ヒューマニティ拡張の挑戦

SXSW@オースティンに参りましたら、JAPAN HOUSEという座敷がしつらえてございまして、マツコ・デラックスさんのアンドロイドを作っている大阪大学石黒教授らの前座で、「ヒューマニティの拡張」というお題で一席やれやというので、お応えしてきました。

ヒューマニティを技術がどのように拡張できるのか、精神や身体をどのように拡張できるのか。

ぼくは30年以上前、少年ナイフというバンドのディレクターをしながら、音楽表現を拡張することに挑んでみました。その頃から始まったデジタル化は、人の可能性を拡張しました。今から15年前にはMITメディアラボで、セガ・ドリームキャストやロボットペット・プーチの開発で、スマートデバイスやAIの開拓に挑んでみました。

当時もうウェアラブル、AI、ロボット、IoTという技術は展望されていました。それがようやく普及段階を迎えます。スマホやネットやソーシャルメディアが広げた精神と身体は、15年を経て、新しい段階に移ります。

IoTでクルマの自動走行ができるようになります。自動車産業だけでなく、ビジネスも、ライフスタイルも変わります。ロボットとAIで仕事の半分が機械に置き換わるという話もあります。既に金融取引の7割はAIが行っているといいます。

もうsiriはぼくより物知りです。スマホのバーチャル秘書は、もうぼくより賢くなります。ならばスマホ同士で話してもらえば仕事は済みます。仕事が機械に奪われて怖いという人もいますが、ヒマになったらぼくは何をすればいいかを考えておかねば。機械に置き換わらないものは何でしょう。

その一つがスポーツです。自分で体を動かして、汗をかくから楽しい。ロボット同士が戦っているのを見てもあまり興奮しません。技術で新しいスポーツを作りましょう。

そこで、2020年に向けて、ぼくらは「超人スポーツ」というプロジェクトをスタートさせました。

オリンピアン、パラリンピアンはどちらも超人です。だけど、ぼくも超人になりたい。キミもそうでしょう。幼いころ、草むらで、ふんばって、手の先から「かめはめ波」を出そうとしたことがあるでしょう。それを技術で実現したいと思いませんか?

人類は技術で身体を拡張しようとしてきました。まず、手足を拡張しようとしました。杖、義足、浮き輪、船、自動車、飛行機、ロケットを作りました。遠く、速く、行けるようにしました。

視聴覚を拡張しようとしました。メガネ、補聴器、スピーカー、電話、テレビ、ネットを作りました。遠く、速く、コミュニケーションできるようにしました。

そのように人類は、外へ外へと身体を拡張しました。今度は、それらの技術を全て自分の身体に取り込んで、拡張した身体とは何なのかを問う番です。その一つの答えが「超人スポーツ」です。

超人スポーツは、ITやロボットなどの新しい技術を身体に取り込んで、人と機械が融合したスポーツ。水の上を走る、空中でサッカーする、といったことをやりたい。サッカーも、ラグビーも、野球も、19世紀の農業社会にできた。21世紀、情報社会のスポーツを作ろう。

誰でもスーパーな義手義足やスゴい車いすで超人になれる。機械を身につければ、子どもがウサイン・ボルトより速く走れる。道具も作りたい。ぼくでも魔球を投げられるボールを開発したい。何kmも先の的を射抜くアーチェリーの弓矢を作りたい。

スポーツの観戦方法も開発したい。マラソン選手一人ひとりの上にドローンを飛ばして、見たいランナーの映像を追いかけることができるといった具合に。

これを推進する組織として、「超人スポーツ協会」を1年前に設立しました。ぼくは共同代表の一人です。協会の活動は3つ。超人スポーツをplanして、playして、promoteすること。

協会の目標は、2020年の東京オリンピックに合わせ、超人五種競技の国際大会を開くこと。

競技人口も増やします。これまで、ぼくらの超人スポーツを体験してくれた人は1000人ぐらいですが、それを1万倍に、1000万人に増やしたい。

協会には、ロボティクス、スポーツ科学、ゲームなどの科学者が集まっています。アーティストやアスリートも参加し、企業も参加したコミュニティを作っています。

11月23日には、「超人スポーツゲームス」を東京で開始。4年後の国際大会に向けた正式種目の選定に入ります。

11月26日には、慶應義塾大学三田キャンパスのKMDフォーラムで、VR対戦「HADO」の競技会も開催。吉田沙保里さんvsおかずクラブなど。

http://forum.kmd.keio.ac.jp/

一緒にやりましょう。