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2020年注目女優・岡崎紗絵が明かす恩人への思い

中西正男芸能記者
次々と話題作に出演する岡崎紗絵

 俳優・田中圭さん主演の映画「mellow」(1月17日公開、今泉力哉監督)でヒロインを演じる岡崎紗絵さん(24)。2012年に雑誌「Seventeen」の専属モデルとしてキャリアをスタートさせ、15年からは女優としても本格始動しました。「僕たちがやりました」「トレース〜科捜研の男〜」「パーフェクトワールド」など話題となったドラマに次々と出演。ブレーク必至の存在としてあらゆる雑誌でも注目されていますが、礎となっているのは先輩女優からの助言だといいます。

“引き出し”が増えた

 「mellow」の撮影を振り返ると、イメージとして“柔らかさ”が浮かんでくるんです。作品自体にすごく優しい空気が流れていると私は思っているんですけど、現場もまさにそのままの空気といいますか。

 現場でご一緒した機会でいうと、主演の田中圭さんが一番多かったんですけど、映画に入る前は「どんな方なんだろう…」と正直、緊張してたんです。でも、実際にお会いすると、驚くほどフランクな方で(笑)。

 初日から本当に気さくに話しかけていただいて、現場の雰囲気もすごく良くしていただいて、どこまでもありがたかったです。

 あと、メイクさんやスタッフさんらと現場近くのステーキ屋さんにディナーにも連れて行っていただきました!みんなでワイワイとゴチになりました(笑)。

 そういう空気が作品にも繋がっているというか、そんな雰囲気が確実にスクリーンにも出ていると感じています。

 あと、これは私にとってチャレンジでもあったんですけど、監督さんからも言われたのが、この作品では“日常”という部分をすごく大切にしていると。いつもの生活の切り取りというか、その積み重ねというか。

 そうやって、お芝居としてしっかりと日常を演じるというのが初めてで、いざ「普通に話して」と言われた時に、それをどう表現したらいいのか。これまでにはない部分が難しくもありました。

 でも、そういうことに挑戦できたことがすごく嬉しかったですし、明らかに自分の“引き出し”が増えたような感覚がとても嬉しくもありました。真面目な話になっちゃいますけど(笑)。

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偶然の出会い

 そもそもの話でいうと、この世界に入ったのは17歳の頃でして、それまでも芸能界に漠然と興味はあったんです。単純に「輝いていて、楽しそう!」みたいな感じで(笑)。ただ、実際に入るということまでは本当に考えてなかった。

 そんな中、フラッと家族で外に食事に行ったんです。それこそ、本当に普通の日常として。じゃ、そこでめぐりあわせというか、偶然なんですけど、お店にたまたまカメラマンさんがいらっしゃって写真を撮ってもらったんです。

 その写真がきっかけになって事務所に入ることになり、さらに「Seventeen」のモデルに応募したら合格。そこから本格的にモデルのお仕事を始めるという流れになりました。

 人生、何がどうなるか、本当に分からないですね。あの日、家族でご飯を食べに行ってなかったら、この仕事はしてないと思います。

 でも、実際に入ってみると、難しいことの方が圧倒的に多くて。最近になって楽しいと思えることも増えてきましたけど、最初は楽しむ余裕なんかありませんでした。

 モデルのお仕事も、パッと見たら一枚の写真があるだけですけど、実は、そこまでにものすごい数の写真を撮ってもらっている。それだけ撮られるということは、その都度、ポージングもしないといけない。

 ただ、入ったばかりの頃は、そんな仕組みも最初は分からないというか。次々と撮らないといけないのに、ポーズはないし、顔も固まるし…。

 一方、先輩方の撮影を目の当たりにすると、すごい…と思うわけです。これがプロなんだと。そこで本当の難しさを知るといいますか。

自分の頑張り方

 さらに、女優の仕事はもう一つハードルが高いと感じてました。5年ほど前に映画をやらせてもらってお芝居の仕事を始めたんですけど、最初はとにかく怖くて、怖くて。

 というのも、モデルよりも女優さんの方が存在として自分からは遠いものだったんです。モデルって雑誌を見てたりすると、なんかこう、勝手に身近に感じもするんですけど、女優さんってよっぽど自分が「なりたい!」と思っていないと、身近に感じられないというか。

 自分とは縁がないはるか遠くの仕事だと思っていたので、より一層、何をどうしたらいいのかが分からなくて…。

 まず現場での振る舞いというか、お芝居云々の前に、どこのイスに座ったらいいのか、誰とお話をしていいのか。そんなところから分からなかったですし、周りにはテレビで見ていたような方々がたくさんいらっしゃって、どう接したらいいのかも分からない。

