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開拓を続けた10年、吉本興業のアイドルユニット「つぼみ大革命」の道のり

中西正男芸能記者
「つぼみ大革命」の樋口みどりこ(右)と恵梨華

 4月で結成10周年を迎える吉本興業の9人組アイドルユニット「つぼみ大革命」。3月4日には6枚目のシングル「恋愛ランチ」をリリースし、日本テレビ系ドラマ「ランチ合コン探偵~恋とグルメと謎解きと〜」の主題歌にも選ばれました。昨年12月に放送された日本テレビ「女芸人No.1決定戦 THE W」では異例の9人コントで決勝進出を果たすなど、これまでのアイドルとは一線を画すスタイルで活動していますが、メンバーの樋口みどりこさん(27)、恵梨華さん(27)がオンリーワンアイドルの喜びと苦悩を明かしました。

曲も、衣装もないスタート

 樋口:一応、アイドルなので、全国ネットに出していただく番組は例えば「ミュージックステーション」とか歌番組なのかなと勝手に思っていたんですけど、まさかの「THE W」(笑)。ネタの賞レースで大舞台に出していただくというのも、これはこれで「つぼみ大革命」らしい流れだったなと思っています。

 恵梨華:グループとして今年で10周年になるんですけど、これまでの道のりも普通はなかなかないパターンだったのかなと。

 最初はスタッフさんもいない、CDも出せない、曲も作ってもらえない、衣装もないみたいなところからスタートしましたからね。そこから始まって「今年は衣装を作れた!」とか「なんと、CDが出せるらしいよ!」とかそんな感じで一歩ずつ進んできて。そして、今年はドラマの主題歌までさせてもらえるようになって…。

 歩みはだいぶ遅いんですけど、少しずつアイドルになっていったという感じです。やっとアイドルらしいことができるようになってきたという。10年かかって(笑)。

 樋口:今でも自分たちの曲がドラマの主題歌になったなんて信じられないですしね。毎回毎回スタッフさんから仕事のお話を聞くたびに「今回こそドッキリや」と思ってますもん。

 恵梨華:でも、一つ一つの嬉しさがしっかりと際立つ言いますか。もともと何もない家に一つ一つ基礎的な家電が揃っていくというか。「やっとテレビが来た」「冷蔵庫が来た」という感じで(笑)。最初からあったら、その喜びもないですもんね。

“舞台声”のアイドル

 恵梨華:私はもともと吉本興業の養成所(NSC大阪校)に通っていて、芸人になるつもりだったんです。でも、相方が辞めてしまって、ちょうどその頃に「つぼみ」(現つぼみ大革命)のオーディションがあったんです。

 本当はスタッフさんとしては、私の元相方を入れたかったそうで「相方呼んで、一緒に来て」と言われたんですけど、ただ、相方はやっぱりこの世界を辞めるということで。結果、私だけが行ったら「え、君だけ?」と言われまして(笑)。でも、ま、そこから何とか入ることになりまして、今に至るという感じです。

 実は小さい頃からアイドルもすごく好きだったんです。ハロープロジェクトさんに憧れていて。なので、NSCからアイドルに入ったんですけど「つぼみ大革命」はお笑いも、アイドルも、好きなことが両方できる。これだけありがたい場はここしかないなと思っています。

 樋口:私は小学校の頃にミュージカルの「アニー」を見て、ダンスやお芝居を少しやったりもしていたんです。でも、大学に入って将来を見据えた時に、いろいろ考えて普通に就職しようと。

 ただ、大学のミスコンがあって、それに出ると化粧品とか参加賞がもらえるということだったので、出てみたんです。そこで準ミスにも選んでいただき、そこに来ていた吉本の関係者の方から声をかけてもらったのが、今のグループだったんです。

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 恵梨華:入るまでは、アイドルの世界って、それは華やかでキラキラしたものだと思っていたんですけど、現実は全然違いました。

 こんな言い方をすると、いろいろいやらしい感じになるかもしれませんけど、アイドルって、もっとスタッフさんがサポートしてくださるのかと思いきや、私たちの場合は、チケットも自分たちで手売りするし、グッズ販売も準備からお釣りの手配まで自分たちでやるし、ここまで“自給自足”なんだというのは驚きました(笑)。

 樋口:これは「つぼみ大革命」ならではなんでしょうけど、歌のレッスンも独特で…。

 恵梨華:吉本のアイドルなので、教えてくださる講師の方も吉本寄りの方と言いますか。歌というよりも、まず声の出し方から始まるんですけど「そんな声やったら、なんばグランド花月の2階席まで聞こえへんぞ!」みたいな感じで指導をされるんです。

 樋口:なので、声だけはしっかりと“舞台声”にはなったと思います(笑)。全体的なレッスンの割合で言うと、歌やダンスが3、コントとかお笑いが7くらいの感じで。コントの演出をつけてくださっているのが、女性トリオ「3時のヒロイン」の福田麻貴さんです。

 アイドルとして、この感覚が合ってるのか分からないんですけど、割合的にもお笑いのウエートが高いので、どうしても“かわいい”よりも“面白い”と言われる方がうれしくなる心のシステムにはなってますね。

 恵梨華:いろいろと大変なこともありますし、私たちならではの鍛錬みたいなところもあると思うんですけど、実際にライブをして1000人の前でパフォーマンスをした時の快感はすごいです。そして、その時の光景は何にも代えられない喜びにもなる。なので、大変なことだらけではあるんですけど、結局は全部楽しかったという思いで終わるというか。

最大のセールスポイント

 恵梨華:他のアイドルさんには負けないところですか?それは「みんなが本当に仲がいい」というところだと思います。アイドルが「仲いいんです」と言っても、すぐに「ウソつけ!」となりますけど(笑)、これがね、本当に仲がいいんです。仲良すぎるくらい。

 樋口:ライブの打ち上げとかでも、最後はみんなで「ありがとう」を言い合って、みんなで号泣。ただただ、お店にご迷惑をかけるという(笑)。ま、9人が9人のことをそれぞれ考えあってるといいますか。家族でもないし、友達でもないし、不思議な関係なんですけどね。

 恵梨華:全員が努力を惜しまないというか、それぞれに尊敬ができるところがあるんです。そして、同じ目標に向かって、悔しい思いも全部共有してきたので、今の関係性があるのかなと。苦労が多いグループだっただけに、仲がいいのかもしれませんね。

 …ただ、やっぱり、改めてこうやって仲がいい話をすると、より一層「ホンマか?」という空気にもなりますよね。なので、最近はいろいろなところで「実は、メチャクチャ仲が悪いんです」って言ってまわってます。…ま、でも、それもそれで、良くはないんかな(笑)。

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(撮影・中西正男)

■つぼみ大革命(つぼみだいかくめい)

2010年4月に発足した吉本興業の女性アイドルユニット。19年3月に旧ユニット名「つぼみ」から「つぼみ大革命」への改名を発表する。改名の意図は、歌とダンスと映像とコントが融合した新しい形のライブでアイドル界に革命を起こすという思いから。現在のメンバーは杉山優華、松下千紘、吉岡久美子、しより、樋口みどりこ、恵梨華、糸原沙也加、岡本りん、水森依音の9人。3月4日には6枚目のシングル「恋愛ランチ」をリリースし、日本テレビ系連続ドラマ「ランチ合コン探偵 〜恋とグルメと謎解きと〜」の主題歌にもなる。4月29日に結成10周年を迎える。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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