知財本部 検証評価企画委@霞が関。

5月2日、知財計画2018の素案を叩く会合がありました。

海賊版サイト対策、10年後を展望した「知財戦略ビジョン」に関する議論もありました。

 海賊版サイト対策への発言。

 瀬尾委員:サイトの所在が不明だという前提で政府は対策を講じたが、広告主をつき止める等の動きも民間で見られた。こうした問題に詳しい方々と連携した対応が大事。

 福井委員:反海賊版の機運は高まり、状況も変わった。多数の関係者に参加してもらい法制度等の議論を進めるべき。

 高倉委員:現在の知財政策は利害が対立し、全員が賛成するものは少ない。ブロッキングしかり。だからといって何もアクションを取らないことはありえない。 まずアクションを起こしつつ、事後の「検証・評価」が大事。知財法だけで閉じることはない。 知財法・情報法・憲法の関係者が議論すべき。

 委員の発言に同意します。

海賊版サイト対策は、状況に鑑み、政府が動かないという選択肢はありませんでした。

議論は重ね、民間は手詰まりで、被害は深刻化していた。何らかのメッセージを発し、アクションを起こすことが必定でした。

政府が発したブロッキング対策には批判も多いことながら、ではあの状況でどうすればよかったのか、政府決定を上回る正解をぼくは知りません。

(こうすればよかったというよりよい政策があればお教えいただきたいです。)

 そしてこれからどうすればいいのか、それが次の問いです。

 他にも発言多数。3つだけメモします。

 福井委員:アーカイブは社会の知識インフラ。 人材育成、多言語発信、権利者不明問題への対応が重要。 プラットフォーマーと知財との契約関係の整理も大事になってくる。

 重村委員:2030年を展望するなら1/3が高齢者になる社会であり、高齢者に対する知財戦略が欠けている。

 瀬尾委員:時代が大変化する切り替わりだが緊迫感が薄い。 著作権法改正が1年遅れている。 われわれは2年議論のアドバンテージがあったがこれでまた後れを取る。

 ぼくは座長として締めのコメントを話しました。

「柔軟な権利制限に関する著作権法の改正、デジタル教科書を認める学校教育法の改正など知財計画に掲げられた事項が国会に諮られています。

 今年の計画も重要事項が多く、政府にはその実行を求めたく存じます。

 知財新ビジョンはかなり混沌とした議論になりました。

 前回のビジョンはスマート化を見据えて、スマホ、クラウド、ソーシャルサービスによる環境変化に対応するもので、デジタル化の延長線で考えられるものでしたが、今回、AI、IoT、ブロックチェーンの新時代は、人類の歴史を分けるほどの大きな変化を捉えられなければならないもので、まだ全体像が見通せない中での作業でした。

 なので、ビジョン自体が今後も変化し得るという、変化がサステナブルになったという覚悟が求めらるのだと思います。

知財計画も、変化が続く中で策定していく、という認識が大事になっていると考えます。

 海賊版サイト対策は、政府がブロッキングを認める方針を示したことが議論を呼んで、批判も多いのですが、その結果、問題のサイトがひとまず見られなくなり、この問題に対する認識も高まったという効果を生みました。

 その法制度を整備するという、より重要な宿題が立ちはだかっています。

 私が知財政策について従来から主張していたのは2点で、まず日本の中で知財政策の優先度プライオリティを上げること。

 本件が話題となることで、良くも悪くも、図らずもその重要性が認識された面はあると考えます。

 もう1点は、知財政策とIT政策との融合を進めることです。

 現在のコンテンツ政策のほぼ全てがIT政策と関わります。今回の問題は著作権の保護と通信の秘密という、その本丸の調整問題です。今後もそのような案件は増えます。

政策の企画決定方法の知恵を絞る必要があると感じています。」

 さらなる調整を経て知財計画2018がとりまとめられます。改めて報告します。