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ジャッキーちゃん、人生を変えたジャッキー・チェンへの思い

中西正男芸能記者
ジャッキー・チェンさんのものまね芸で人気のジャッキーちゃん

世界的アクションスター、ジャッキー・チェンさんのものまね芸で人気のジャッキーちゃん(43)。日本テレビ系「しゃべくり007」など数々のバラエティー番組で注目され、昨年にはジャッキーさんの主演映画「スキップ・トレース」のキャンペーンで初めて本人との対談も実現しました。今年1月からビートたけしさんの事務所「オフィス北野」に所属。新たな一歩を踏み出してもいますが、子供の頃から持ち続けたジャッキーさんへの思いを語り尽くしました。

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オフィス北野所属に

今年カラ、オフィス北野サンにお世話にナリマス、ジャッキーちゃんデス!!ヨロシクお願いします!!

前に所属していた事務所を4月に辞めまして。そこからフリーという立場で、事務所を探しながら活動していたんですけど、お世話になっている方を介してオフィス北野さんからお話をいただきました。最初に所属うんぬんのお話をさせてもらったのが昨年10月でした。

まさか僕を採用というかとってもらえるとは思っていなかったので、第一印象としては「ウソッ!!」と思いましたね。「どこかに所属しないといけないなぁ」とは思いながらも、もっと安全圏と言いますか、言葉がアレですけど、もっと小さなところとか、自分をとってくださりそうなところを考えていた中、お話をいただきまして。ありがたい限りです。まさか、ジャッキーのものまねでたけしさんの事務所に所属させてもらうとは夢にも思ってませんでした。

ジャッキーへの複雑な思い

そもそも、小学校の時にはジャッキーのブームと言いますか、男の子はみんなジャッキーの映画に夢中になって、ものまねもしていた時代でした。そこで、周りから「ジャッキーに顔が似ているよな?」みたいなことも言われていたんですけど、そこは多感な時期と言いますか、それが恥ずかしいという感情につながってしまったんです。

顔がジャッキーに似ていて、そしてジャッキーが好きという構図が何とも照れくさいというか、逆に「ジャッキーはあんまり好きじゃないから」みたいなスタンスを演じたりもしていました。子どもならではのややこしい話なんですけど(笑)。

そこから中学に入って野球をやりだすと、どうしても野球が中心になるんですけど、それでもジャッキーは好きでした。高校になっても同じ状況。ただ、そんな年ごろになってくると、堂々と「ジャッキーが好き!!」ということに、また別の恥ずかしさが出てくると言いますか…。仮面ライダーや戦隊もの、ウルトラマンみたいな感じで、小さい頃は男の子が誰しも通る道だけど、大きくなってもまだそれが好きだと子供じみて見られるというか。そんな感情が僕の中ではジャッキーにもあって、途中からは“隠れジャッキーファン”というか、好きなんだけど、思いは胸に秘めるみたいな形になっていったんです。

芸能界入りは俳優から

僕のキャリアとしては俳優から始まりました。今でも本名の栄島智として、俳優は続けていますしね。ま、今、ものまね芸の仕事と、俳優の仕事の比率でいうと、ほぼ10:0でものまねの方が主流にはなってますけど(笑)。

もともとお芝居が好きで、幼稚園のお遊戯会の時から楽しいなとは思っていたんですけど、これも中学、高校に進むにつれ「芝居は東京だとか、遠くの方の人が本格的にやっているもので、自分からは離れた別世界のもの」という感覚になっていきまして。そんな中、大学生になってアルバイトを始めたら、バイト先の方から「今度、舞台をやるので観に来て!」と言われまして。その時に、ま、当たり前と言えば当たり前なんですけど「あ、身近な人もやっているんだ」と自分の中のちょっとした意識改革がありまして。観に行った舞台のチラシの中に劇団員募集の文字があり、やってみようかと。その時点で一般企業から内定をいただいてはいたんですけど、好きなことを一年だけやってみようと思って、劇団に入ったんです。

外から見たら、かなりの決断のように見えるかもしれませんけど、自分としてはすんなり選んだ選択だったんです。ま、一つ考えられるのは父親が地元・福岡でエフエム福岡に勤めていて、母親は九州でローカルタレント的なことをやってまして。一般家庭のような空気がなかったからか、迷いはなかったんですよね。そんな中で俳優といて活躍されている山崎銀之丞さんの舞台に魅了され、1年だけじゃなく本格的に芝居をやってみようとなって上京しました。

