監督や補強の候補は? イタリア紙が伝える新生チャイナ・ミランの展望

31年率いたミランを手放すベルルスコーニ氏。写真は3月(写真:ロイター/アフロ)

本田圭佑所属のミランが31年の歴史に幕を下ろす。繰り返し延期されてきたクラブ売却が、現地時間13日に完了する見込みだ。新たに生まれる「チャイナ・ミラン」の展望を、13日付のイタリア『コッリエレ・デッロ・スポルト』紙が伝えた。

夏に合意に至ったにもかかわらず、昨年12月と今年3月の2度にわたって株式売却取引の完了(クロージング)が延期となったミランの買収劇が、いよいよ最終章を迎えた。3月の延期のときと違い、イタリアの各メディアも13日のクロージングは確実と報じている。1986年にミランのオーナーとなったシルヴィオ・ベルルスコーニの時代が終わるのだ。

近年の経営難や混迷を批判される一方で、イタリアのみならず世界のサッカー界における功績をたたえる声も多いベルルスコーニ。一時代を築いたイタリアの元首相は、名誉会長就任のオファーを蹴り、ミランから完全に去る意向と言われている。

◆クラブの新体制

『コッリエレ』によれば、その理由は「新オーナーとの共存が不可能ということもあり、身を引くほうを望んでいる」からという。また、長年にわたって一緒にミランをつくり上げてきたアドリアーノ・ガッリアーニ現CEOを右腕にできないため、影響力の低下が避けられないことも一因のようだ。

実際にベルルスコーニが名誉会長に就任せず、身を引くかどうかは、ふたを開けてみなければわからない。だがその場合、新たに会長となるのは、先頭に立って買収に動いてきたヨンホン・リーだ。ちなみに、ガッリアーニはフィニンヴェスト・グループの不動産事業会社に携わるという。

◆指揮官と補強候補

新たにミランを引っ張っていくのは、新CEO候補のマルコ・ファッソーネと新SD候補のマッシミリアーノ・ミラベッリだ。『コッリエレ』は、元インテルの肩書を持つ両者との関係が深いロベルト・マンチーニが新監督候補のひとりと伝えている。ただし、ヴィンチェンツォ・モンテッラ現監督の続投も十分にあり得るとのこと。『コッリエレ』は、マンチーニとモンテッラの可能性が45%ずつとした。

一方、目玉補強に挙がったのは、チェルシーのスペイン代表セスク・ファブレガスだった。また、新生ミラン最初の補強候補には、以前からミランベッリSDが狙っているシャルケのボスニア・ヘルツェゴビナ代表セアド・コラシナツの名前が挙げられている。

◆現主力の慰留や新たなクラブの「顔」も懸念事項

新体制に求められるのは、熱気を生む大型補強だけではない。現チームを支える主力の流出を防ぐことも最重要課題のひとつだ。

特に、18歳の守護神ジャンルイジ・ドンナルンマと、今季のミランを躍進させた原動力であるスソの慰留は絶対となる。現行契約は前者が2018年、後者が2019年まで。両選手の代理人は、見合うだけの高額サラリーはもちろんのこと、チャンピオンズリーグを戦えるような強いミランになることを求めている。近年の結果を考えれば、容易なタスクではないだろう。

もうひとつ気になるのは、クラブの「顔」となれる存在だ。新体制は昨年秋、レジェンドのパオロ・マルディーニを技術部門のトップとして入閣させようと試みたが、決定権がないとの理由で断られた。『コッリエレ』は、現在も国外でアンバサダーを務めているフランコ・バレージは起用できるとしつつ、「カリスマの存在が役立つのは確か」とも指摘した。

◆デビューは注目度抜群の舞台

もちろん、『コッリエレ』が報じるとおりの展開になるかどうかは分からない。これまでの経緯から、新体制に懐疑的な見方が少なくないことも確かだ。新生ミランはできるだけ早く関係者とサポーターの信頼をつかむ必要がある。そのうえで、「デビュー」は極めて重要だ。

ミランは15日に同じく中国資本のインテルとのダービーに臨む。アジアを見据え、キックオフは現地時間12時30分(日本時間19時30分)。地元では不満や抗議の声も上がったが、リーグ発表によると、おかげで世界的にミラノダービーの視聴者数は増える見込みという。アジア太平洋だけで11の放送局により5億6600万世帯が視聴し、全世界では39の放送局により8億6200万世帯がミラノダービーを観戦する見通しとのことだ。スタジアムも、チケットが完売になる予定という。

加えて、インテルとミランはヨーロッパリーグ出場権を競っており、今回のミラノダービーはともに落とせない真剣勝負。注目度は抜群だ。当然、この一戦におけるパフォーマンスと結果は、新生ミランの印象にも大きな影響を及ぼす。新生ミランにとっては、この上なく大切な第一歩となる。