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ミランとインテルでは解任されたが…元監督たちが率いるセリエの2チームが絶好調

中村大晃カルチョ・ライター
ミハイロビッチとガスペリーニの両監督はチームをどこまで躍進させられるか(写真:Maurizio Borsari/アフロ)

先週、好調を伝えたラツィオはセリエA第12節でも昨季2位のナポリと敵地で1-1と引き分け、4位をキープした。だが、健闘しているのは彼らだけではない。古豪トリノやプロヴィンチャ(地方の中小クラブ)の一角アタランタが見事な活躍を見せている。

5日のカリアリ戦で5-1と快勝したトリノは、総得点27とローマに次ぐ得点力を誇る。ミラノ勢に敗れ、下位のエンポリやペスカーラとは引き分けたが、ローマやフィオレンティーナなどの強豪を沈めるなど、欧州カップ戦出場ラインに勝ち点3差の7位と好位置につけている。

『ガゼッタ・デッロ・スポルト』によると、トリノが開幕12試合で27得点を記録したのは、リーグ5連覇の偉業を果たし、「グランデ・トリノ」と呼ばれた黄金期の真っただ中である1947-48シーズン以来のこと。27得点を挙げるのに、昨季は20試合、その前年は24試合かかった。今季のトリノは、過去2シーズンの倍に近いペースでゴールを量産しているのだ。ちなみに、流れの中からはセリエ最多23得点を挙げている。

一方、6日のサッスオーロ戦で3-0と完勝したアタランタは、4連勝中ともっと波に乗っている。開幕からの5試合こそ1勝4敗と苦しみ、監督の進退問題も騒がれたが、9月末からの7試合で6勝1分け。それも、ナポリやインテルといったビッグクラブ相手の金星も含めた堂々の成績だ。

ここ7試合で13得点2失点と見事な数字で勝ち点19を積み上げたアタランタは、ナポリを上回る勝ち点22でラツィオと並ぶ4位タイ(得失点差で5位)。『ガゼッタ』によれば、アタランタが12節終了時にこの順位なのは、7位フィニッシュした2000-01シーズン以来という。

勢いづいているトリノとアタランタを率いるのは、ともにミラノのチームでシーズン途中に解任という憂き目に遭った指揮官だ。前者は昨季ミランを率いたシニシャ・ミハイロビッチ監督が、後者は元インテルのジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督が指揮を執っている。

若手の活躍が注目されているのも共通点だ。トリノは8得点のアンドレア・ベロッティ(22歳)を筆頭に5得点のアデム・リャイッチ(25歳)とイアゴ・ファルケ(26歳)のトリデンテ(3トップ)が絶好調。さらにダニエレ・バゼッリ(24歳)とマルコ・ベナッシ(22歳)も各4得点をマークしている。

アタランタはチーム最多の4得点を挙げているコートジボワール代表MFフランク・ヤニック・ケシー(19歳)をはじめ、評価を高めているマッティア・カルダーラ、アンドレア・コンティ、ロベルト・ガリアルディーニは「1994年生まれ組」だ。

シーズンは長く、まだ3分の1も消化していない。好調のチームがスランプに陥り、急降下した例は少なくない。ガスペリーニ監督も欧州カップ戦出場の可能性について、「今は考えない」と語る。

だが、ガスペリーニ監督は同時に「順位表を見ることができると言える」とも述べた。ミハイロビッチ監督は「ホームではチャンピオンズリーグ出場ペースだ。アウェーでもっとうまくやらないと。(カリアリ戦のようなプレーなら)やれるはずだ」と野心をうかがわせている。

次にリーグが中断するクリスマスまで、トリノは12月にダービーとナポリ戦という厳しい連戦を、アタランタは次節ローマ戦をはじめ、ユヴェントスやミランとのビッグマッチを控えている。さらなる夢を見ることができるのか。インターナショナルウィーク明けからの両チームの1カ月に注目だ。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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