デジタル人材育成拠点をつくろう。

政府・クールジャパン人材育成検討会にて、デジタル人材育成に関するプレゼンを致しました。

ポップ&テック特区の竹芝CiPに参画するKMD(慶應義塾大学メディアデザイン研究科)は、メディアデザインの教育・研究のために2008年にできた大学院で、メディアのデザイン、テクノロジー、マネジメント、ポリシーの文理融合をモットーにしています。

同時にKMDは産学連携の「リアル」プロジェクトで、つまりスポンサーとともに、サービスやビジネスを作り出す研究スタイルをとっています。さまざまな企業主導のプロジェクトに学生たちを放り込んで成果を上げさせて教育する、という手法です。

そのKMDの教育・研究手法を竹芝のCiP特区に持ち込みます。既にKMDは英RCAや米Prattなど海外のアートスクールやシンガポール国立大学などと連携していますが、竹芝にはスタンフォード大学にも同居してもらえるよう誘いかけているところです。

ただ、東京のデジタル開発という面では竹芝はきっかけにすぎません。政府クールジャパン構想としては、竹芝の他に羽田の開発も重視されています。「羽田空港跡地第一ゾーン」です。ここを再開発する主体が見えれば、竹芝・羽田直結のプランを描きたい。

(注:プレゼン時には羽田空港跡地第一ゾーンの開発主体は未定でしたが、その後、竹芝CiPの開発社の1つである鹿島建設が代表企業となることが決定しました。今後、連携策を練る計画です。)

竹芝・羽田の間にはJR品川駅周辺の大開発が待っています。竹芝の10倍程度の広さがあり、特区で開発した先端を社会実装するにはいい地域になりそう。さらに北上すれば秋葉原や東大に至る。ベイエリア一帯のデジタル・ベルト構想が描けます。

渋谷の再開発も賑やかになってきました。昨年、渋谷クリエイティブタウンという社団法人が発足し、渋谷のメディア化、コンテンツ化を目論んでいます。ソーシャルゲーム、J-Pop、ファッション、NHKなどが集結する町。そこでは竹芝と並んで総務省のサイネージ実験も展開されています。

東京をタテヨコに結んで、広域デジタル拠点を構成できないかと夢想しているところです。

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京都でも構想があります。映画業界や京大、立命館らが人材育成と産業支援の拠点を作るというCiPに似たプランが動き始めました。大阪でも大型のエンタメ拠点の整備が進められています。沖縄も同様です。そういう拠点との連携を進めて、点を線に、面にしていきたい。デジタル生産・発信列島へ。

韓国にモデルがあります。人材育成のコンテンツコリアラボCKLと、起業支援のクリエイティブエコノミーリーダーCEL。韓国政府が大きな予算を使って運営しています。産業界と政府とソウル市が連携して作ったメディア集積地、デジタルメディアシティDMCもあります。

CiP協議会は韓国政府・コンテンツ振興院と連携するため、さきごろソウルで協定を締結しました。政治的には揺れが続いている韓国ですが、そういう時期だからこそ、文化面・経済面での長期的な連携に道を開いておくというものです。

シンガポールに隣接するマレーシア・ジョホールバルの「イスカンダル」という開発地域では、政府がメディアの教育・研究拠点を整備しています。ロンドン大学が中心的な役割を果たしているのですが、そこともCiPは協定を結び、連携することとしました。

このようにして、東京、アメリカ、ヨーロッパ、アジアをつなぐハブになりたいと考えています。

CiPは純民間として走り出して、その後プロジェクトごとに政府に支援いただいています。が、シリコンバレーやハリウッドの迫力、韓国の気迫には太刀打ちできません。MITやスタンフォードやシンガポール国立大学も遠い存在です。国家戦略として、より大きなデザインを描けないものでしょうか。

たとえば研究教育では、デジタル超学校・超大学とも呼べるような、テックとポップという日本の強みを凝縮した、そのマネジメントとポリシーも合わせた、機関をデザインしたい。

大学や研究機関の枠を超えた、強いプレイヤーの集合体で、授業は全部MOOCsのようなバーチャル。だけど、企業と直結してサービスや製品を実装して、起業支援じゃなくて、もっとリアルなビジネス、リアルな産業にしていく特区の環境。そんなかんじ。

クールジャパン・知財本部ではポップ系の人材育成構想が論じられるようになりました。一方、経産省・産業構造審議会では、デジタルのテクノロジー系の人材育成策が検討されるそうです。ポップとテックの構想を融合して、大きな国家戦略にしてもらいたい。政府関係者には民間の熱の高まりをぜひ汲み取っていただきたいです。