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吉田麻也の評価は正当か? 「セリエAで最も過小評価されているベスト10」に選出の記者も

中村大晃カルチョ・ライター
10月2日、セリエAフィオレンティーナ戦での吉田麻也。ここから5戦連続フル出場(写真:Maurizio Borsari/アフロ)

11月5日で22歳になった冨安健洋の評価は右肩上がりだ。夏に名門ミランが獲得に動いた日本代表DFは、本職のセンターバックに戻った今季も、守備の国イタリアで研鑽を積んでいる。

ただ、セリエAで戦うもうひとりの日本人センターバック、サンプドリアの吉田麻也も奮闘中だ。

昨季途中に加入し、ロックダウン以降にレギュラーの座をつかんだ吉田は、契約を延長して臨んだ今季、開幕から2試合ベンチスタートとなった。ユヴェントスとの開幕戦では後半から出場。第2節のベネヴェント戦は出場機会がなかった。

だが、フィオレンティーナとの第3節からは全試合で先発フル出場。強豪ラツィオやアタランタを下し、ジェノアとのダービーも引き分けと、4試合無敗を保ったサンプドリアの最終ラインで、クラウディオ・ラニエリ監督からの信頼が確かであることを示した

移籍市場の人気銘柄となった冨安ほど、イタリアの主要メディアで取り上げられることはない吉田だが、少なくとも『Calciomercato.com』のフリオ・ザーラ記者は高く評価している。

11月3日、同記者は「セリエAで最も過小評価されているベスト10」と題し、活躍が見過ごされている好選手たちを紹介。この中で、吉田もピックアップしている。

ザーラ記者は「ラニエリのサンプドリアでは、多くの小さなスターたちが輝いている。だが、日本人のマヤ・ヨシダについてはあまり話題になっていない」と記した。

「サプライズではない(長年プレミアリーグでプレーした選手だ)。だが、代表で100キャップ超の32歳ベテランDFは、4試合連続でスタメン出場している。サンプドリアが負けなかったのが、ピッチに彼がいないときだけだったのは偶然だろうか?」

なお、ザーラ記者による「最も過小評価されている10人」のその他9選手は、以下のとおりだ。

  • イスマエル・ベナセル(ミラン/MF)
  • ペドロ・ロドリゲス(ローマ/FW)
  • ジョルダン・ヴェレトゥ(ローマ/MF)
  • ロベルト・ソリアーノ(ボローニャ/MF)
  • ヴラド・キリケシュ(サッスオーロ/DF)
  • ティエムエ・バカヨコ(ナポリ/MF)
  • ルスラン・マリノフスキ(アタランタ/MF)
  • パスクアーレ・スキアッタレッラ(ベネヴェント/MF)
  • マルコ・シルヴェストリ(エラス・ヴェローナ/GK)

11月3日時点での評価とあり、週末に開催された第7節の出来で、このリストにも変化があったかもしれない。カリアリ戦で5試合連続フル出場を果たした吉田だが、サンプドリアは0-2で敗れた。“不敗神話”はすでに終わっている

カリアリ戦で吉田は失点に絡んだ。採点は各メディアとも及第点を下回っている。追加点を挙げたナイタン・ナンデスに後方のスペースを突かれただけに、スピード不足を指摘する声もあった。

一方で、前半のパフォーマンスに一定の評価を下したメディアもある。チームは前半終盤に退場者を出し、後半を通じて数的不利だった。

そのひとつ、サンプドリア専門サイト『sampnews24』は、試合翌日も吉田がフィードやインターセプトを各7回記録したと紹介。「もはや不動の地位」「守備を統率できる、信頼できる選手だと示した」と賛辞を寄せた。

敗戦と失点に絡んだことで批判と低評価は不可避だが、守備陣のリーダーとしてある程度の評価を確実にしているとも言える。

いずれにしても、カルチョの世界は「勝てば天国、負ければ地獄」。手のひら返しのように採点や評価が移ろいやすいのは周知のとおりだ。

今後、ザーラ記者がリストをアップデートすることがあったら、そのときは吉田の名前がなくなっていてほしい。チームへの貢献と活躍を続けることで、正当に実力が評価されるようになるのを願うばかりだ。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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