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深川麻衣の原点「後悔したくなかった」

中西正男芸能記者
「乃木坂46」を卒業し、女優として注目されている深川麻衣

 2016年にアイドルグループ「乃木坂46」を卒業し、女優に転身した深川麻衣さん(27)。昨年は初主演映画「パンとバスと2度目のハツコイ」でTAMA映画賞最優秀新進女優賞を受賞し、今年1月7日からはNHK連続テレビ小説「まんぷく」にヒロイン・福子の姪、吉乃役で出演するなど、まさに今が旬の注目株です。さらに、テレビ東京系「日本ボロ宿紀行」(1月25日スタート、金曜深夜0時52分)で地上波連続ドラマ初主演も務め女優の階段を一気に駆け上がっていますが、その原点にあるのは「後悔したくない」という強い意志でした。

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週5日は大阪

 今は「まんぷく」の撮影で、平日はほぼ大阪にいてます。土日だけ東京に戻ってくる感じで。10月後半から参加させてもらっていますので、今でほぼ3カ月、そんな生活が続いています。最初はNHKに行くのも緊張していたんですけど、今は撮影の合間があったら、大阪の街を一人でブラブラして満喫しています(笑)。

 初めての朝ドラで、見るものすべてが新しいんですけど、中でもびっくりしたのがスピード感でした。たくさんの分量を撮影しないといけないので、次々と撮影が進んでいく。じっくり、ゆっくりと進む映画の現場とは全く違う緊張感というか、あっという間に進んでいくので切り替えも大事だし、それだけのスピードでやっていけるくらい、スタッフさんも本当にプロ意識が高い方々がやってらっしゃるし、全てにおいて学びの日々です。

 もちろん、出演者の皆さんもそうそうたる方々。ヒロインの安藤サクラさんはこれまで一方的に「すごい女優さんだなぁ」と思ってきましたけど、実際にご一緒させてもらうと、さらにすごさが分かりました。

 今回、私は物語の途中から出てくる役だったので、既に空気感ができあがってから、そこに入る流れになりました。なので、実は少し怖いというか「なじめるかな…」という不安もあったんですけど、私の撮影初日にサクラさんがこっちに来ていただいて「途中から入るのって、緊張するよね」と話しかけてきてくださいまして。もちろん、ヒロインですからセリフ量も多いし、撮影以外のPRイベントだとか、やるべきことが山のようにある中で、私にまで気をかけてくださる心配りが何より素敵だなと。純粋に、尊敬できるというか。

 あと、やっぱり朝ドラの影響力はすごいんだなと思いましたね。これまでで一番大きな反響がありました。ありとあらゆる方から「『まんぷく』見てるよ!」と声をかけていただきますし、地元・静岡でも放送しているので、おばあちゃんも喜んでくれました。ただただうれしいですし、ありがたいことだなと感じています。

後悔はしたくない

 そもそも、芸能の仕事に興味を持ったのは中学生の頃でした。ただ、その時は雑誌やテレビで自分と同年代の女の子が活躍している姿を見て「うらやましいな、私もこういう風になりたいな」と思うようになりました。ただ、中学、高校と進んで具体的に進路を決めていく中で、芸能界を目指している人は私の周りにはいなくて、相談する人もいなくて…。ただ、自分の中ではずっと思いは膨らんでいったんです。

 そうこうしているうちに、名古屋の服飾の専門学校を出て、もうここまできたら、普通はそのまま就職。もしくは、一念発起して、人前に出る仕事を目指して上京するか。ここの選択は本当に難しかったですし、普通に考えたら、学費も親に払ってもらっていたし、服飾関係の仕事に就くのが多くの人が考える正解だったのかもしれません。ただ、その時に「ここで後悔はしたくない」と強く思ったんです。あきらめて、後からずっと後悔しながら生きる人生は送りたくない。どうしても上京してチャレンジしてみたい。なので、両親にもしっかり話をして、東京に出てきました。

