帰省で多くの人が、新幹線を利用する。少しでも節約して帰省したい人も多いだろう。しかし、新幹線の回数券は、以前から年末年始の利用ができず、そして、その回数券そのものが廃止になっている。

 今回は、頻繁に出張する方や、鉄道ファンの方には「当たり前」のことばかりだが、普段、あまり旅行しない方のために、帰省する時に知っておきたい乗車券の5つの知識を簡単に説明しよう。

1、長距離の乗車券は往復で買えば、運賃は1割引き

 JRの切符を買う際に、片道が601キロ以上あれば、往復で購入すると運賃が1割引きになる。

 例えば、東京駅から岡山駅まで行く場合を考えてみる。東京駅から岡山駅までは、片道732.9キロあり、運賃は10,670円だ。もし、行きと帰りに片道切符を二枚購入すると、21,340円になる。

 ところが東京を出発する前に、往復切符を購入すれば、往復割引が適用されるので、19,200円となる。差額は2,140円になる。一人であれば駅弁代くらいになるし、家族が多ければそれなりの金額になるので、忘れないようにしたい。

 ちなみにJR東海やJR西日本のエクスプレス予約を利用する場合には、そのまま購入すると新幹線特急券と乗車券がセットになっているので、予約する際に乗車券なしの「e特急券」を選び、購入する。この場合、新幹線改札口の前の券売機で、特急券だけを発券しなくてはならないので、慣れていない人は少し早めに駅に着いた方が良いだろう。

帰省で新幹線を使う人は多い(画像・筆者撮影)
帰省で新幹線を使う人は多い(画像・筆者撮影)

2、往復乗車券は有効期間も2倍になる

 乗車券には有効期間がある。先の例では、東京駅から岡山駅までなので、片道732.9キロだから5日間になる。往復切符の場合、有効期間は2倍になるので、10日間利用できる。30日に東京を出て、岡山に戻った場合、最長で1月8日まで有効になるので、帰省に充分利用できる。

 また、東京を出て、名古屋や大阪で途中下車しながら、岡山に帰省することも可能だ。ただし、この場合、特急券は途中下車できないので、その都度、購入する必要がある。

 いずれにしても、まずは帰省の日程と乗車券の有効期間が合致しているのか、特に往復乗車券の場合はチェックが不可欠だ。

JR各社のHPより作成
JR各社のHPより作成

3、小旅行を足して、片道を601キロ以上にした方がお得な場合も

 船橋駅から乗車し、東京駅から新大阪駅まで新幹線に乗って、大阪駅で下車する例を考えてみよう。

 通常では、船橋駅から大阪駅までの乗車券を購入するが、601キロ以上ではないので、往復割引の適用外だ。片道乗車券が9,130円なので、往復で18,260円となる。

 東海道新幹線を利用する際に、よく利用されるエクスプレス予約の場合、乗車券は新幹線の駅間だけになるので、船橋駅から東京駅までと、新大阪駅から大阪駅までは別に運賃が必要となる。合計すると片道9,470円。往復で18,940円となる。

 さて、ちょっと足を両方に伸ばして小旅行もすることとして、京葉線の蘇我駅(千葉県)から神戸線の立花駅(兵庫県)までの乗車券を購入すると、610.1キロとなり、往復割引が適用になる。その結果、往復で17,620円となる。乗車できる距離は長くなるが、安くなるのだ。さらに当然ながら、途中下車扱いが適用できるので、例えば大阪駅から立花駅までを別の日に乗車できる。仮に帰省中に三ノ宮駅まで出かける場合、大阪駅から立花駅までの乗車券があるので、立花駅から三ノ宮駅までの運賃310円だけを支払えばよい。大阪駅から三ノ宮駅までは410円なので、往復で200円お得になる。

 頭の体操をしなくてはいけない割に、数百円の節約だが、途中下車して利用する分を足していくと、千円程度を節約することも可能だ。

往復割引と学生割引を併用すると大幅に安くなる(筆者作成)
往復割引と学生割引を併用すると大幅に安くなる(筆者作成)

