田村亮活動再開、二つの要因

活動再開が発表された田村亮(2015年、筆者撮影)

 無期限謹慎中だったお笑いコンビ「ロンドンブーツ1号2号」の田村亮の活動再開が発表された。

 昨年11月26日、“闇営業”騒動後、初の単独インタビューとして拙連載で田村淳の取材をし、約1時間話を聞いた。

 その中で特に印象深かったのが、謹慎期間中、淳が亮にずっと尋ね続けてきた“質問”の話だった。

 「唯一、僕があいつに確認してきたことがありました。それは『今後、芸能界で仕事をしたいかどうか』。この質問は、かなり初期というか『こんなこと、今のタイミングで聞くのも違うかな』という時期から、あえて聞いてきました。というのは、どこかで『もうやりたくない』となれば、すぐに解放してあげようと。それは、引退という形で」

 「同じことばかり尋ねられたら、どこかで答えるのも面倒くさくなってくるものなんでしょうけど、この質問にだけは毎回気持ち良く『やりたい』と返事をしてくるんです。だったら、こちらも何か動こうと」

 その思いから「いつになるのか、もしかしたら一生ないかもしれないが、亮が復帰する時に吉本と亮の橋渡しになれば」と考え「株式会社LONDONBOOTS」を立ち上げた。

 今回、活動再開という非常に大きな節目を迎えたが、そこには大きく二つの要因があったと聞く。

 一つは、淳の献身的なサポート。

 騒動後から基本的に毎日電話をし、わずかでも亮と話す。時間があれば、仕事終わりに番組スタッフらを連れて亮の家に行き、他愛もない話をしながら、亮の様子をうかがう。「お仕事を休んでいても、これだけの人がパパのために家に来てくれるんだよ」ということを亮の子どもに見せるという“裏テーマ”も込めながら。

 そして、会社立ち上げも含め「いつになるかはわかりませんけど、もし、その(復帰の)日を迎えることができたら、すぐに動けるように」と“見えない未来”のための丁寧な下準備を各所でしてきた。

 ある芸人仲間も「もし、自分の相方が亮さんのような立場になったとして、自分に淳さんの動きはできない。あれだけ“愛”と“ビジョン”をしっかり持って走り続けることは、いくら相方への思いがあっても、やりきれるものではない」とただただ感心していた。

 二つ目は亮の人柄。

 昨年の段階から、亮のために「何かできることはないか。もし手伝えることがあるなら、自分が動く」という芸人仲間、テレビ局関係者らが相当数いたと聞く。

 素直で優しい。そのベースがありつつ、これまで、あらゆる芸人仲間から聞いてきた亮の最大の愛されポイント。それは“良い意味で欲がないこと”と考えている。

 過去に亮も幾度となく取材してきたが、2015年10月には人生の恩人について尋ねる拙連載でインタビューした。恩人に加藤浩次を挙げ、加藤への思いを語る中で、仕事への思いも明かしていた。

 「おこがましい話ながら(加藤への)恩返しなんてことがあるならば、ギリギリでもいいから、この世界で飯が食えてることやと思います。本当にギリギリでもいいんで、この仕事を続ける。それが僕のしたいことでもあるし、それをお見せするのが、もしかしたら、恩返しにもなるのかなと」

 お笑いへの愛はありながらも、人を押しのけてまで上がろうとはしない。その姿勢が可愛げとなり、周りをひきつける。今回の一連の流れでも、この力学が大いに働いたと考える。

 現段階では仕事復帰の時期や内容などは明らかになっていないが、これまでの通例からすると、コンビとして舞台から復帰する可能性が高い。

 昨年12月2日に更新した淳のインタビュー原稿の中で、原稿量の問題でカットした部分がある。

 「亮が『被災地にボランティアとして行きたい』と言ったんですけど、それは止めました。これから災害が起きたら、その度に行き続ける覚悟があるのか。もしないなら“利用”になる。『復帰を目指してます』というアピールと取られかねない。それは亮にも良くないし、何より被災地の皆さんに悪すぎる。そう話をしたら、亮は『ん~』とうなってました。亮には“深く納得するとうなる”という性質があるので(笑)、この話はしっかり理解してくれたんだなと思いました」

 一歩踏み出したからには、芸人として、あとは笑わせるしかない。愛と信頼に裏打ちされた淳のイジリが、どんな笑いを生み出すのか。注目したい。

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。noteで「全てはラジオのために」(note.com/masaonakanishi)も執筆中。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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