 もちろん、セリフを覚える、カメラとどう向き合うか。そういう本筋の分からないこともあるんですけど、そこにまでたどり着かないくらい分からないことだらけでした。

 あと、これはモデル時代からずっとなんですけど、私はとても緊張するタイプなんです。緊張しすぎると、何もできなくて真っ白になっちゃったりもする。

 名だたる俳優さんがいらっしゃる中、お芝居は自分が間違えると、その方々にもう一回同じことをやらせてしまう。そんなプレッシャーもあって、役と向き合うより、そっちの方でアタマがいっぱいになっちゃうところもありました。

 この緊張をほぐすにはどうしたらいいのか。本当に大きなことなので、それを考えて、考えて、考え抜きました。結果、そういったことを考えないようにしました(笑)。

 そう言っちゃうと語弊があるかもしれませんけど、考えすぎると一回間違えたことをずっと引きずっちゃったりするんです。なので、その“考え込む”ということをやめるという方が近いかもしれません。

 「次が1回目のテイクだ」と思うくらいの感じでいかないとダメなんだなと。あくまでも、私の場合は、ですけど。そうやって、自分を分析することにも繋がりました。

 頑張り方は人それぞれだし、自分とこれでもかと向き合った結果、自分のやり方があるんだなと。それはすごく思いました。自分の頑張り方は自分にしか探せないんだなと。

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ありがたい存在

 そんな迷いの中、最初に出演したのが連ドラ「サイレーン 刑事×彼女×完全悪女」(関西テレビ)。この作品でのことが、今も深く胸に刻まれています。

 初めての連ドラ。これもまた何も分からない。本当に難しい。緊張の連続。そんな中、助けていただいたのが山口紗弥加さんでした。

 実は、そのドラマの前に演技のワークショップに参加して、そこで山口さんとお会いしていたんです。その縁で、あらゆる形でこちらを気にかけてくださって。本当に救われました。

 私がドギマギしていると、いつもすごく柔らかく、気さくにしゃべりかけてくださって、ご飯の時も「ここにおいで!」と自分の横に呼んでくださる。何も分からない最初の現場で、自然にそういうことを言ってくださる。そのことにどれだけ救われたか。本当に感謝しかありません。

 なので、おこがましいですけど、今後、私もそういう存在になれたらとも思いました。最初は誰でも絶対に緊張するし、何も分からない。新しく入ってきた人がそうなっている時に、いつか私が山口さんみたいに話しかけられたらなと。

 ドラマ終わりに「すごく大きく支えていただきました。ありがとうございました」とメールを送ったら、山口さんからすごく長文の返信をいただきました。

 すべては自分次第。頑張るも、頑張らないも、全部自分次第。だから、自分が思う方向に進めばいいよ。そういったことを言ってくださって…。気持ちが楽になるというか、本当にこういう人になりたいと思いました。

今年のテーマ

 2020年、今年のテーマとしては“余裕を持つこと”を掲げています。先ほどもお話をしたように、緊張は今でもしますし、そこで焦ると負のスパイラルに入ってしまう。なので、全てにおいてゆとりを持って行動できたらなと。

 あと、私は本当に趣味とか特技がなくて。強いていえば“街中でいち早く芸能人を見つけること”くらいで(笑)。それ以外にも特技を作りたいと思って、茶道を始めることにしました。

 というのも、時代劇にもすごく興味がありまして。もし、そんなお仕事がいただけた時に、所作を知ってるだけでも全然違うだろうなと。

 さらに、今年の目標の“余裕”の話にもつながるんですけど、これまで何回か茶道の教室に行ってみたんですけど、その度に、実に気持ちがゆったりとするんです。これは素晴らしいなと。お仕事にも役立つし、今年のテーマにも繋がるし、これはもうやるしかない!(笑)。充実した年になるよう、全てにおいて頑張りたいと思います。

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(撮影・中西正男)

■岡崎紗絵(おかざき・さえ)

1995年11月2日生まれ。愛知県出身。T-TRIBE ENTERTAINMENT所属。2012年、雑誌「Seventeen」のオーディション「ミスセブンティーン2012」に広瀬すず、高堰うらら、藤井サチらと選ばれ、同誌専属モデルになる。16年から「Ray」の専属モデルを務める。15年から女優としても本格始動し、映画「脳漿炸裂ガール」でスクリーンデビュー。フジテレビ「サイレーン 刑事×彼女×完全悪女」で連続ドラマに初出演する。その後も「僕たちがやりました」「トレース〜科捜研の男〜」「パーフェクトワールド」など話題作に次々と出演。1月17日公開の映画「mellow」ではヒロインを務める。フジテレビ系の連続ドラマ「アライブ がん専門医のカルテ」にも出演中。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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