4、学生はなんといっても学割を使おう

 コロナ禍で旅行や帰省もままならず、大学にも行く機会が少なかったせいか、JR各社の「学割(学生割引)」を知らない学生が思いの外多いようだ。

 JRから指定を受けた中学・高校・大学・専修・各種学校の学生・生徒がJRの路線で片道が100キロメートルを超える区間を乗車する場合、運賃が2割引きになる。

 学割を利用するには、まず学校で学割証を発行してもらう必要がある。この学割証を駅の窓口に持参し、購入時と切符の利用時には学生証を携帯することが条件となっている。自動発券機で発行している大学も増えているが、中学校や高校などでは事務担当に申し込む必要があるので、早めに手続きを行っておく必要がある。

 この学割は、往復割引と併用できる。学割と往復割引を併用すれば、運賃は約3割引きになる。「手続きが面倒」という人もいるが、割引率が高いので中学生以上の子供を連れて帰省する際には、使わない手はない。

5、2時間遅れたら特急料金は払い戻される。混雑していたら、後日でも大丈夫

 クリスマスから日本列島を襲った寒気団によって、各地の鉄道や道路に大きな影響が出ている。一番良いのは、激しい積雪などの影響が予想される場合には、日程の変更などをするべきだが、それぞれの事情があり、そう簡単にはいかないだろう。

 まず知っておきたいのは、到着時刻より2時間以上遅れた場合は、特急・急行料金の全額が払い戻される決まりになっているということだ。

 筆者も経験があるが、2時間以上遅れた時には、心身ともに疲れ果てて、とにかく早く家なりホテルなりに行きたいと思うものだ。「払い戻しがあるのは知っていたが、長い列を見て諦めた」という話を知人たちから聞いたこともある。

 東海道・山陽新幹線にエクスプレス予約で発券せずに、ICカードで乗車した場合は、EX予約専用ICカード等を自動改札機にタッチして出場するだけで、後日、自動的に返金される。

 切符として発券したものを持っている場合には、駅の窓口や精算所で返金手続きを行う必要がある。新幹線が遅れ、混雑する駅で長い列ができているのは、この返金手続きをする人が多いからだ。そのために、諦めて自動改札機に乗車券、特急券を通して、帰宅やホテルに向かう人も少なくないのだ。

 しかし、慌てる必要はない。当日の駅窓口が混雑している時には、改札口の係員に申し出て、「払戻証明」をもらい、切符はそのまま持ち帰る。こうしておけば、証明を受けた日から1年以内に、証明を受けた切符をJR東海かJR西日本の窓口または精算所へ持って行けば、払い戻しを受けられるのだ。大切なのは、証拠となる遅れた列車の特急券を持ち帰ることだ。

2018年5月24日に信号トラブルから大幅な遅れが発生し、混乱する未明の新大阪駅。疲れ果てて、払い戻し手続きを諦めて帰宅する人も少なくなかった。(2018年5月25日午前3時40分頃・撮影筆者)
2018年5月24日に信号トラブルから大幅な遅れが発生し、混乱する未明の新大阪駅。疲れ果てて、払い戻し手続きを諦めて帰宅する人も少なくなかった。(2018年5月25日午前3時40分頃・撮影筆者)

・知っておいて損はない

 詳しい人たちからすれば、当たり前のことだし、もっといろいろな節約方法があるよと思われるだろう。しかし、この時期、普段、あまり旅行などしない人たちも多く、新幹線や特急を利用して移動する。

 2年ぶりの帰省と言う人も多いだろう。ちょっと頭の体操をして、運賃を節約して、お土産や食事代を捻出するのも悪いことではないだろう。ぜひ、活用してほしい。

【参考】

「乗車券の有効期間」(JR東日本HP)

「割引乗車券」(JR東日本HP)

「新幹線の運休、または2時間以上の遅延」(JR東海HP)

※運賃計算は2021年12月27日現在で行った。