小籔千豊、吉本新喜劇改革“コヤブミクス”の真意を語る!

吉本新喜劇座長就任10年目を迎えた小籔千豊さん

 小籔千豊さん(41)が吉本新喜劇の座長に就任し、10年目を迎えました。就任以来最大規模となる東京での新喜劇公演「吉本新喜劇小籔座長東京公演2015」(サンシャイン劇場、8月18~22日)も開催。東京公演など新喜劇発展のために小籔座長が考える“コヤブミクス”について、そして、近い将来に見据えている“引き際”についても語りました。

名古屋より東に知名度がない

 僕が新喜劇に入りたての頃、営業で横浜に行ったんです。その時、吉本興業の社員さんから言われたのが「名古屋から東では、まだ新喜劇が知られていない。パッと分かってもらえるのは、池乃めだかさん、チャーリー浜さん、島木譲二さん、Mr.オクレさんくらい」ということでした。

 そこから時を経て、今、座長という身の丈を超えた仕事もさせてもらうようになった。“長所を伸ばして短所をなくす”というのが組織のリーダーやとしたら、じゃ、新喜劇の短所ってなんやねんと。ま、そら、挙げていったら山ほどあるんですけど(笑)、明らかな短所の1つが、やっぱり“名古屋より東に名がとどろいていない”ということなんです。

 言うたら、日本の半分しか市場がない。将棋で言うたら、将棋盤の右半分さされへんみたいな駒ではよくないと。右半分を開拓するという意味も持って、数年前から東京吉本の所属になったんですけど、その時の目標の1つとして掲げたのが、普段本格的なお芝居をやっているような格式高い東京の劇場で新喜劇を上演するということ。吉本を見る習慣のない方々に見てもらって新規開拓し市場を広げる。これは新喜劇に関わる誰にとっても、マイナスではないですから。

 いくら僕が「新喜劇のために!!」と言ったところで、それは必ずしも、みんなの思いではないわけです。例えば、僕が「新喜劇がこうなってほしい」と思うことの領域があるとしたら、吉本興業にも「新喜劇をこうしていきたい」という領域がある。この2つの円は半分くらいしか重なってないと思います。また、新喜劇の若手にも、ベテランにも、なんばグランド花月のスタッフにも、これから入ってこようと思っている未来の座員にも、そして、今はもう亡くなった新喜劇の先人たちにも、それぞれ思っている円があるんです。それぞれ微妙にズレながらも、中心で1ヵ所だけ全員の円が重なっている部分がある。それが“新喜劇が盛り上がる”ということなんです。これは、誰も嫌がらない。

“コヤブミクス”とは

 そのために僕が考えた“三本の矢”が「東京のテレビで新喜劇という言葉を出す」「東京の劇場で新喜劇公演をする」「僕が売れて、東京の番組に座員をねじ込む」ということやったんです。最初、この“コヤブミクス”を唱えた時、鼻で笑ってた人もいました。それくらい、難しいことでもある。でも、みんなが合意、同意するところに向けて進んでいく、僕なりの方法やと思っています。

 ただ、東京のお客さんに知らしめるなんて気持ちは、まったくないです。“北海道物産展”的に「わざわざ大阪まで来てもらわんでも、本場のイクラとウニを持ってきましたんで、一口だけでも食べてください」といった感じです。それがおいしいかどうかはお客さんにゆだねるしかないですしね。

 それだけ、本当に東京の方は新喜劇をご存じないですからね。それをちょっとだけ前進させるだけ。そうやって、おもしろいと思ってくれた東京の子、埼玉の子、横浜の子が、将来、もし新喜劇に入ってくれて、その子がおもしろくて座長になってくれて、バンバン新喜劇を盛り上げてくれたら、僕はその頃、“こやジイ”と呼ばれて安心して老後を暮らせるわけです。

「座長を辞めたい」の真意は…

 ネットでは、僕が「座長を辞めたい」と言ってる話も出てるみたいなんですけど、実際、プレッシャーは大きいし、そのわりには実入りもない(笑)。そして、これはいかなる組織でもそうですけど、ずっと権力が同じところにあると腐敗の構図が生まれてきますし、ヌルくなってくるんです。

