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インテル、ダービー勝利で8年ぶり戴冠への期待も OB含む30名の識者はどうみる?

中村大晃カルチョ・ライター
15日のミラノダービーで勝利したインテルのメンバー(写真:ロイター/アフロ)

現地時間10月15日のセリエA第8節、インテルはミランとのミラノダービーを3-2と制した。開幕から8戦無敗で単独2位に浮上し、ルチアーノ・スパレッティ監督率いるチームの評価は高まっている。ついに、2009-10シーズン以来のスクデット(優勝)を期待する声も上がってきた。

第5節のボローニャ戦(1-1のドロー)を除き、7試合で白星を手にしたインテル。開幕から8試合で勝ち点22は、2002-03シーズン以来15年ぶりとなる好スタートという。特に、ダービーでハットトリックを記録したエースの主将マウロ・イカルディは、8試合9ゴールで得点ランク3位と好調だ。

攻撃以上に評価されるのが、ナポリやローマと並んでリーグ最少タイの5失点に抑えている守備陣。6連覇中の王者マッシミリアーノ・アッレグリ監督が「リーグを制すのは守備が最強のチーム」と口にするように、守備の国イタリアにおいてディフェンスの強さは大きなアドバンテージとなる。

だが、インテルはロベルト・マンチーニ元監督が率いた2015-16シーズンも堅固な守備を武器に前半戦を首位で折り返しながら、後半戦に失速。優勝どころかチャンピオンズリーグ(CL)出場権も得られなかった過去がある。

今季のインテルは、長いシーズンを乗り切ることができるのか。そして王者ユーヴェや、対抗馬で現在首位に立つナポリを上回ることができるのか。17日付のイタリア『コッリエレ・デッロ・スポルト』が、インテルOBやカルチョをよく知る指揮官たちを対象としたアンケートの結果を報じた。

調査に応じたのは、20名のインテルOBと10名の指揮官。OBのうち、インテルが優勝に値すると回答したのは11名。「ノー」が6名、保留が3名だった。

2017年10月17日付コッリエレ・デッロ・スポルト紙参照、筆者作成
2017年10月17日付コッリエレ・デッロ・スポルト紙参照、筆者作成

一方、指揮官では5名が「イエス」、4名が「ノー」と回答している(保留が1名)。

2017年10月17日付コッリエレ・デッロ・スポルト紙参照、筆者作成
2017年10月17日付コッリエレ・デッロ・スポルト紙参照、筆者作成

以下、全30名の識者の見解を紹介する。

◆イエス回答のインテルOB

イバン・コルドバ

スクデットを狙うべき。欧州カップ戦がなく、最後までトライするすべてがある

サンドロ・マッツォーラ

スパレッティが与えた勝者のメンタリティーがあり、攻撃陣にイカルディがいれば不可能はない

アレッサンドロ・アルトベッリ

ユーヴェやナポリと互角に競える。ただし7位から1位への飛躍は至難の業

セバスティアン・フレイ

ユーヴェはもはや無敵ではなく、ナポリは落ちるだろう。スパレッティにイカルディという2人のリーダーがいればやれる

フルヴィオ・コッロヴァーティ

個のクオリティーがあり、ソリッドなチームで、非常に優秀な指揮官

ファビオ・ガランテ

競争力がある。スパレッティがいてカップ戦がないから、ユーヴェ、ナポリ、ローマと渡り合える

マルコ・マテラッツィ

ゴールの獣であるイカルディがおり、たくましいチームで、とても刺激を感じている有能な指揮官がいる

ジュゼッペ・バレージ

失点が少なく、とても組織されている。前線には決定的になれるアタッカーたちがいる

アンドレア・マンドルリーニ

イエスだと願う。ここまではうまくやり、チームには気迫がある。過去と比べてすべてが変わった

カルロ・ムラーロ

結果を出しているからイエス。ソリッドで自分たちの力を自覚していて、少しの運もある

ジャンルカ・パリュウカ

ユーヴェとナポリにはさらなる何かがある。だがスパレッティがサン・パオロで勝てれば…

◆ノー回答のインテルOB

アルド・セレーナ

ナポリとユーヴェはより完成されている。インテンシティーと攻撃のバリエーションを見つける必要あり

ダニエレ・アダーニ

彼らのスクデットは3位の座だ。ユヴェントスとナポリはより完全で、より戦力がある

リッカルド・フェッリ

まだ一部の試合をコントロールするだけの組織力がない。スパレッティ就任で大きく前進はした

エヴァリスト・ベッカロッシ

現実的に目標はCL出場。スパレッティは素晴らしい仕事をした

マリオ・コルソ

スパレッティは優秀だがチームはナポリやユーヴェに劣る。CLに出よう

ジュゼッペ・ベルゴミ

ナポリとユーヴェにはさらなる何かがある。インテルには歩みを変える中盤の一人が足りない

◆保留のインテルOB

ディエゴ・ミリート

まだ早すぎる。ダービーは大きな気迫をもたらす。ユーヴェやナポリと競ってほしい

フランチェスコ・モリエーロ

ナポリとユーヴェが先にいると言ったスパレッティは正しい分析。だがインテルもまとまっている

クリスティアン・キヴ

まだ早い。とにかくインテルには素晴らしい指揮官がおり、トップレベルのプレーでなくてもいくつかの試合で勝ってきた

◆イエス回答の指揮官

デリオ・ロッシ

経験豊富な指揮官がおり、欧州カップ戦がないのは大きなアドバンテージ

ジュゼッペ・イアキーニ

ミッドウィークに力をマネジメントできる。スパレッティのことは知っているが、彼はすでに選手たちの心と頭をつかんでいる

エミリアーノ・モンドニコ

単独で全員と戦っている。今年は正しい一年になるかも。ギャンブルが現実になる可能性

アルフレード・アリエッティ

さらなる飢えがある。近年の低迷から、周囲の環境が頂点に立つことを欲する可能性

アルベルト・カヴァジン

組織があり、時間をかけてつくられ、強い。今年はカップ戦もない

◆ノー回答の指揮官

チェーザレ・プランデッリ

インテルはスクデットに値するチームではない。だが、スパレッティがいれば競える

ダヴィデ・バッラルディーニ

素晴らしい選手たちと優秀な指揮官がいる。カップ戦がなくて競争力がある。だがスクデットを狙うチームじゃない

エウジェニオ・ファシェッティ

すでに最大限。1月のマーケット次第。スパレッティはこれ以上できない

ディノ・ゾフ

今の候補はほかのチームたち。ダービーはドローでもおかしくなかった。人目を引くようなところはなかった

◆保留の指揮官

ネド・ソネッティ

素晴らしい印象を抱いている。チームと監督はちゃんとしており、ナポリ戦後にもっとわかるだろう

インテルは次節、勝ち点2差の首位ナポリと敵地サン・パオロで対戦する。直接対決で勝てば単独首位浮上だ。今季のインテルに優勝するだけの力があるかどうか、次節がひとつの指標となるかもしれない。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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