「仕事は月2日」。元「りあるキッズ」安田善紀が語る33歳のリアル

元「りあるキッズ」の安田善紀

 漫才コンビ「りあるキッズ」として、11歳でデビューした安田善紀さん。1996年にTBS系「輝く日本の星!次代のダウンタウンを創る」で勝ち抜き“未来のダウンタウン”として注目を集めました。2003年には18歳で「M-1グランプリ」決勝に進出。しかし、14年に拠点を大阪から東京に移したタイミングで相方の金銭トラブルが発覚し、突然コンビは解散となりました。以後、一人で活動を続け、芸歴は22年。年齢は33歳になりました。現在は「仕事は月に2日ほど」という状況ですが「面白いことがしたい。面白いヤツと思われたい」というシンプルな思いで芸人を続けていると言います。

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週に5~6日はアルバイト

 本当に正直な話、芸人としての仕事は月に2日ほど。メディア的な仕事はほとんどなくて、ほぼライブに出る仕事です。週に5~6日は浅草のメロンパン屋さんで販売のアルバイトをしていて、それが収入の軸になっています。

いきなりの解散

 2014年の6月に東京に出てきましたから、今で4年半経ちました。その前年から「東京に行こう」という話はコンビでしていたんです。当時は28歳、29歳の頃。30歳を前に、踏ん切りをつけるというか、東京に出て3年経っても売れる兆しがなかったら辞めようと話していたんです。

 自分としては覚悟を持っての東京だったんですけど、ちょうどそのタイミングであんなこと(相方の金銭トラブル)があって、コンビはいきなり解散となってしまいました。

 「りあるキッズ」として勝負をかけるつもりだったのがいきなりパートナーもいなくなり、いきなり更地みたいなことになってしまった。何をしたらエエのかも分からないし、知り合いもほとんどいない。モチベーション的にはズタズタでした。ただ、それでも、それでも「面白いことをやりたい」「面白いヤツと思われたい」という思いは消えなかったんです。

すべらない話

 解散で全てがゼロというかマイナスになるというのは、もちろん大変な出来事でしたけど、そこで本当の自分の思いと向き合えた。これは、とても大きなことではありました。もちろん、そんなきれいごとだけではないですけどね(笑)。

 仕事がなくても楽屋に行って先輩と話をしたり、新しい相方と漫才をやってみたり、またそのコンビも解消したりと、いろいろやってきました。その中でも、昨年から定期的にやっているのが(フジテレビ系)「人志松本のすべらない話」出演を目指してのイベントでして。

 自分の特徴を考えた時に、先輩からも言われるんですけど、心のマグマみたいなものを吐き出すように僕はしゃべると。また、そうやってしゃべっている時が一番イキイキしていると。

 例えば、僕が日ごろから思っているのは「売れてないのに結婚している芸人は許せん!」ということ。もちろん結婚自体は悪いことではないですけど、芸人が舞台で面白いのは当たり前。さらに、大切なのは出番やけいこが終わってから、先輩と話したり、ご飯に連れて行ってもらったり、そこの時間で信頼関係を築くということ。これが本当に大事やと思うんです。ただ、そこを奥さんがいるということで帰らないといけないとか、そうなっていくのは僕からしたら、仕事を、そして可能性を放棄しているように見えるんです。あくまでも、僕の感覚ですけど。

 結婚していても、そこらへんにリミッターをかけずにガンガン付き合いに時間を使う人もいます。ただ、ほとんどは結婚したら、やっぱりフットワークは重くなる。そうなると、つかめるものもつかめなくなる。売れてもないのに責任を増やして、またその責任で売れる可能性を低くしていく。その構図を見ずに「本気で好きなんで、結婚します」みたいなヤツは僕からしたら、何のために芸人の道に入ったんやと思ってしまうんです。

 確かに、自分でもそんな話をしている時が一番自分らしいとも思いますし、自分が得意なことを徹底的に鍛えた方が良いと思って、そこのパラメーターを上げるトレーニングをひたすらやろうと思ったんです。

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大竹まことの言葉

 実は、少し前に、それが報われたというか、もっと長いスパンで考えると、15年前に「M-1グランプリ」の決勝に出た。そして、自分なりにもがいてきたことが少しはつながったのかなと思えることがありまして。

 9月に大竹まことさんのラジオ番組「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送)に呼んでいただいたんです。大竹さんは僕が「M-1」決勝に出た時、審査員をしてらっしゃったんですけど、そこでは出場者と審査員なんで、お話をしたりすることはなかった。接点は、その「M-1」の時だけで、そこからは全くご一緒することはないままだったんです。

 ただ、ラジオの作家さんがネットで僕がしゃべっている動画をご覧になって、面白いと思ってくださったらしく、声をかけてくださいまして。ただ、そのゲストコーナーは竹中直人さんとかすごく大物の方がたくさん出てらっしゃる。さらに、これは完全にイメージだけですけど、大竹さんも怖そうやし(笑)、すんごいプレッシャーがあって。

 当日行かせてもらって、コーナーとしては20~30分だったんですけど、何をしゃべったのか覚えていないくらい必死でしゃべりました。うっすらと、さっきの結婚の話はしたのは覚えてはいますけど、とにかく、怒られてもいいから、ガンガン前にいくようにしゃべりました。

 番組が終わって大竹さんに「ありがとうございました」とあいさつに行かせてもらったら、一緒に喫煙所に行く流れになりまして。そこで、サラッと「お前、面白いから売れるよ」と言っていただきました。吉本興業の先輩でもなく、普段は接点はない。ただ、大先輩で本当にすごい方からそうやって言っていただいた。それがホンマにうれしくて。

思いは同じ

 12月24日に22周年記念ライブ「Road to すべらない〜安田善紀芸歴22周年記念スペシャル〜」(東京・下北沢シアターミネルヴァ)をやるんですけど、そこで昔の映像を流すつもりをしていて、11歳の時のVTRとかを自分で編集しているんです。

 映像を見ると、やっぱりその時の気持ちを思い出しまして。11歳の時の僕も、ただただ「面白いことをしたい」と思っていたんです。そして、今33歳の僕も「面白いことをしたい」と思っている。そこは変わっていないんだなと改めて思いました。

(撮影・中西正男)

■安田善紀(やすだ・よしのり)

1985年9月20日生まれ。奈良県橿原市出身。96年、TBS系「輝く日本の星!次代のダウンタウンを創る」で安田が“未来の松本人志”に選ばれ、相方と漫才コンビ「りあるキッズ」を結成する。2003年には「M-1グランプリ」で決勝進出を果たす。14年、拠点を大阪から東京に移すが、その時期に相方の金銭トラブルが発覚し、コンビ解散となる。その後は漫才ユニットを結成するなどしていたが、現在は一人で活動している。12月24日には22周年記念イベント「Road to すべらない〜安田善紀芸歴22周年記念スペシャル〜」を東京・下北沢シアターミネルヴァで開催する。

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。noteで「全てはラジオのために」(note.com/masaonakanishi)も執筆中。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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