「TKO」木下から語られなかった騒動の裏側

写真:アフロ

 3月15日で松竹芸能を退所したお笑いコンビ「TKO」の木下隆行が5日に放送されたフジテレビ「ワイドナショー」に出演した。

 退所後、初のテレビ出演となったが、これまで報じられてきた「ペットボトルを投げつけた」「顔を踏みつけた」などの後輩芸人へのパワハラ騒動について「事実です」と認めた。

 ただ、放送では騒動の細かいところまで言及はなかったが、騒動当初から取材をしてきた中で、こちらが集めてきた取材メモを振り返ると、以下のような流れになる。

 ●発端となった「よゐこ」濱口の結婚祝いパーティー。木下が幹事を申し出たが、その時点で既に一回パーティー的なものを後輩たちはやっていた。なので「え、またやるの…」といった感情が後輩たちにはあった。しかし「ま、木下さんがやるんだったら…」と受諾。

 ●ただ、木下はそれまで幹事というものをやった経験がなく、会費集めの段取りや報告などの流れが悪く、それでなくても「二回目なのに…」という思いがあった後輩たちの中で、不満の空気が高まっていく。

 ●そのパーティーの会費を木下が独り占めしたという話もあったが、その事実はない。不慣れなところはあったが、基本的に会費はかわいがっていた後輩芸人に預けていたので、木下の手元にお金はなく、物理的に使うことはできない状態だった。

 ●そんな中、パワハラ暴行騒動の現場となったお笑いライブが開催され、後輩芸人から「あのお金、どうなったんですかね」と尋ねられた。独り占め的な事実はなかったこともあり、そのことで木下が激昂。楽屋でペットボトルを投げつけ、それが後輩の目に当たった。

 以上がペットボトル騒動に関するこちらの取材メモだが、5日の番組中、松本人志から「こうなった時に、後輩から木下をかばう声が出ない。そこがちょっと問題ありなのかな」という発言があった。

 発端となったペットボトル騒動が起こった根底には、それまでの木下の振る舞いを良く思っていなかった後輩の思いがあったと聞く。これも番組内で松本が「本当に思っていることを、あえて笑いを交えたように見せて言うパターンはある」と評していたが、僕の取材する限り、まさにそのパターン。再び、その後の取材メモを振り返ると、以下のようになる。

 ●ペットボトルの件はかなり揉めた。あまりにも揉めたので、松竹芸能が間に入り、木下、当該の後輩芸人が集まって関係修復の食事会が開かれた。一応、そこで“手打ち”とはなったが、感情的なしこりは大きく、ひずみが増していった。

 ●木下としては「アットホームな会社なのに、オレがいるがために、みんな仕事がしにくくなる。それならば、もう仕事場にも行かない方がいい」という判断から活動を自粛するようになった。

 ●今年に入ってお遍路に行ったり、自分を見つめなおすことをやったりもしたが、周りの理解が得られず、溝が埋まらず退所という結論に至った。

 騒動当初から、周囲が木下と後輩芸人の関係修復に尽力しているという話は聞いてきた。ただ、相方の木本武宏と同じ番組に筆者が出演する機会もたびたびあったが、騒動後は少し違和感も覚えていた。

 というのは、いつも朗らかでサービス精神旺盛な木本が、番組で木下の話になると、ほんの少しだが口ごもる。0コンマ何秒の間なのだろうが、空気が止まる。そこに、この騒動の根深さというか、難しさを感じてもいた。

 退所するがコンビは継続。非常に複雑で、苦渋の決断が見て取れる形でもある。当然、ここの判断には木本の思いが多分に反映されていると複数の関係者が声をそろえる。

 感情的しこりがあった人間が相当数いたことは事実。でなければ、退所という選択肢は出てこない。ただ、一方で「いつかまた、松竹芸能に戻れる日がくれば」という言葉を口にする関係者がいるのも事実。どちらの声も間違いなく耳にした。

 20年以上松竹芸能を取材しているが、本当にアットホームで中にいる人間の距離が近く、家族のような事務所というイメージを持っている。

 木下が新たな一歩を踏み出したことは紛れもない事実だが、コンビ継続という一本の“綱”が残されたのも、また事実。木下の一歩が今後どのような道を作っていくのか。注視していきたい。

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。noteで「全てはラジオのために」(note.com/masaonakanishi)も執筆中。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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