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セリエ最強のオールラウンダー? 時速99.21キロ弾のナインゴランに続々と賛辞

中村大晃カルチョ・ライター
セリエAで4戦連続ゴール中のナインゴラン(写真:ロイター/アフロ)

ローマのラジャ・ナインゴランが絶好調だ。攻守両面にわたる好パフォーマンスに、イタリア最強の選手との賛辞も寄せられている。

◆インテル戦で時速99.21キロ弾を含む2発

2月26日のセリエA第26節、インテル対ローマの一戦は、3-1でアウェーのローマが制した。判定への不満をあらわにしたインテルとそのサポーターも、2得点を挙げたナインゴランには脱帽するしかなかっただろう。

ナインゴランは12分、インテルが誇る22歳の逸材ロベルト・ガリアルディーニを振り切り、左45度の位置から右足で華麗に先制点を奪うと、56分には自陣でボールを持つとカウンターを発動。そのままドリブルで攻め上がり、ミサイルのように強烈なシュートを突き刺した。

イタリア『ガゼッタ・デッロ・スポルト』によると、2点目のシュートは時速99.21キロだったという。また、ローマの選手がペナルティーエリアの外からドッピエッタ(2得点)を記録したのは、2005年12月以来、約11年ぶりのこと。ミラノでのドッピエッタも、2013年10月以来のことだ。いずれも、前回記録したのは、ローマの英雄フランチェスコ・トッティである。

◆バスケなら50得点、20リバウンド

ナインゴランはこれで4試合連続の5得点。2月はセリエAの全試合でネットを揺らしている。今季は通算9得点(公式戦では12得点)と、得点王を争っているエディン・ジェコ(19得点)に続き、モハメド・サラーと並ぶチーム2位のゴール数。リーグ全体を見ても、FW以外では10得点のマレク・ハムシク、フェデリコ・ベルナルデスキに次ぐ数字だ。

昨年1月に就任したルチアーノ・スパレッティ監督の下でポジションを変えてから、ナインゴランの得点力は飛躍的に高まっている。実際、この1年強でのリーグ戦での得点数(15)は、2010年1月のセリエAデビューからの6年間における得点数(14)を上回っているのだ。

一方で、闘志を前面に打ち出しての激しい守備も健在。『コッリエレ・デッロ・スポルト』は、インテル戦でドッピエッタ以外にボール奪取11回を記録したナインゴランを、「バスケットボールなら50得点、20リバウンドのようなもの」と絶賛した。

◆多くの名選手と比較されるオールラウンダー

『スカイ・スポーツ』は、ナインゴランのさまざまな長所をほかの名選手たちと比較している。

「アグレッシブさ」はエドガー・ダービッツ、「スペースへの飛び出し能力」はローター・マテウス、「シュート」はフランク・ランパード、「走り」はジェンナーロ・ガットゥーゾ、「ユーティリティ-性」はアルトゥーロ・ビダル、「継続性」はスティーブン・ジェラード、「テクニック」はポール・スコールズ、「フィジカル」はエンゴロ・カンテだ。

賛否両論はあるだろうが、いずれもナインゴランのレベルの高さをうかがわせる比較と言える。なお『スカイ』は、「スライディングでのボール奪取」は誰とも比較できないとし、「ナインゴランのトレードマーク」と評した。

◆3つの大会でタイトルを目指す「セリエ最強の選手」

これほど絶賛されているナインゴランだが、ロベルト・マルティネス監督との折り合いが悪く、最近はベルギー代表から遠ざかっている。しかし、イタリアではその選択を疑問視する声が多い。『ガゼッタ』のルイジ・ガルランド記者が「セリエ最強の選手」と評すなど、圧倒的な活躍を見せている今のナインゴランを考えれば、それも当然かもしれない。

セリエAで首位ユヴェントスを追い、ヨーロッパリーグでベスト16に進出したローマは、1日のコッパ・イタリア準決勝ファーストレグでラツィオとのダービーに臨む。3つのコンペティションすべてでタイトルを諦めないと意気込むナインゴランは、スタメン出場の予想だ。『コッリエレ』によると、ナインゴランはローマ加入後、ダービーで4勝1分けと負けていない…。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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