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2019年ブレーク芸人「空気階段」が語る二人の恩人

中西正男芸能記者
「空気階段」の鈴木もぐら(左)と水川かたまり

 「キングオブコント2019」で決勝進出し、一気に注目度が高まったお笑いコンビ「空気階段」。鈴木もぐらさん(32)と水川かたまりさん(29)が2012年にコンビ結成し、今年3月には所属する吉本興業の劇場「ヨシモト∞ホール」の顔となる“TOP5”のメンバーにも選ばれました。まさに今年は飛躍の年になりましたが、ここにたどり着くまでには恩人からの言葉があったといいます。

休みゼロ

 鈴木:9月に「キングオブコント」で決勝に行ってからは、少しずつお仕事がいただけるようになって、丸一日休みという日はなくなりました。何かしらライブが入っていたり、取材が入っていたりしてまして。

 水川:その前から、今年に入ったあたりからですかね。だんだんとお仕事は増えてはきていたんです。それでも週に1日か2日は丸一日休みという日があったんですけど、「キングオブコント」以降はそれがなくなった感じですね。

 鈴木:あと、僕はツイッターで、アラブか中東の方からダイレクトメッセージをいただくようになりまして。

 完全にアラビア語のメッセージなので中身は分からないんですけど、そのユーザーを調べてみたら、世界的な犯罪者の可能性がありますと(苦笑)。

 おそらく、何かしらの“誘い”だったのかもしれませんけど、こんなルックスですけどアラビア語が読めなくて良かったです。

 ま、公私でいうと“公”の方は本当に良い年だったと思います。ただ“私”の方は全然でした…。去年子どもが生まれたんですけど、経済的な問題で奥さんと子どもは奥さんの実家で暮らしてて、まだ僕はアルバイトも辞められないですし。来年は“公”の部分の良さが“私”にも来てくれたらなと思っています。

 水川:去年は「キングオブコント」準決勝で負けて、その時、彼女と同棲していたんですけど、負けた悔しさでやけ酒をして、部屋をぐちゃぐちゃにしてしまったんです。それが原因でフラれまして…。

 ただ、それが今年は決勝に行けて、決勝に行けたことが直接の理由ではないんですけど、なんと彼女と復縁もできまして。どこまでも良い年になりました。

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仕事は月に2分

 鈴木:今年は本当にありがたかったんですけど、これまでを振り返ると、僕はこの世界に入って3年目くらいの頃が一番しんどかったですね。高円寺のボロアパートで風呂もトイレもないところに住んでました。

 仕事も、本当にない時は劇場出番が月に1回だけとか。なので、芸人としての仕事は月に2分です。

 当時、無料案内所のアルバイトをやってたんですけど、週5日入ってました。なので、もう完全に夜の世界の人みたいになってましたね。

 ただ、劇場ではダダすべりという感じではなかったんです。手ごたえもあって、劇場内のピラミッドで上のカテゴリーに上がれそうな時もあったけど、なぜか結果が出ない。

 プライベートというか、私生活でも、ネズミしかかからないと言われる病気にかかったり、逆ナンしてきた女性にふられたりね。

 水川:逆ナンして、声をかけてきたのにフルというのはなかなかだよね。

 鈴木:案内所で働いている時に逆ナンされて、何回か食事を重ねて告白したんですけど、ダメだと。で、なぜダメだったのかを尋ねると「私、太ってる人、タバコ吸う人、ヒゲ生えてる人、好きじゃないの」って言われまして…。

 逆ナンされた時点で、全部オレ当てはまってるんです。いったい何を見て、いったい何が良いと思って逆ナンしてきたのか…。全てがおかしい年でしたね。3年目を漢字で例えると「奇」でした。奇怪の。

 でも、辞めなかったんですよね。それは今から思うと、本当に良かったなと思います。

太田光の言葉

 水川:僕は「爆笑問題」さんが好きで芸人になったんです。高校の時からずっとお二人のラジオを聴いていたんですけど、3年ほど前、ラジオの中で太田さんがいきなり僕らの話をしてくださったんです。ネタを見たら、面白かったと。

 お会いしたこともないですし、僕としたらいつもと同じようにラジオを聴いていたら、突然その話をしていただきまして。それがとにかくうれしくて…。

 また、その頃はテレビのお仕事もないし「キングオブコント」も2回戦で負ける。さらに、近い世代で売れる人も出てきたりして、より一層「このままでいいのかな…」という感覚があった時だったんです。その最中でのことだったので、とても大きくて。

 その後、太田さんとは何度か番組でご一緒させていただきましたし、ライブにも呼んでいただきまして。

 太田さんが僕らのことを「平成の『コント・レオナルド』だ」と言ってくださいまして。お笑いの歴史に必ず名前が出てくるような方々になぞらえてもらえるなんて、光栄としか言えないですし、それを太田さんから言ってもらったわけですしね。しっかりと、その言葉に報いるようにやらないといけないなと。

 鈴木:実は、僕も無料案内所で働いている時に、近くのお店のお姉さん方と顔見知りになりまして、とある風俗店のお姉さんで、超売れっ子のナンバーワンの方がいらっしゃったんですけど、その方から声をかけてもらいまして。

 たまたまちょっとテレビに僕が映ったのを見てくれていたみたいで「テレビに出てたね!」と声をかけてもらって。「きっと売れるから、今のうちにサインをして」と言われたんです。

 それが普通の色紙とかではなく、そのお姉さんが持っていたLouis Vuittonのバッグにマジックでサインをさせてもらったんです。

 初めて書いたサインがLouis Vuittonのバッグ。こちらとしては躊躇したんですけど「絶対に売れるから、今のうちに」と繰り返されるので、させてもらったんです。

 つらかった時代でも辞めなかった。先ほども少し話しましたけど、それだけのものにサインをしてしまったんだから、頑張らないといけない。その思いはありましたね。太田さんの話の流れでする話じゃなかったかもしれませんけど(笑)、僕にとっては本当にありがたい言葉だったんです。

(撮影・中西正男)

■空気階段(くうきかいだん)

1987年5月13日生まれで千葉県出身の鈴木もぐらと、1990年7月22日生まれで岡山県出身の水川かたまりが2012年にコンビ結成。吉本興業所属。NSC東京校17期生。「キン

グオブコント2019」で決勝進出。TBSラジオ「マイナビ Laughter Night 空気階段の踊り場」に出演中。来年3月20日から22日には単独ライブを東京・草月ホールで開催する。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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