海賊版対策:中間まとめの議論、続きます

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海賊版対策会議、第7回。

事務局から中間まとめ案が提出され議論を行いました。

中間まとめ案は、

第1章 インターネット上の海賊版サイトによる権利侵害の現状

第2章 インターネット上の海賊版サイトに対する総合対策

第3章 アクセス制限(ブロッキング)に係る法制度整備について

という骨組みで、第2章の総合対策として、

1.著作権教育・意識啓発

2.協力体制の構築

3.正規版の流通促進

4.海賊版サイトの検索結果からの削除・表示抑制

5.海賊版サイトへの広告出稿の抑制

6.国際連携・国際執行の強化

7.リーチサイト対策

8.アクセス制限に係る措置

9.著作権を侵害する静止画のダウンロードの違法化の検討

の9項目を掲げました。

そして「アクセス制限(ブロッキング)に係る法制度整備の必要性については多様な意見があり、本検討会議において合意を見ることはできなかった」と記しました。

これを巡り、意見の応酬となりました。

その模様を描く浅川直輝さんの速報です。

「「ブロッキングの章は削除すべき」、海賊版対策会合第7回はまとめ案巡り批判の応酬」

https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/news/18/02651/?P=1

日経 xTECH/日経コンピュータ(2018/09/13)

弁護士ドットコムでも報じられています。

「宍戸教授「ブロッキングの議論が不十分だと明記すべき」 中間まとめ案に反発続出、平行線のまま最終局面に」

https://www.bengo4.com/internet/n_8545/

弁護士ドットコムNews(2018/09/13)

日本経済新聞(2018/09/13)

「海賊版サイト遮断の法制化、両論併記案を議論」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3534987013092018TJ3000/

朝日新聞(2018/09/13)

「海賊版サイト遮断、合意至らず 国の会議で法制化へ賛否」

https://digital.asahi.com/articles/ASL9F4HCHL9FUCLV00D.html

SankeiBiz(2018/9/14)

「接続遮断法制化に異論続出 海賊版サイト、対策再検討」

https://www.sankeibiz.jp/macro/news/180914/mca1809140613008-n1.htm

議論の具体的な内容は浅川さんらの記事に譲りますが、取り分け、ブロッキング法制化に関する憲法を巡る議論は深まりを見せました。そして、まだ整理・調整を要することが共有されました。3章の記述を削除すべきという意見もある一方、「ここでの議論は社会の共有財産だ」という指摘もありました。

民間による協力体制の構築も重要なテーマとなりました。多くの委員がその必要性を強調する一方、ISPから出版側への反発も見られました。これに対し、川上委員がネット側の立場から、インターネットは違法配信でユーザを獲得してきたことに自覚的であるべきと発言したのには目を見開きました。

こうしたやりとりと並行して、海賊版へのブロッキング等を規定しながら成立に至らなかった米SOPA法案やフランスでのブロッキング制度の説明があったほか、検索エンジン対策や国際連携の重要性が強調されました。また、違法ダウンロード違法化は、映像・音楽の法制化の際にも多難を極めたことも指摘されました。

最後にぼくも発言機会をいただきました。

「4/13の政府措置に賛否の声ある中このタスクフォースが設置されました。その成果は2つあると考えます。

 第一に、このタスクフォースができたこと。賛成・反対の両者、ステイクホルダーの専門家のかたがたが一つのテーブルについて問題に向き合えた。今後対策を実施する上で重要な座組だと考えます。

 第二に、総合対策の打つことのコンセンサスができそうなこと。コンセンサスが得られない事項は両論をきちんと書き込む。書きぶりは工夫しつつも、なんとか了解にたどりつきたい。その光を見ています。

 その上で、とりまとめを行うとしても2つのポイントがあると思います。

1.これで当面、大丈夫と言えるか。

 最悪の事態は4/13政府決定を繰り返すことだと思います。ブロッキング法制化をしないとしても、この総合対策を実施することによって展望が得られるというものに近づけたい。

2.今後の対策に向かう民間の体制は整うのか。

 ブロッキング以外の対策は関係者・ステイクホルダーの協力が前提です。このタスクフォースが対立を深めたという指摘もあるが、それは座長の不徳の致すところです。伏して、是非、協力体制を組んでもらいたい。

 知財とITの対立を調整する、という論の建て方は間違いだったのかもしれません。知財とITの求める理念・自由が共存する場を探す、作る、と言うべきだったのかもしれません。それはこれから作ればいい。

 敵は海賊版。その対策に向けて協力する。それだけは確保したい。

 この問題は、単純な海賊版への対策というより、知財保護と通信の秘密という、憲法の要請する理念が情報社会において共存できるよう知恵を絞ったものである。

 マンガ・アニメ大国たる日本が、ITという技術の落とし子としての海賊版サイトに解決策を講じる総合モデルを検討した。

 といった、この大変なタスクフォースのみなさんのご苦労がどういう位置づけであったのかを記しておきたいと思います。

 いま何合目にいるのか視界が定かではありませんが、山を登りきりたいと思います。」