そんな中でも、ジャッキーに対する思いはずっとあって、高校の時よりもっとオトナになってますから、もっと度合いの強まった“隠れジャッキーファン”にもなってました。でも、心の中で今まで以上にしっかりと種火は燃えているみたいな状況で。ジャンルは全然違っても、お芝居の中で「ジャッキーだったら、ここで、こんな動きをしているな…」とか、そういうアタマの働かせ方をしたり。

ターニングポイント

転機となったのは、2008年、ジャッキー好きの芸人さんがやっていた「トーキングモンキー喋拳」というイベントに出会ったことです。イベントの存在を知った瞬間に「あ、オトナになっても、ジャッキーが好きって言っていいんだ…」と目からうろこと言いますか。実際、そのイベントにもジャッキー役で出してもらったりするようになりまして、そこから「僕はジャッキーが好きです!!」と言うようになったんです。

すると、輪が広がるというか「じゃ、こっちのイベントにも来てください」というオファーもいただくようになっていって。行ったら、またそこでジャッキー好きの輪が広がって次のお仕事をいただく。そんな流れができていったんです。

そうこうしているうちに、15年の年末には日本テレビ系「さんま&SMAP!美女と野獣のクリスマススペシャル」に出していただき、16年元日の日本テレビ系「しゃべくり007 新春SP」にも出演し、そこからグッと知ってもらってメディア的なお仕事も頂戴できるようになりました。まさか40がらみになってから、ずっと好きだったジャッキーのものまねをすることが仕事になるとは夢にも思ってなかったですけど、面白いものだなと…。

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本人と対談

さらに、ありがたいことにというか、昨年、ジャッキーさんが主演された映画のプロモーションでご本人に会うこともできました。香港まで行って、僕がものまねをしながらPRをするという内容だったんですけど、そこにドッキリとしてご本人が登場されまして。まさかですよね。目の前にいきなり…。何が何だか分からなかったです(笑)。

ただね、もうね、とにかく優しいんです!!こっちはいきなりのことで緊張して汗がダラダラ流れてくる。そうしたら、ご本人がダッシュで部屋を飛び出して、別の部屋からわざわざ扇風機を担いで持ってきてくれるんです。そして、これはカメラがまわっていないところだったんで、今となっては何の映像も残ってはいないんですけど、すごく、すごく素敵な笑顔で「若い頃の僕にそっくりだね」と言ってくださったんです。ジャッキーへの思い。子供の頃に似ていると言われた時の複雑な思い。いろいろな思いが一気に救われるというか。この言葉は心の中の宝物です。

思わぬ悩み

この前、ツイッターで「息子がジャッキーちゃんのことが好きで、そこから興味を持ってジャッキー・チェンさんの映画を観に行ってました」という書き込みがあったんです。僕がやりたいこと、一番うれしいことというのはまさにこれなんです。啓蒙というか、こっちを入口にジャッキーを知ってもらう。おこがましい話ながら、そんなことができたらこの上ない喜びです。

ただ、一つ困ったことというか、ご本人にお会いしてから考えていることもありまして…。もともと、ものまねにはちょっとした悪意というか、デフォルメを入れた方が面白いとは思うんです。だけど、僕は元からジャッキーへの思いが強くて、そういったものを入れず、啓蒙ということでやっている。その思いがお会いしてもっと進んだというか、こんな素敵な人のものまねをする時に、冗談でも茶化すようなことはできないとなりまして…。芸の伸びしろとしては微妙なのかもしれませんが(笑)、これからもこの立ち位置で頑張りたいと思います。ミナサン、ヨロシクお願いしますネ!!

■ジャッキーちゃん

1974年10月15日生まれ。福岡県出身。ジャッキー・チェンのものまね芸をする時はジャッキーちゃん、俳優業の時は本名の栄島智(えいしま・さとし)と名前を使い分けている。97年、大学卒業後に一般企業から内定を得ていたが、劇団に入団。99年に上京し、俳優・山崎銀之丞のもとで本格的に役者としての活動をスタートさせる。約10年前からジャッキー・チェンへの思いを語るようになり、ルックスが似ていることから、ものまね芸人としても活動。昨年には映画「スキップ・トレース」のPR活動でジャッキー本人と初めて対談する。今年1月からオフィス北野の所属となる。映画「劇場版ウルトラマンジード つなぐぜ!願い!!」(3月10日公開)にも出演する。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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