけど、当面、コロナでライブはできないなと。少なくとも、何カ月かはヒマになるだろうと。じゃ、何かやることがないかなという話になって、そこで出てきたのが版画だったんです。

 版画の経験は小学校の時にやったきりです。ただ、プロの方々はともかく、周りの大人でやっている人を見たことがないというのがまず一つ。そして、一撃で「ヒマなんやな」と分かってもらえるなと(笑)。

 僕みたいな素人がやろうと思ったら、ものすごく時間がかかることは誰でも想像できるし、それが一瞬で伝わるのが版画やろうなと思ったんです。SNSに載せても、見た人が瞬間的に「屋敷、ヒマなんやなぁ…」と感じてもらえますし(笑)。まず絵を描いて、それに沿って木を彫って、そこにインクを塗って、紙に写すって、表現方法としてどんだけ道のり遠いんやと。逆に、それがいいなというのがあったんです。

YouTubeからの縁

 屋敷:あと、去年からやってきたYouTubeの公式チャンネルが、もう少しで登録者数10万人になるんです。自粛となると、こういうツールもやっていて良かったなと改めて思いました。

 嶋佐:もちろん、もっと登録者数の多い方々はいくらでもいらっしゃいますけど、やってて良かったなと思えるようなこともあるんですよね。

 去年の「M-1」をきっかけに、笑福亭鶴瓶さんが僕らのネタに興味持ってくださったそうで。年末年始ハワイに行ってらっしゃったそうなんですけど、ネットの速度制限がかかるくらい、僕らのネタ動画を見てくださっていたと。

 そこから鶴瓶さんのラジオ番組「笑福亭鶴瓶 日曜日のそれ」(ニッポン放送)にも呼んでくださり、食事にも連れて行っていただきまして。まさかこんなご縁が生まれるとは思ってなかったので、それも本当にうれしかったですね。

 屋敷:そうやって鶴瓶さんとのご縁をいただいたことで、改めて、鶴瓶さんのすごさを思い知るというか。生き様がすごすぎて。

 ラジオだとか鶴瓶噺で日々のお話をされてますけど、生活で心に引っ掛かったことをメモしてらっしゃると。そのメモというかネタというか、それが年間700個くらいできると。今もものすごく寄席にも出てらっしゃいますし、どんどんしゃべることがあるというのは、そういうことに支えられているんだなと改めて思いました。そのお話を聞いた日から僕もメモを取ろうと。まず「鶴瓶さん、すごい」というメモを取ったんですけど、そこからメモは止まってます(笑)。

 コロナが広がっていく少し前に食事に行かせてもらった時も、鶴瓶さんの知り合いのお店に連れて行ってくださったんです。その時点で少し客足が落ちかけていたお店をサポートしようという思いで行かれて、少しでもお店の売り上げになったらとヨソの席のお客さんにもお酒をバンバン振る舞って。その感じもすごかったですし、何より、威圧感がマジでないんです。本気出したら、僕でも頭を叩けるんじゃないか。そう思わせるくらい、ポップなんです。だからこそ、あそこまでの方になられたんでしょうし、そういう出会いをいただけたのもYouTubeの成果だと思います。

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YouTubeの数字とは

 嶋佐:ただ、僕らがYouTubeを始めた頃は、まだYouTubeをやっているのが珍しいところもあったんですけど、今は芸人だけじゃなく、全てのジャンルのタレントさんがYouTubeをやりだしている。なので、僕らくらいの芸人が何をやったらもうひと伸びできるのか。それはしっかり考えないとダメだなと。

 屋敷:YouTubeの中で、生で毎週ラジオをやるのは一つ特化できている部分かもしれませんけど、YouTubeで数を伸ばすというのは本当に難しいことだと感じています。

 この前も、そんな話をしたんですけど、知名度と登録者数が全然比例してないんですよね。誰もが知っているようなタレントさんがやっても、そんなには伸びてない。ただ「かまいたち」さんとか「霜降り明星」とかグッと勢いよく来てる人がその瞬間にYouTubeを始めると、しっかりと数字が伸びるんです。

 これは僕の見立てですけど、YouTubeの数字は、この“グッと”が大事なんだろうなと。僕らで言うと、去年の「M-1」で準決勝に行った時に伸びて、決勝進出でさらに伸びて、というのは体感したんです。あそこから最終の3組に残ったらさらに伸びただろうし、もちろん優勝したら、もっと、もっと、だっただろうし。

 結局、テレビで活躍するのがYouTubeにも繋がるし、テレビで活躍するためには日々の仕事も、賞レースも頑張らないといけないし。結局、結局、頑張るしかないんですけどね(笑)。

 恐らくですけど、ここまでYouTubeをやってきて感じたのは、単に登録者数を増やすということだけならば、その“方程式”はあるっぽいんです。こういうことをやっていけば、数は伸びていきますよと。

 ただ、それをやって僕らが楽しいのか。そして、言わば、同じ設計図で動画を組み立てていくわけですから、仕上がりも同じようなものになる。それを僕らがやりたいのか。その思いも同時にあるんです。

 嶋佐:自分たちが面白いと思うものを出して、数が伸びる。これが一番でしょうし、そのためにはテレビや賞レースで結果も残さないといけない。言ってしまえば、それだけのことなんですよね。そうやって、もし、登録者数が100万人とかまでになったら、これは本当に嬉しいことです。

 そうなったら、こちらのチャンネルに出ていただく価値も上がると思うので、例えば、スポーツ選手とか他業種の人に出てもらってインタビューをするような内容もやれたらなとは思っています。…あとは、これでもかとグラビアアイドルに出てもらって、ただただ、アイドルに囲まれるというのもやってみたいですね。

 屋敷:最後の最後、急ハンドルでゲスい話になったやないか!鶴瓶さんにも申し訳ないわ。

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(撮影・中西正男)

■ニューヨーク

1986年5月14日生まれで山梨県出身の嶋佐和也と86年3月1日生まれで三重県出身の屋敷裕政が2010年コンビ結成。ともにNSC東京校15期生。同期は「おかずクラブ」、横澤夏子ら。独創的な設定のコントなどで注目される。YouTube「ニューヨーク Official Channel」内でラジオ番組「ニューヨークのニューラジオ」(日曜午後10時)など様々な内容を配信中。また、屋敷が新型コロナウイルス感染拡大に伴う自粛期間中に彫った版画約60作品を展示する個展「ヤシキ版画展2020」(7月18日~31日、東京・ヨシモト∞ドーム)も開催される。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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