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「歌わなかったら、死ぬ」Ms.OOJAを支え続けた覚悟

中西正男芸能記者
”1000年に一人の逸材”と注目のMs.OOJA

オトナの心を激しく揺さぶる“1000年に一人の逸材”と言われるアーティスト・Ms.OOJA(ミス・オオジャ)さん(34)。メジャーデビューまで10年以上の歳月を要した苦労人ですが、ぶれずに、折れずに、今日までたどり着いた根底には「歌わなかったら、死ぬ」とまで言い切る覚悟がありました。

自分の歌で人が泣くんだ

自分の中で「歌手になる」と決めた明確な瞬間があるんです。高校生の時、友達とカラオケボックスに行って「DREAMS COME TRUE」の『三日月』という曲を歌いました。それまでも「歌、うまいよね」とか言ってもらえることは、ありがたい話、あったんですけど、その時一緒にいた友達が私の歌で涙を流してくれたんです。

「…え、自分の歌で人が泣くんだ」ということがすごく衝撃的で。それまでも歌うのは好きだったし、漠然と歌手への憧れもあったんですけど、そこから一歩踏み出す自信をくれたのがその瞬間だったんです。

だから、私にとって、原点を作ってくれた、自分を導いてくれたドリカムのカバーアルバムを出せることになった時、なんとも感慨深かったですし、感謝の気持ちしかありませんでした。ただ、ここに来るまでは、かなり時間がかかりましたけど…。

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ただただ歌って帰る毎日

カラオケで友達が泣いてくれたのが、私が17歳の時。そこからダンスイベントの合間とかに小さなステージで歌わせてもらうようになったんですけど、カラオケボックスとは違って、みんなの視線がある中で歌う。この感覚を味わった時に、さらにしっかりと前に道が広がっていくのを感じました。ここを進んでいくしかないと。

だから、就職も進学もせず、とにかく歌い始めました。でも、具体的にツテやルートがあるわけではないので、地元の三重とか名古屋のクラブで歌う日々。ただ、もちろんギャラなんてありませんし、自分で現地に行って、ただただ歌って帰るという感じでした。当然、それでは生活できませんから、週末はクラブで歌って、平日は百貨店のアパレルのお店でアルバイトをするという毎日。最初は四日市の百貨店でしたが、東海地区の百貨店はほぼ働きましたね。おかげで、「あそこの社員食堂は品ぞろえがいい」とか、いろいろ内部事情も知ることができました(笑)。

アパレル以外にも、喫茶店、携帯電話ショップ、エステ、パチンコ店のワゴン…。10ヵ所くらいで働いて、結局、メジャーデビューまでに10年ちょっとかかりました。どんどん歳もとっていく。他の仕事をするにしても、選択肢が少なくなっていく。このまま歌手を目指していて大丈夫なのか。先はあるのか。出口の見えないトンネルを歩くような不安は常にありました。特に、25歳を過ぎたあたりからはそれが色濃くなっていきました。

「絶対にたどり着く」と信じ続けた

ただ、これが不思議というか、頭では不安は感じているんです。現状を見据える自分もいるんです。でも、心は焦っていないというか、ずっと動じず、決まっているんです。「『歌わない』という選択肢はない」と。「この先、どうなるのかな。大丈夫かな」とは思う。ただ、「歌をやめよう」と思ったことは、一度もありませんでした。

これは、自分でも説明しにくいんですけど、常に「未来の自分はきっとこうなっているはず」という思いを強くイメージしながら、「人より遅いけど、絶対にたどり着く」と信じ続けたんです。現状よりも未来にピントを合わせるというか。冷静に考えると、リスキーとも思えるやり方ですけど(笑)、自分では心底そう思いながらやってきたんです。

その結果、2011年の2月にメジャーデビューすることができました。「もうこれでアルバイトせずに、歌だけに専念できる」といううれしさがこみ上げてきたのを覚えています。というのも、2010年の年末までは思いっきり、アルバイトのシフトに入ってましたからね(笑)。

いつ終わるとも分からないトンネル。結果、そのトンネルを10年歩き続けたんですけど、途中で歩みを止めなかった一番のポイントは「自分は歌うために生きているんだ。歌わなかったら生きている意味がない」という信念だったと思います。乱暴な言い方にもなってしまいますが「歌わなかったら、死ぬ」。本当に、そうだと思っています。

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今は歌う自分しかいない

歌以外に興味がないというか、こういうインタビューの時に「休みの日に何をしてますか?」と言われても、なかなか答えるものがないんですよね(笑)。う~ん、何をしてるかなぁ…。

あ、一つ、ありました!!エキゾチックショートヘアというネコを飼ってるんですけど、自宅ではいつもネコと一緒にいますね。しかも、これ、ちょっと変態的な話になっちゃうんですけど(笑)、ネコのいろんなところのニオイを嗅いでいます。顔面、首の後ろ、お腹、肉球…。これがね、場所によって、全然ニオイが違うんですよ!!顔はマツタケのニオイ、首筋はマフィンのような甘いニオイがするんです。本当に、本当に!!時間の限り、ニオイを嗅いでます。

今のところ、結婚とかの予定も全くないんですけど、結婚したり、子どもができたりすると、また書く曲も変わってくると思いますから、プライベートの部分も、もっと頑張らないといけないんですけどね。ネコのニオイばっかりかいでる場合じゃなく(笑)。ただ、ま、今はとにかくネコちゃんに元気をもらって、力いっぱい歌い続けたいと思います。

■Ms.OOJA(ミス・オオジャ)

1982年10月28日生まれ。三重県四日市市出身。本名は非公表。Ms.OOJAという芸名は「本名を並び替えて作ったもの」という。17歳から歌手を志し、高校卒業後、百貨店のアパレル店員などをしながら、三重、名古屋のクラブで歌手活動を始める。2011年、メジャーデビューを果たす。5月3日には、ドリカムのリスペクト・カバーアルバム『Ms.OOJAの、いちばん泣けるドリカム』をリリースする。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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