消費者庁会議資料より筆者撮影
消費者庁会議資料より筆者撮影

「消費者のデジタル化への対応に関する検討会」。

座長代理を務めました。

報告書がとりまとめられました。

スタート時の意義と模様は以前 記事にしました。

「消費者庁のデジタル論議、始まる。」

https://news.yahoo.co.jp/byline/nakamura-ichiya/20200111-00158431/

構成は以下のとおり。

1.デジタル化がもたらす消費生活の変化

2.消費者のデジタル化への対応方策

 1)消費者教育

 2)普及啓発

3.具体的なデジタルサービスへの向き合い方

 1)デジタルプラットフォーム

 2)SNS

 3)オンラインゲーム

 4)キャッシュレス決済

4. AIその他の新たなデジタル技術への対応

消費者政策というと、消費者保護=事業者規制と見られがちですが、本報告は自立した消費者を念頭に置き、消費者の責任と教育を重視しつつ、官民連携で施策を打つというトーン。

ぼく好みの方向性です。

まず、消費者を取り巻くサービスと、課題・トラブルの項目として、1)デジタルプラットフォーム、2)SNS、3)オンラインゲーム、4)キャッシュレス決済、5)AIを掲げます。

テレワーク、オンライン授業、ネット通販、料理の宅配が盛んになるなどコロナ禍でデジタルシフトが加速し、モノの所有より利用へと社会の変容が不可逆的に進むという認識を示します。

その中での消費者のぜい弱性、消費者の向き合い方について的確に記述されています。

消費者庁会議資料より筆者撮影
消費者庁会議資料より筆者撮影

消費者教育を対策の柱に据えます。

「権利と責任を自覚した行動を促していく」とし、情報教育を安心協など民間の取組や文科省・総務省との連携のもとで進めること、デジタル教科書の法制化・プログラミング教育の必修化などを通じ情報リテラシー教育に力を入れること等を説きます。

このように教育として対策が進む青少年より、シニア・高齢者対策のほうが重要とぼくは考えました。

これに関しては高齢者のICTスキルを向上させる取組が必要と記述はされましたが、具体策はこれからです。

消費者庁会議資料より筆者撮影
消費者庁会議資料より筆者撮影

対策のもう一つの柱が普及啓発です。

チラシ・冊子の配布や記者クラブでの発表という従来型の手法に増して、ウェブサイト、SNSなどの活用に重点を置いています。

消費者庁は他省庁よりもインフルエンサーや芸人をうまく使った発信をしており、その姿勢を評価するものでもあります。

消費者庁会議資料より筆者撮影
消費者庁会議資料より筆者撮影

個別サービスについて。まずデジタルプラットフォーム。

オークション、フリマなどに関するガイドブックを作り、消費者自らが留意事項を確認できるようにする。

シェアエコは政府ガイドラインに基づき民間が認証を運用するソフトロー的な共同規制をとる。

事業規制ではない消費者対策アプローチです。

消費者庁会議資料より筆者撮影
消費者庁会議資料より筆者撮影

SNSについて。

消費者が注意すべき事項と必要な情報リテラシーとを挙げます。自分で身を守ろう。

ただし、広告の問題に関しては、SNS事業者など関係者が連携して悪質な広告の排除・防止策に対応することを求めます。消費者庁もデータを提供するとしています。

消費者庁会議資料より筆者撮影
消費者庁会議資料より筆者撮影

オンラインゲームについて。

ゲーム業界によるガイドラインなど自主的な取組を求めるとともに、子供の実態を保護者が把握したり、ペアレンタルコントロール機能を利用したりするなどの行動を期待しています。これも事業規制ではなく、教育・普及啓発アプローチ。

ゲームについては、コミュニケーションの活発化、運動・学習・医療での活用、プログラミング教育上の利点など「有用性」を指摘していることが特筆されます。

eスポーツなどに関し「教育効果などの検証も民間で進めていく」としています。これは超教育協会と日本eスポーツ連合JeSUで取り組む予定の施策です。

消費者庁会議資料より筆者撮影
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キャッシュレス決済について。

知識を身につける。自らの情報管理が十分でない消費者が集中的に狙われているという状況を認識すべき。仕組みのわからない決済手段は一見便利そうであっても利用しないよう心がける。行政はガイドブック等で分かりやすく情報提供する。というトーンです。

消費者庁会議資料より筆者撮影
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最後に、AIなど新たな技術への対応という項が設けられています。

新技術は利便性とリスクの双方を評価する必要があり、消費者も最低限のことを理解したうえで、自らの責任のもとで賢く利用する、という基調。

ただ、AIやIoTやデータが実像を伴うのはこれからで、消費者の自己責任に委ねるのはまだ早いでしょう。

データで個人の信用/値打ちが判定されるスコアリングやプロファイリングが企業の人事採用、金融の与信、犯罪の予測に使われ、排除・差別されることになる。個人の尊重や平等に関わる。それがブラックボックスで使われ得る。今後の消費者政策として注視・重視すべき。

とぼくはコメントし、採用されました。

報告の最後に、放送分野のBPOを引き合いに、デジタルに関する消費者問題に対し「専門的に取り組む民間団体が組成されることが望ましい」としています。これが次の消費者政策になるかな?

ひとまず今期はここまで。

おつかれさまでした。