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「吉田の軽率さが…」 日本敗戦に伊メディア 「前半はW杯ワースト」「退屈に支配された」

中村大晃カルチョ・ライター
2022年11月27日、カタールW杯コスタリカ戦での吉田麻也(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

ジャイアントキリングが相次いだ大会なら、巨人でもない者が一発に沈んでも不思議ではない。

カタール・ワールドカップ(W杯)のグループE第2節、日本はコスタリカに0-1と敗れた。5バックで守りを固めた相手を攻めあぐみ、81分にケイセル・フレールの決勝点を献上。勝てばベスト16進出決定もあるなかで、手痛い黒星を喫している。

シュートは日本が14本放つも、枠内に飛んだのは3本だった。一方、コスタリカは4本のシュートのうち、唯一の枠内シュートで得点を挙げている。我慢比べのような展開で進んだ試合だけに、第三者からすれば印象に残りづらい。

イタリア紙『Gazzetta dello Sport』は、試合レポートで「前半はW杯で最も退屈だった。あまりに退屈で主審がアディショナルタイムを1分しか与えなかったほどだ」と報じた。『Sport Mediaset』も「前半はおそらく今大会のW杯ワースト」と伝えている。

「両軍とも枠内シュートなしというネガティブな記録が、興奮のなかった前半を最もよく表している」

後半は1点が欲しい日本が打開を図り、前半よりは動きがあった。それでも、『Sport Mediaset』は「興奮のなさと退屈さに支配された一戦」と評し、『Sky Sport』も「この上なく興奮が少なかった試合」と、全体的に面白味がなかったと評している。

その中で唯一生まれたゴールは、吉田麻也がクリアしたボールを奪われたところから決められた。この場面を、『Gazzetta dello Sport』は「ヨシダの軽率さ」と表現。『TUTTOmercatoWEB』は、採点記事で「ヨシダが決定的なミス」と報じた。「コスタリカの得点まで完璧だったが、あのアウトサイドだ。あまりにごう慢な行為が日本にとってこの上なく高い代償となった」と、5点をつけている。

だが、いずれにしても、ドイツ撃破で世界の驚きを誘ったばかりだけに、スペインに7失点して大敗していたコスタリカ相手の黒星は、違う意味での驚きにもなったようだ。

『Opta』によれば、コスタリカがW杯で勝ったのは、2014年ブラジル大会のグループステージ第2節イタリア戦(1-0)以来、じつに3082日ぶりという。

『Gazzetta dello Sport』紙は「今大会のW杯では時に潮目のように状況が変わる。戦艦ドイツに勝った日本が、ベスト16に向けた散歩のはずだった一戦で倒された」と報道。「これで日本が勝ち上がるのは厳しくなる」「日いずる国はもう落ちたのか?」と、日本にとって悲観的な論調だ。

だが、刻一刻と状況が変わるなら、最も重要なのは、この敗戦を引きずらずに流れを再び引き寄せることだ。日本はグループステージ最終節で、再び巨人に挑む。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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