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110億円補強で「歴代最強のユーヴェ」に? 元選手の10名は古巣をどうみる?

中村大晃カルチョ・ライター
(写真:ロイター/アフロ)

ナポリFWゴンサロ・イグアインのユヴェントス移籍が、近日中にも実現すると言われている。約9400万ユーロ(約110億円)の契約解除金を支払っての大型補強だ。かつてユヴェントスでプレーした選手たちは、新たに生まれつつあるチームをどうみているのだろうか。

イグアインは昨季、36ゴールで得点王に輝き、66年ぶりに年間最多得点記録を塗り替えたストライカーだ。その彼が加われば、スクデット5連覇中の王者の地位は、さらに盤石のものとなるだろう。さらに、ユーヴェはすでにMFミラレム・ピアニッチもローマから引き抜いている。元バルセロナのDFダニエウ・アウベスも獲得した。

前回5連覇を成し遂げた1930年代、ジョヴァンニ・トラパットーニやマルチェッロ・リッピといった名将が率いた時代、そしてアントニオ・コンテ前監督とマッシミリアーノ・アッレグリ現監督のもとで国内を支配してきた現在…イタリア最大の人気を誇り、最も多くのスクデットを獲得してきたユヴェントスは、これまで何度も「黄金期」を築いている。

だが、そんな名門においても、2016-17シーズンのチームの強さは別格のものとなるかもしれない。イタリア『コッリエレ・デッロ・スポルト』で、元ユヴェントスの選手10名が、「今度のユーヴェは歴代最強?」との質問に応じている。それを紹介しよう。

◆チェーザレ・プランデッリ

イグアインが加われば、過去20年のユーヴェで最強、イタリアサッカー界有数のチームになることは間違いないと思う。イグアインはとてつもないセンターフォワードで、議論の余地はない。重圧が大きすぎる? ナポリのような街の重圧にも、彼はすでにとてもうまく耐えた。

◆アルド・セレーナ

歴代最高のユーヴェになると認めるには早すぎる。ここまでの補強活動が豪華であることは確かだ。言いたくないが、リーグ戦はユーヴェのための練習の場になる恐れがある。いずれにしてもセリエAに注目すべきで、軽んじてはいけないがね。チャンピオンズリーグ(CL)に関しては、一歩前進したことは確かだ。

◆フランコ・カウジオ

理論上は歴代有数のユーヴェになり得る。ポグバがいなくてもね。今のサッカーであれだけの金額を断ることはできない。イグアイン獲得についても議論の余地はないと思う。怪物級のアタッカーだからね。マンジュキッチとディバラによってすでにとても強い攻撃陣を完成させることになる。

◆ジョゼ・アルタフィーニ

少なくとも、「Core'ngrato(薄情者)」と呼ばれるのが私だけではなくなるね。(※) イグアインはうまくやった? 何を望み、何を求めるかによる。ナポリでゴールを量産したのは確かだが、トロフィーやチームとして大きな成功は手に入れられなかった。彼を理解する必要がある。このユーヴェはほぼ完ぺきのチームになりつつあるよ。イグアインはキャリアのピークにあるしね。

◆ピエトロ・アナスタージ

私はずっとポグバをあまり評価してこなかった。CLで必ず違いをつくれるイグアインの方がいい。彼は、彼がいなくてもすでにとんでもない攻撃陣を強化すべく、すでに素晴らしいチームに加わる。私は確信しているよ。ポグバとイグアインなら、私は後者だ。歴代最強のユーヴェになれるか? そう願っている。

◆アレッシオ・タッキナルディ

このマーケットでユーヴェは強化に成功した。文字通り、ナポリやローマといったライバルの2チームを空っぽにしてね。ミラノ勢? まだ混乱しすぎている。ポグバ? あの額なら売るのは正しい。私は彼がすでに持てる力の多くを出したと思う。ユーヴェでのCL、フランス代表でのEUROでは、違いをつくらなかった。

◆マルコ・ディ・ヴァイオ

イグアインは以前からすでに世界最強のセンターフォワードの一人であることを示してきた。そして、スクデット5連覇でセリエA最強のチームであることをすでに示したチームへと向かった。CL優勝に向け、直接のライバルたちとのギャップを大きく縮めたことは確かだ。

◆オスカル・ダミアーニ

素晴らしい選手層のユーヴェがほかにもあったことは確かだ。特に1970年代から80年代にかけたトラップのチームのようにね。リッピのチームも非常に良かった。それぞれイタリアでとても多くの勝利を収め、欧州でも重要な物を勝ち取った。イグアインはセンセーショナルな投資だが、年齢やユーヴェの哲学から少し異例だね。

◆ミケランジェロ・ランプッラ

生まれつつあるチームのクオリティーレベルが大きく高まったのは確かだ。イグアインだけではない。ピアニッチも必ず、ポグバの代わりにリーダーシップを引き継げるだろう。このユーヴェに足りないのは、これまでの多くのユーヴェと同様に、CLでの優勝だけだ。

◆マッシモ・ブリアスキ

イタリア国内に関しては、決まりだろう。このユーヴェはあまりに強すぎる。近年同様、短期間で追いつくには、追う側にとってあまりに遠くにいる。もちろん、ポグバもイグアインもあてにできるに越したことはなかったが…私はユヴェントスがすでにポグバの穴を埋めるために準備していると思う。ポグバのことを後悔させないだけの選手を必ず見つけるはずだ。歴代最強のユーヴェか? それは様子をみよう。

※アルタフィーニ氏は1972年にナポリからユヴェントスに移籍し、ナポリサポーターから「Core'ngrato」と批判された。「Core'ngrato」は、日本では「カタリ・カタリ」などのタイトルで知られるナポリ歌曲で、成就しなかった愛のつらさを表す歌。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

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