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花田優一が語る父・貴乃花親方への思い

中西正男芸能記者
貴乃花親方の長男で、靴職人の花田優一

貴乃花親方の長男で靴職人の花田優一さん(22)。8月から芸能事務所に所属することになり、著書「生粋(ナマイキ)」(主婦と生活社)と「夢でなく、使命で生きる。根拠なき自信で壁を乗り越える68の言葉」(ポプラ社)も発売されました。靴職人でありながら、なぜ、事務所に入ったのか。そして、靴職人という道を選んだ理由となった父への思いをストレートに語りました。

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露出が増えて

最近、メディアのお仕事や囲み取材など、人前でお話をさせていただく機会が増えました。いろいろな方々から「よく、緊張しないね」と言っていただくんですけど、記者さん、レポーターさんに囲まれる環境に慣れているというか、やっぱり自分はだいぶ特殊な環境で育ったんだなと再認識もしています。

というのは、小さな頃から、記者さんらが父の取材でウチの部屋に来られるものの、なかなか父には話が聞けない。そこで、僕をつかまえて話を聞くという場面が日常的にあったんです。いきなり大人に囲まれて話を聞かれるということが頻繁にあったので、そういった状況には異常に慣れているといいますか(笑)。

事務所に所属したワケ

もともと、メディアのお仕事もずっとお断りをしていたんですけど、自分が考える“靴職人としての使命”につながるお話もいただけるようになり、それはしっかりとさせてもらおうと。どういうことかというと、いまだに就職活動して企業に入ることが当たり前という世界観はやっぱり根強いですけど、職人になるという選択肢もあるんだよと。それを子どもたちに訴えていく。本当におこがましい話なんですけど、そんなことをメディアを通じて、発信していけたらなと。

ただ、靴を作るのに1足2週間ほどかかりますし、基本的には靴作りに没頭する日々です。「タレントになったの?」と聞いていただくこともありますけど、靴作りの時間を削っているんではなく、寝る時間を削っているだけなので、あくまでも本業は本業としてやっています。正直な話、囲み取材でお話をするよりも、靴の納品の方が何倍も緊張しますしね(笑)。

それと、実際の話でいうと、メディア的なお仕事のオファーをいただいても、恐縮ながら、お断りすることの方がはるかに多いんです。となると、お話をうかがって、結果、お断りの連絡を入れるという一連の流れをするだけでも自分一人だとかかりきりになってしまう。なので、プロである芸能事務所さんにお願いした方が良いだろうという事情もあったんです。

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父の姿

そもそも、靴職人になった流れにも、もちろん、父親の背中が深くかかわっています。父の姿がまさに僕が憧れた職人像だったんです。そういう空気を吸って育ったので、自分もそうなりたい。誰しも、何か仕事を選ぶ時が来る。それが僕の場合、会社員ではなく職人だったんです。これは、きれいごとでもなんでもなく、スポーツのいろいろなスター選手がいたとしても、あこがれは父しかいなかったんです。僕はその環境で、その家庭で育ってきたので、必然的にそうなったというか。

朝、父がサラッと「行ってくるな」と言って家を出て、命がけの勝負に勝って、帰ってきたら、またサラッと「優一のおかげだからな、ありがとう」と言ってくれる。それを毎日繰り返してきたので…。もう、そこですね。それが一番カッコイイなと。

なので、職人という方向性は早々に定めていて、16歳の時の日記には「靴職人になる」と書いてました。15歳からアメリカ・ボストンに留学して思ったんです。国を問わず、男性も、女性も使う。それが靴だと。靴職人として、世界中の人が使うものに日本人の魂を込めていきたいと。

父からの条件

ボストンに留学する前に、父には「職人になりたいです」と話しました。すると、父からは「学校の成績、教科書があってそれを覚えて点数とれる世界で一番になれないヤツが、教科書のない職人の世界で一番になれるはずがない」と言われました。なので、アメリカに行って、まずは良い成績を取ることが職人になる切符をもらうことだと思い、とにかく勉強しました。アメリカだとトップに入ると学校から表彰されるんですけど、それをずっと続けて「成績は取りました」と。すると、父は「筋を通したな。あとは俺が(景子夫人にも)言っておくから」と。ま、母は職人としての父の苦労を一番近くで見てますから「まずは大学に行ってからでいいんじゃない…?」とも言ってたんですけど、そこは自分の思いを貫かせてもらいました。

でも、18歳でイタリアに渡ったものの、そもそも、靴作りの経験もないところからのスタートだったので、意志を持ってきたものの「とんでもないことを選んだのかもしれない」とは思いました。良い師匠に出会えた幸運はあったものの、知っている人もいないし、靴作りのノウハウも一から。さらに、作品というのは感情を形に落とし込む作業でもあるので、日々、内なる自分との対話というか、人との会話はなく目の前の靴と自分と向き合う時間が続く。となると、不思議なもので、飢えだとか、寂しさだとかが唯一、自分が今「やっているんだ」という手ごたえに感じられてくるんです。光が見えない気分になったこともありますけど、ネガティブな感情があっても、それを糧に、燃料に、最終的にはお客様の喜びにたどり着こうとするのが職人。技術のみならず、全く知らない土地で、そういった心の部分も学びました。

親への思い

親への恩返し。僕にできることがあるとするならば、妹が2人いますので、そこに見せることでしょうね。男同士の父と僕ほど、父のすごみを深く理解しづらいところが妹たちにはある。なので、僕が良い生き方をして、職人として結果を残して「こんな息子を作り上げたのはお父さん。そして、お母さん。2人は本当にすごいんだよ」ということを示せるような人間になる。それしかないと思っています。

そのためには、職人として邁進する。すべての時間を職人としての自分を磨き上げることに使う。なので、趣味とかも、今は何にもない状況なんです。仕事がなくなってしまう恐怖の方が先走ってしまうというか、靴作り以外に時間を費やすと、その分、未来にしわ寄せが来てしまう気がして。

…あ、そんな言い方をすると、今、この取材の時間もそんな気持ちでお受けしているみたいになりますよね。それは、違うんですよ…。思いをお伝えする、とても大切な時間なので。ありがとうございます!

■花田優一(はなだ・ゆういち)

1995年9月27日生まれ。東京都出身。父は元横綱の貴乃花光司、母は元フジテレビアナウンサーの河野景子。中学卒業後に15歳で単身アメリカへ留学。18歳でイタリア・フィレンツェに渡り、3年間の修業生活を経て帰国。今年8月から芸能事務所「Megu Entertainment」とマネジメント契約。また、同年10月からTBSラジオでレギュラー番組「花田優一 First Step」をスタートさせ、番組内で一般女性との結婚も発表した。著書「生粋」と「夢でなく、使命で生きる。根拠なき自信で壁を乗り越える68の言葉」が発売中。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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