二階堂ふみが主演を務める『プロミス・シンデレラ』(TBS系にて毎週火曜夜10時〜)が佳境に突入している。

27歳・専業主婦の桂木早梅(二階堂ふみ)は夫・正弘(井之脇海)の浮気が原因で離婚。スーツケース1つで家を飛び出すも置き引きに遭い、あっという間にホームレス状態になってしまう。そんな時、ひょんなことから出会った老舗旅館の次男坊で高校生の片岡壱成(眞栄田郷敦)から、自分が暮らす豪邸に住まわせる代わりに、サイコロの目で行動を強制的に決められる「リアル人生ゲーム」への参加を提案される。

最初はドSで粗暴な壱成に猛反発していた早梅だが、彼が幼い頃に母親から捨てられた過去や、裕福な家庭に生まれたゆえの孤独や葛藤を抱えていることを知り、次第に気持ちが傾いていく。だが、壱成の兄で旅館の副社長を務める成吾(岩田剛典)はなんと早梅の初恋の相手だった。本日放送の第7話では、夏休みを迎えた壱成が早梅が働く旅館でバイトすることになり、さらなる複雑な恋愛模様へと加速する3人の姿が描かれていく。

原作モノ、とりわけコミックをドラマ化する場合、すでにビジュアルと世界観が出来上がっているのでどうしても答え合わせのように比較されがちだ。加えて、現実離れしたミラクルが連続して起こるラブコメにおいて、視聴者がリアリティを感じられるかどうかは、演じる俳優の手腕にかかるところが大きい。

俳優として役を演じる以上、原作のイメージを保ちつつ、血の通った人間としてキャラクターを成立させなければならない。このハイレベルなミッションを彼女は類いまれなる表現力でクリアし、私たちを知らず知らずのうちに作品世界に引き込んでいるのだ。

■二次元と三次元の壁を越え“生命”を与える俳優

二階堂ふみはコミック原作の作品とすこぶる相性が良い。

先日、まさかの続編が発表された映画『翔んで埼玉』(2019年)はもちろん、『ヒミズ』(2012年)、『リバース・エッジ』(2018年)、『生理ちゃん』(2019年)、『ばるぼら』(2020年)、コミックではないがEテレの人形劇『ざわざわ森のがんこちゃん』のスピンオフ『もしもドラマ がんこちゃんは大学生』(2017年)など、これまで多くの作品を説得力あふれる演技で成立させてきた。

そのバイタリティあふれる存在感とコケティッシュな魅力は二次元と三次元の壁を越え、デフォルメ・カリカチュアライズされたコミックの世界観と見事にマッチ。まさに彼女は役に“生命”を与える俳優なのである。

■物事の本質を見抜く慧眼の持ち主

では、素顔の彼女はどんな人物なのか。

何度かインタビューした中で印象に残っているのは、福山雅治が中年パパラッチを演じた映画『SCOOP!』(2016年)に出演した彼女に取材した時のコメントだ。作品のテーマにちなみ、週刊誌の是非やスキャンダルを求める世間の風潮についてさまざまな質問を投げかけたところ、彼女はこのような言葉を残している。

「ネット社会になって誰でも発信できる窓口を持ったことによって、責任者のいない言葉が増えてきているのかなと。発信されたものに誰も責任を負ってないから、それが変な拡散の仕方をして、実際に誰かが死んだりしているわけじゃないですか。そこに関しては週刊誌やネットにかかわらず、普通に生きている人も一回振り返ってみたり、そういうものに自分がどう向き合っていくのか考える機会があってもいいのかなって思いますね」(SPA!臨時増刊『週刊SCOOP!』P.34より)

今から5年も前であるのにも拘らず、昨今のネットをめぐる炎上やエスカレートする誹謗中傷を予見していたかのような発言に、物事の本質を見抜く慧眼の持ち主であることがうかがえる。また、Instagramで犬や猫の繁殖・販売における数値規制案についてコメントするなど、自分の考えを世の中に向けてしっかりと発信。俳優であると同時に、いち社会人として社会と真摯に関わろうとする姿勢を貫いている。そんな彼女の生き方・考え方が役に大きく反映されているのではないか。

■自らの脚で歩んでいくリアルシンデレラストーリー

昨年、コロナ禍という困難な状況の中、朝の連続テレビ小説『エール』で主人公・小山裕一(窪田正孝)の妻・音を演じきり、紅白歌合戦にも紅組の司会として出演。氷川きよしとデュエットを披露するなど、まさに国民的俳優へと飛躍した彼女。もちろんそれだけに留まらず、今後も舞台を問わず素晴らしい演技を見せてくれることは間違いないだろう。

まさにリアルシンデレラストーリーを歩んでいる彼女がこれから先どんな靴を履くのか、そのつぶらな瞳の先にどのような未来を描いているのか、興味は尽きない。