 だから、新喜劇のためにも、さらには、僕が長く新喜劇で飯を食うためにも、僕が長く座長をやらん方が組織としてはいい。野球を見てても、強いチームに対して解説者の人が言うことはいつも一緒なんです。「いい若手が出てきて、ベテランを刺激してますよね」と。ということは、そういうことなんです。僕がいつまでも4番やなくて、5番、6番を打つようになっていって、7番とか2番をさらにベテランの方に担ってもらって引き締めていただく。そんなチームは強いんです。だから、あと2人くらい、すっちーみたいなのが出てきてくれたら、クリーンナップを任せて、僕は一歩引く。その方が新喜劇は盛り上がっていくはずなんです。

 実際、ずっと僕が考えてきたプランやったら、あと1~2年くらいで僕は座長を辞めてるはずやったんです。ただ、不測の事態が起こるのが現実の世界でもあるので、もう少し時間はかかるかもしれませんけど、少なくとも、あと5年で僕は座長から降りていたいなと。自ら降りるというよりも、押し出されたいという形で。

“こやジイ”の生活が理想

 自分が65歳になった時に、“こやジイ”として、後輩たちが盛り上げている新喜劇にちょこっと出て、夕方6時になったら家に帰って家族と飯を食う。そんな生活を僕はゴールとしてますので、それまでに新喜劇という船がひっくり返ってもらったら困るんです。今、新喜劇という船を少しでも大きくしようとしてるのは、頑張れる時にできるだけのことをしておきたいなと。もし仮に変なヤツが乗ってこようが、何か事故が起ころうが、僕が死ぬまで船が進み続ける状態やないと、僕も、小籔家も困るんです。

 そのために、今までいろいろなガマンもし、理不尽も飲み込んできましたから(笑)。もし、来年新喜劇がつぶれるんやったら、すぐにでも“お礼参り”に行かなアカン人が何人もいてます(笑)。すべては新喜劇で65歳まで飯を食うため。それが、ひいては、座員のため、なんばグランド花月のため、吉本興業のため、新喜劇を楽しみにしてくれているちびっ子のためにもなる。だから、船は大きく強くしておかないといけないんです。

「クイズ!ヘキサゴン」的番組をやりたい!

 あと、もし魔法のランプがあって「お前は何が欲しいんだ?」と尋ねられたら、答えは決まっています。すぐさま「フジテレビ『クイズ!ヘキサゴンII』みたいな番組のMCをさせてください!!」と言います。

 お笑いタレント、グラビアアイドル、元プロ野球選手、おバカタレント、そして、新喜劇メンバー。それをごちゃまぜにして3列に並ばせてクイズに答えさせたり、みんなで縄跳びしたり。縄跳びのメンバーが、つるの剛士さん、里田まいさん、「アンガールズ」の2人、元ジャイアンツの元木大介さん、島田一の介兄さん、今別府直之、森田まりこちゃんみたいなことになったらいいなと。そんな中から、新喜劇の若い女の子とメジャーリーガーが結婚したり、一の介兄さん、Mr.オクレさん、池乃めだかさんで「羞恥心」を組ませたりできたら理想的ですね(笑)。

 座長をやらせてもらってる限りは、こういう“成長戦略”も考えないといけませんから。ま、僕がオーナーじゃないのでなかなか思うに任せない部分もありますけど、選手会長をやらせてもらってるうちは、せめていろいろ手を打たないといけない。

 逆に言うと、座長じゃなくなった瞬間、これでもかと私利私欲に走りたいと思います(笑)。

■小籔千豊(こやぶ・かずとよ)

1973年9月11日生まれ。大阪市出身。本名・同じ。大阪NSC12期生。93年、お笑いコンビ「ビリジアン」を結成するも、2001年にコンビ解散。警察官への転職を考えるが、芸人仲間からの慰留を受け、吉本新喜劇に入団する。06年、座長に就任。MBSテレビ「よしもと新喜劇」、フジテレビ「バイキング」「ノンストップ!」、ABCテレビ「ジモイチドライブ 地元の一番でおもてなし」などに出演中。座長就任以来、最大規模となる東京での新喜劇公演「吉本新喜劇小籔座長東京公演2015」(サンシャイン劇場、8月18~22日)を開催。家族は妻と一男一女。

立命館大学卒業後、デイリースポーツ社に入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。2003年、故桂米朝さんにスポーツ紙として異例のインタビューを行う。「上方漫才大賞」など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、株式会社KOZOクリエイターズに所属する。現在、読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」などにレギュラー出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞する。また、CNN、BBC、ニューヨークタイムズなどが使用する記事分析ツール「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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