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リッピ、カペッロ、ヴィエリ、カッサーノ…識者らがセリエA優勝予想、一番人気はインテル?

中村大晃カルチョ・ライター
9月26日、セリエAフィオレンティーナ戦でのルカク(写真:ロイター/アフロ)

新型コロナウイルスの影響が大きい異例のシーズンで、長年にわたるユヴェントスの覇権に終止符が打たれるのか。セリエAの優勝争いは、近年にない盛り上がりになるとみられている。

『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙は11月20日、レジェンドたちへのアンケート結果を発表した。一面で「カルチョはインテルに投票」と、一番人気がアントニオ・コンテ監督のチームだと報じている。

同紙でアンケートに回答したのは、以下の11名。いずれも近年のイタリアサッカー界において欠かせない「顔」だった人物だ。

  • マルチェッロ・リッピ
  • ファビオ・カペッロ
  • クリスティアン・ヴィエリ
  • アントニオ・カッサーノ
  • ジュゼッペ・ベルゴミ
  • マルコ・タルデッリ
  • チーロ・フェラーラ
  • デメトリオ・アルベルティーニ
  • ジュゼッペ・ジャンニーニ
  • マッシモ・マウロ
  • ジョヴァンニ・ブランキーニ(代理人)

『ガゼッタ・デッロ・スポルト』は、アンケートの結果、インテルに投じたのが5名、ユヴェントスが4名、ナポリとローマが1名ずつと伝えた。

インテルは現在7位につけ、コンテに対する批判の声もある。だが、順位表が示すように、上位の勝ち点差は大きくない。ヴィエリは「(コロナ禍で)これほど不思議で変わりやすいリーグ戦の7節終了時で順位表を見るのはまったく無意味」と指摘している。

Lega Serie A公式サイトより
Lega Serie A公式サイトより

いずれにしても、“一番人気”はインテルとなったが、各回答を見ると、明言を避けたものもあった。

例えば、リッピやアルベルティーニはユヴェントス、カッサーノやベルゴミ、ブランキーニはインテルと明確に回答している。フランチェスコ・トッティの前にローマの「王子」と愛されたジャンニーニは、古巣に票を入れた。

だが、カペッロは開幕時の予想がインテルで、現在は候補が増えたと回答している。ヴィエリは「最強はまだユーヴェ」としつつ、9連覇している王者に対し、インテルがよりハングリーかもしれないという予想だった。

タルデッリはユーヴェを推しながらも、コロナ禍で「どこが勝ってもおかしくない」と答えている。マウロも「ジョルジョ・キエッリーニ、レオナルド・ボヌッチ、クリスティアーノ・ロナウドが試合の90%に出場できるならユヴェントス」と条件つきだ。

フェラーラにいたっては、「厳密な順番なしに、ユヴェントス、インテル、ナポリ」という回答。ユーヴェが候補としたうえで、インテルとナポリを評価する答え方をしているが、おそらく『ガゼッタ・デッロ・スポルト』によるナポリの1票は、このフェラーラをカウントしたものと思われる。

なお、ナポリを評価する声は多い。ナポリ、アタランタ、サッスオーロ、ローマから「アウトサイダー」になるチームを選ぶ質問に、ヴィエリ、ベルゴミ、アルベルティーニ、ブランキーニなど、「ナポリはアウトサイダーではない」という答えが相次いだ。

リッピやジャンニーニは(他クラブと並んでではあるが)ナポリを選択。タルデッリも、アウトサイダーかどうかは別にして、4チームの中で最も強いのはナポリと答えた。

『ガゼッタ・デッロ・スポルト』は、質問の回答をナポリに5票、アタランタに3票、ローマに2票、サッスオーロに1票とまとめている。

一方で、現在首位に立つミランに関する質問は、「最後までもつか?」だった。ステーファノ・ピオーリ監督とズラタン・イブラヒモビッチがけん引するミランは、当初の下馬評を覆して無敗の首位と好発進した。だが、優勝を狙えるだけの戦力ではないとの見方も少なくない。

『ガゼッタ・デッロ・スポルト』の集計は、YESが8票でNOが3票。ただ、こちらも注釈が必要だ。

リッピ、カペッロ、ベルゴミ、タルデッリ、アルベルティーニ、ブランキーニはYESで、カッサーノ、フェラーラ、ジャンニーニはNOだった。ヴィエリは回答が難しいとし、1試合ずつ戦うことの重要性を述べるにとどまっている。マウロは「スクデットは難しく、チャンピオンズリーグ出場権なら話が変わる」という回答。おそらく「上位で最後までもつ」という見方で、YESにカウントされたのではないか。

結局、一面に「カルチョはインテルに投票」との見出しをつけるには、やや微妙な回答結果だったと言わざるを得ない。明言するのが難しいのは当然だが、あいまいな回答を「インテル寄り」「ユーヴェ寄り」などとした集計では、真の意味で“一番人気”とは言いがたいだろう。

ただ、確かなのは、両チームがやや低調な出だしとなったにもかかわらず、インテルとユヴェントスが群を抜く優勝候補という開幕からの見方は変わっていないということだ。

ミラン、ナポリ、ローマといった「2番手集団の強豪」や、サプライズ候補のサッスオーロに、現時点では前を走られているインテルとユーヴェは、これから巻き返していけるだろうか。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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