 アルバイトをしながらオーディションを受けて、ラッキーなことに「乃木坂46」に受かって、そこから芸能活動が始まりました。自分でもよくこの道を選んだなと思います。

自分と向き合う

 ただ、実際に中に入って見ると、想像以上に大変な世界ではありました。私の中のアイドルのイメージって、歌番組に出て歌って踊ってという感じだったんですけど、もちろん、それも当たり前にあって、プラスアルファが求められる。目を引くキャラクターだとか、ラジオでトークが面白いとか、何かしら突出したものがないと難しくて。じゃ、自分の持っているものの中で、何がそれに該当するのか。自分と向き合って、それを見つける時間というのはとてもしんどい時間でもありました。

 ただ、そうやって自分と向き合ってきたことが、今、お芝居の世界にすごく役立っているとは思います。もともと、私は「乃木坂46」の活動の中でも、ミュージックビデオの撮影だとか、個人のプロモーションビデオの撮影といった何かしらカメラの前で演じるようなお仕事が大好きだったんです。今、そういう仕事ができていて、さらに「乃木坂46」の時に毎日考えていたことがいろいろな人を演じる中ですごく役に立っている。これはとても幸せなことだなと思っています。

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背中を押すもの

 「女優として、順調だね」って言っていただくことも多くて、それはありがたいことではあるんですけど、言うまでもなく自分としてはまだまだ力不足ということも分かっています。去年から今年にかけて、初めてのことにもたくさん挑戦させていただき、映画の賞もいただきました。ただ、それはもちろん、スタッフさんや事務所が支えてくれたことだし、こういったことは「おめでとう」ではなく「さらに、もっと頑張りなさいよ」という意味合いが色濃くあるんだろうなととらえています。

 それと、今年のお正月、3~4年ぶりに地元に帰ったんですけど、そこで友だちが「自分たちがどれだけ頑張っても麻衣ちゃんには伝わらないけど、麻衣ちゃんが頑張っていることはメディアを通じて私たちにも伝わってくるし、本当に応援しているから」と言ってくれて。見てくれている人がいる。さらに、応援までしてくれている人がいる。これは励みになりますし、大変なことがあっても、それが吹き飛んじゃうくらいうれしいことだと改めて感じました。

これからの自分

 この仕事には、明確な答えがない。これって、すごく苦しいことだし、すごく迷うことでもあるんですけど、逆にいうと、ずっと続けていくことができるということでもあるんだなと。やりたい気持ちさえあれば、どこまでも追求できる。素敵なお仕事だと思います。

 今年は仕事以外でいうと、時間があったら、まだ行ったことがない国に行ってみたいですね。イタリアも行ったことがないし、ニューヨークもない。またそこで得た感情だとか経験が、次の自分につながるんだろうし、そうやって時間を過ごしていけたらいいなと。…よく考えたら、どこまでも、すごく真面目なインタビューになってますよね?こんなつもりじゃなかったんですけど、なんだか、すみません…(笑)。

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(撮影・中西正男)

■深川麻衣(ふかがわ・まい)

1991年3月29日生まれ。静岡県出身。2011年、アイドルグループ「乃木坂46」の1期生オーディションに合格する。12年に同グループのファーストシングル「ぐるぐるカーテン」のカップリング曲「左胸の勇気」「失いたくないから」でCDデビュー。15年には同グループとして「NHK紅白歌合戦」に出場する。16年、同グループを卒業し、芸能事務所「テンカラット」所属となり、女優として活動を始める。17年「スキップ」で舞台初主演。昨年公開の「パンとバスと2度目のハツコイ」で映画初出演にして初主演し、第10回TAMA映画賞の最優秀新進女優賞を受賞する。 NHK連続テレビ小説「まんぷく」に出演中。テレビ東京系「日本ボロ宿紀行」(1月25日スタート、金曜、深夜0時52分)で地上波連続ドラマ初主演も果たす。身長162センチ。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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