プログラミング教育政策、失敗から成功に転じるか?

 プログラミング教育の官民コンソーシアム「未来の学びコンソーシアム」が抜本的に見直されるそうです。民間団体に担わそうとしていた事務局を文科省が引き取り、「民」が引っ込んで、官民コンソというより「官」コンソにするとの判断です。

「「未来の学びコンソーシアム」推進体制の強化」

 http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/29/12/1399792.htm

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 元は、2020年に必修となるプログラミング教育の環境を整備するため、「日本再興戦略2016」(2016年6月閣議決定)で「文部科学省を中心に経済産業省や総務省が連携して、本年中に学校関係者や教育関連やIT 関連の企業・ベンチャーなどで構成される官民コンソーシアムを設立」すると明記されたものです。

 

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 2017年2月には「コンソーシアム事務局(ICT CONNECT 21) 」として文科省・総務省・経産省から設立がアナウンスされ、鳴り物入りで3月に総会が開かれました。

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 しかし事務局が動かず、6月末に運営協議会が1度開かれたものの、民間サイドから運営を巡る厳しい指摘が相次いだと聞きます。

 コンソーシアムのサイトには「議事録などは追って公開する予定」とされていますが、半年を経ても情報がない状況でした。年末に至るまで、実質何も動いていません。

 2020年に向け、官民で準備すべきことは山積していますが、この状況はどうしたことかと不安が漂っていました。

 事務局であったICT CONNECT 21(以下「ICON」)は、この2月に3省から事務局として指名された後、社団法人化された団体です。それまでは会費無料の任意団体でしたが、3省をバックに有料会員を集め、民間企業の数社から出向者も送り込まれています。ただ、プログラミング教育に関する実績はなく、コンソーシアムの事務局としての動きも見られませんでした。

 事態を打開するため、5月、プログラミング教育に関し15年の実績を有する草分けで、産学官の関係者を糾合するプラットフォームを形成してきたNPO「CANVAS」に対し、政府からICONとともにコンソーシアムの「共同」事務局を担えないかとの相談がありました。これで事態は好転するかに見えました。

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 関係者間でその協議も重ねられましたが、そのさなかの9月、ICONが協議中の事項を内容とする独自ワーキンググループを発足させると発表し、3省を含め混乱が続いて、結局ぜんぶひっくり返り、今回の「民→官」の判断になったことのようです。

 官から見れば、せっかく民の団体を立ち上げたのにワチャ~かもしれませんが、ぼくのような「民」からみてもワチャ~です。

 民間関係者により組織された運営協議会の委員の多くもわけがわからん状態だそうです。

 でも、いいんです。

 日本のプログラミング教育が、これから「官主導」で円滑かつ強力に動くのであれば。

 今回の変更で、文科省も生涯学習局から初等中等局に移り、3省による本部員も指名され、体制が強化されるようで、結構なことです。

 ただ、政府にわきまえていただきたいのは、民は民で地べたをはって血と汗を流してきた年月がありまして、今回の官民コンソ騒動のため、それらの動きを1年ほど止めてきた活動もありまして、それなりの社会コストを要する事業でもあるということです。運用を間違えると、民の活動が阻害されるということです。だから、事態を動かすには、説明責任が生じます。

 3省挙げて閣議決定して進める案件ですし、関連の予算も講じられ、民間の期待も注目度も高いコンソーシアムですが、ここまで動きがなく、今回また仕切り直しというのは、2020年に向けて暗雲がたれこめる事態です。どうなっているんでしょう、と私も産学の関係者から(ICONの理事からさえも)問われているのですが、内実はよくわかりません。

 こうなると、ICONうんぬんというより、3省・政府のガバナンスが問われます。今回の体制変更について、政府の発表には「小学校のプログラミング教育の円滑な実施等にコンソーシアムが一層重点的に取り組み、文部科学省を中心として関係業界を巻き込んで取組を加速化することができるよう」とあるだけですが、ぼくは状況と展望について政府が情報を公開する必要があると考えます。

 ぼくがよく聞かれる事項を整理して政府に伺うとすれば、以下のようなことがらです。

・政府が事務局としてあらかじめICONを指名した経緯と理由は何か。

・今回、ICONを外し、官が引き取ることとした経緯と理由は何か。

・ICONが事務局として実施した活動は何か。

・今後、コンソーシアムを民間の活動とどう連動していく考えか。

 教育情報化、プログラミング教育という全国の子どもたちに深く関わる問題で、不透明な官民関係があってはいけません。ことは加計問題よりも重要で、関係者も多岐にわたる案件なのですが、関わっている政府関係者の危機感が産業界には伝わってきていません。

 今回、ぼくが信頼するかたがたが文科省のチームに参加する模様です。彼らが力を最大限に発揮することを願います。そのためにも、これまでのことを整理し、関係者に情報を共有いただきたく存じます。

 事態の好転に向けて対応いただければ幸いです。

 なお、今回の政府方針を受け、これまで止めてきた「民」の活動を再開し、プログラミング教育の関係組織・団体がより活発に展開できるよう動きたく存じます。

 2018年は夜明けの年にいたしたく。