エリクセンと奏でる楽譜は見つかるか? 首位陥落インテル、求められるプランB

2月12日、ナポリとのコッパ・イタリア準決勝第1戦で途中出場したエリクセン(写真:ロイター/アフロ)

言うは易く行うは難し――それは誰もが分かっている。それでも、インテルのアントニオ・コンテ監督は、クリスティアン・エリクセン活用の術を見出すことを求められている。

2月16日のセリエA第24節で、インテルはラツィオに1-2と逆転負けした。直接対決に敗れ、今季初めて3位に転落。首位の座を失い、ユヴェントスとの勝ち点差は3ポイントに開いた

◆垣間見える限界

インテルはナポリとのコッパ・イタリア準決勝ファーストレグでも0-1と敗れている。ここまで高評価だったが、シーズンの肝となる時期に10月以来となる公式戦連敗を喫し、随所に限界を指摘する声が出てきた。

例えば、先行しても逃げ切れなくなっている点だ。16勝のうち11勝は、先制して逃げ切っての勝利だった。だが、『スカイ・スポーツ』が指摘したように、年明け以降は4試合でリードしてから勝ち点を落としている(今季通算で6試合、公式戦で8試合)。

クリーンシートの数も無関係ではない。2019年は公式戦23試合のうち8試合で無失点だったが、2020年になって10試合でクリーンシートは1試合のみ。守護神サミル・ハンダノビッチの負傷というアクシデントがあったが、リーグ最少失点の座をラツィオに明け渡したことは変わらない。

上位5チームとの5試合で1勝しか挙げていないとの指摘もある。ダービーで連勝し、ナポリにも敵地で勝利したが、チャンピオンズリーグ(CL)でもバルセロナ戦やボルシア・ドルトムント戦など、ここぞという試合を落としてきた。

エースのロメル・ルカクがトップ5との対戦で無得点なのも不安要素だ。ダービーの2試合やナポリ戦、CL最後の2試合でゴールを決めており、大舞台に弱いとは断じられない。ただ、リーグ3位の17得点をマークしているだけに、上位勢との試合でノーゴールなのは物足りないだろう。

そのルカクとラウタロ・マルティネスのコンビが、今季のインテルをけん引してきたのは周知のとおりだ。だが、一緒にプレーした公式戦の直近3試合では無得点に終わっている。今季最長だ。これも「危機」と言うほどではないが、出ずっぱりだった2人だけに停滞期があってもおかしくない。

◆最大の課題は代案探し

そこで求められるのが、プランBである。そして、まさにその点こそ、最大の限界だ。3-5-2のフォーメーション、堅固な守備、司令塔マルセロ・ブロゾビッチ、公式戦でチームの得点の57%をたたき出してきた2トップ…これらの武器の代わりとなる案が、インテルにはない

もちろん、クラブもコンテも分かっており、だからこそ冬にエリクセンを獲得した。だが、そのデンマーク代表が力を発揮する場を手にできていない。

加入から公式戦5試合でスタメンに名を連ねたのは1回のみ。トータルのプレー時間は137分にとどまっている。ダービーでは後半72分、ラツィオ戦では同77分からの投入だった。ビッグマッチでプレー時間が20分に満たないのだから、ここまでは期待に見合っていると言い難い。

エリクセン起用をうながす声は少なくない。マリオ・スコンチェルティ記者は『Calciomercato.com』で「そこらのMFのように扱っている」と批判。『ガゼッタ・デッロ・スポルト』のルイジ・ガルランド記者は、「時間と忍耐が必要」としつつ、エリクセン起用こそ「すでにコンテにできること」だと主張した。

マッシモ・マウロは『レプッブリカ』で「先発で起用すべきだ。もちろん、組み込んでいくためには、コンテが戦術的に何かを変えなければいけない。だが、その必要があると思う」と記している。

◆最適解は見つかるか

ただ、その変更が難しい。『ガゼッタ』のヴァレーリオ・クラーリ記者は「インサイドハーフなら彼は新たな動きとポジションを吸収しなければいけない。トップ下ならチームのほうが新たな楽譜を学ばなければならない」と綴っている。

OBのジュゼッペ・ベルゴミのように、3-5-2にエリクセンの居場所はないとの見方もある。選手のクオリティーに疑いの余地はない。だが、シーズン途中の加入で最適解を見つけるのが容易でないのは明らかだ。

コンテは「ひとりの選手がチームを変えるなど考えられない」と述べた。エリクセンだけのために、チームが奏でる楽譜を書き換えることはできないということだ。それでも、『ガゼッタ』のヴィンチェンツォ・ダンジェロ記者は「当初の楽譜はもう知られている」と、周囲を驚かせる必要ありと訴えた。

19日のルドゴレツとのヨーロッパリーグ決勝トーナメント1回戦ファーストレグは、そのための機会となるだろうか。エリクセンは先発出場と予想されている。

コンテは新たな楽譜を用意できるのか。できた場合、それをインテルは見事に奏でられるだろうか。