メディア法制この10年

通信・放送の融合。今から10年前に動きがありました。2005年にライブドアや楽天が放送局の買収工作を見せ、2006年初頭のCESで米IT企業が一斉に映像配信ビジネスへの参入を宣言。メディア構造転換が待ったなしとなりました。

竹中平蔵総務大臣が「通信・放送の在り方に関する懇談会」、いわゆる竹中懇を開催し、その示す方向が通信・放送業界に激震を与えました。小泉総理の腕力も手伝い、それが政府与党合意、骨太の方針となって第一次安倍政権へと引き継がれます。

http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/tsushin_hosou/pdf/060606_saisyuu.pdf

さて、10年前の元旦に書いたペーパーを座興までに貼り付けておきます。政府などの議論が本格化する前に作った個人メモです。

1~4までの通信・放送法制は、その方向に進みました。制度がレイヤ別に再編されて、新しい放送法が構成されるとともに、電波法も改正され、融合サービスに道が開かれました。

5と6の特殊法人制度は手つかず。ぼくは今は、7のデジタル著作権に関する議論を知財本部で進めています。8の子どもに関しては、デジタル教科書の整備を進めており、法制度も整備されそうです。10の文化省設置は、今もお題目だけ唱えています。

10年たって、進んだ面もあれば、進んでいない面もあります。制度の動きは、遅くても押し続ける必要があります。押し続けましょう。

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□メディア法制改造大綱           2006.1.1

メディア環境は、思想・表現の自由はもちろん、生存権や参政権などの基本的人権を保障する手段であり、かつ、産業・文化・福祉・国防等のための基盤となる。これを旨としつつ、デジタル技術の進歩、20世紀型メディアの普及の進展、メディア市場競争状況の変化その他の環境変化を踏まえ、国民が情報の生産、流通及び消費を円滑に行うことができるようメディア法制を再構成する。

「通信・放送の二分法」に立脚した「事業・提供者行政」を基本としつつ特殊法人という「公的機関」を主軸に据えている現行制度の枠組みを改め、「メディア融合・レイヤ別制度」、「役務・利用行政」、「官民分担明確化」へと移行する。

1. 公衆電気通信法

○ 事業及び事業者行政を役務及び利用行政に改め、通信・放送共通のアクセス面の法制として、通信・放送ネットワークに関する公正・適正利用の確保、接続・ユニバーサルアクセスの確保、番号管理等に関する法律を策定する。これに伴い電気通信事業法を廃止する。

2. デジタル放送法

○ 放送法、有線テレビジョン放送法、電気通信役務利用放送法を廃止し、電気通信役務利用放送法のスキームを基礎とする新しい放送法を構成する。公衆直接受信要件を満たし番組規制を受け容れるものとして認定を受けた者に著作権法及び電波法上の特典を付与する。なお、これを含むコンテンツ規制は、児童ポルノ法、風営法その他の法律との役割分担を図り多元的な規律体系とする。

3. 電波法改正法

○ 帯域免許を導入するとともに、個人利用以外はMVNOを基本とする。放送は電気通信役務利用放送法スキームを基本とするが、(有線も含め)ハード・ソフト一致型のビジネスも認める。この場合、通信役務の提供義務は外すものの、その特典に見合う電波利用料を徴収する。

4. 有線電気通信法改正法

○ 電気通信事業法及び有線テレビジョン放送法がカバーする有線インフラ規制(技術基準その他インフラに求められる要件)を移管し、電波法と同程度のレイヤを扱う法律とする。

5. 日本電信電話株式会社法廃止法

○ NTTを完全民営化する。特殊法人たるNTTに求められているユニバーサルサービス確保と研究開発の要請は、それぞれ他の法律で手当てする。通信主権の確保については、国家危機管理法制ないし有線電気通信法・電波法にて措置を講ずる。

6. 日本放送株式会社法

○ NHKをハード・ソフト分離し、ハード(伝送路)部門は通信会社として独立させ、公衆電気通信法、有線電気通信法、電波法の規律を適用。その電波を活用し、ハード・ソフト分離での地上波デジタルテレビ局の新規参入を実現する。NHKのソフト部門のうち、受信料でまかなう領域は引き続き特殊法人とするが株式会社化し根拠法を独立させる。この特殊法人には番組アーカイブのインターネット開放を義務づける。

7. デジタル著作権法

○ 登録を受けたデジタル情報を対象とし、P2P推進など、情報の共有、流通及び消費を円滑化するための措置を講ずる著作権法の特例法を策定する。

8. 子どもデジタル法

○ 子どもが最先端のデジタル技術を安全にかつ安心して享受・利用できるよう環境整備するための法律を策定する。

9. 情報通信研究開発法

○ NTT及びNHKの研究開発組織、情報通信研究開発機構、ATRその他の関係機構を統合・再編成するとともに、産学連携を推進する措置を講ずる。

10. 文化省設置法

○ 文化庁に総務省テレコム2局、同行政管理局(e-gov)、経済産業省商務情報流通局の関連部局を統合した官庁を置く。官庁の増加を防ぐため、経済産業省と農林水産省を統合し、農商務省とする。

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